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想い舞う頃
- 選んだ道 -

愛を追い返してから、どれくらい経っただろう。

あの日と比べ扱いやすくなったこの車椅子が、結構な時間が経ったことを証明している。

眩しいくらいの夏の太陽に照らされた家のリビングに、
車椅子が1台。

それに乗っているのは、俺以外の誰でもない。

これが、今の俺の、唯一の移動手段だ。

自分の胸元を見れば、これも眩しいくらいに輝く、愛と
お揃いの指輪。

少し前までは、俺の右手中指にあったもの。

それは次第にゆるくなっていき、何度か落とすようになった。

それでも、これだけは離したくなかった。

愛が側に居るような、そんな何かを感じたくて。

あの日、素直に1日一緒に過ごしていたなら、今頃こんな
ふうには居ないだろう。

側に彼女の、暖かな微笑みがあったなら。

けど、今 俺の隣に居るようでは、彼女は幸せになどなれ
ない。

好きな人を不幸にしてまで、一緒に居たくなんてない。

愛には、彼女には笑っていて欲しいから。

愛、今日も誰かに、笑顔と幸せを与えて下さい。

眩しい光が射し込む窓を少し遠くから眺め、この世界の
どこかに居る愛に、そう願った時。


ーピーンポーン

あの日と同じ音が、今日も鳴った……

<2016/11/02 13:00 秋の空>消しゴム
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