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想い舞う頃


瞬の事だけで終わった、今日という仕事場での1日。

今の私は、暇つぶしの名人か何かかな。

気付けば仕事は終わってる。

そのまま1日ごと終わってる。

そんな私は、ブルーベリーの置かれたテーブルを挟んで、
奏と向かい合うようにして座っている。

奏曰く、ブルーベリーにはブルーな気分を上げる効果も
あるみたいで。

きっと、昨日の瞬との事もあるし、気遣ってくれてるん
だろうね。

…でも、ブルーベリー、か。

…名前からしたら、逆にすっごいブルーになりそうだけど。

もちろん、そんな事を思っただなんて言葉にはしない。

すごいバカにしたように笑われそうで。

バッカじゃねぇの?コイツ、みたいな。

「奏、何でも知ってるんだね」

「へっ?」

きょとん、とした顔を上げる奏。

ああ、反則技に手を出しやがった。

「ブルーベリーの…効果とかさ」

「一応ね。豆知識的な?」

豆知識、ですか。

私の中では、それも立派な知識なんだけどな。

さすがだよね、果物屋の息子。

何か憧れる。

ウチは何もやってないし。

極平凡な家族、って感じ。

「奏、やっぱりお店継ぐの?」

「それ今聞くー?今からじゃ見つからんよ。他の仕事」

ハハッ、と笑いながらブルーベリーに手を伸ばす奏。

本当、女の人みたいな手。

白くて指長くて。

瞬はもう少し男性らしかったかな…

あぁ、今 瞬は関係ないじゃんよ。

ベリーブルーになりそうな気分をブルーベリーで誤魔化す。

「……ハマった?」

奏の声で、何となくテーブルの上のパックを見る。

そこに、結構な量あったはずのブルーベリーは、ほとんど
姿を消していた。

「あっ……ごめん」

「いや、全然。もうひとつ持って来てるから。早めにね」

そう言って、もう1パックをテーブルの上に置く奏。

「ああ月曜日か〜。いつ休みなんだっけ」

「私?私は〜、水曜日は休みだよ」

「本当?じゃあ今度さ、話し相手にでもなってくれない?」

「えっ……私は…良いけど…」

何だろう、すごく喜んでる自分と、罪悪感を抱いてる、
2人の自分がいる……


<2016/10/31 20:56 秋の空>消しゴム
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