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想い舞う頃
- 2人ここから -

真夏の空の下を走り切り、瞬の家の玄関前へ。

奏と一緒に来た時は、チャイムを鳴らすも躊躇したけど、
今日はそんな余計な気持ちは持って来てない。

だから迷わず押した、呼び鈴のボタン。

ーピーンポーン…

セミの大合唱にかき消されてしまいそうな、小さな音が鳴る。

少しして、中から聞こえた瞬の声。

「ふふっ、わ・た・し〜っ」

人ん家の玄関前で不自然に高い声を出す不審者、私。

「えっと…どちら様でしょうか」

ノッてくれてるんだか、本気でそう思っているのか。

「ちょ、良いから早く開けなさいよ」

こっちゃもう干からびそうだよ。

瞬に会える、って体が走り出すから。

「どーすっかなぁ」

「いやいや、迷わないで!」

「ハハッ、入れ」

おじゃまします、と、静かにドアを開ければ、あの日とは
違って、微かに笑みを浮かべた瞬が居た。

「久しぶりっ」

「…あぁ」

やっと会えた。

「あっ、何も持って来てないけど…」

「別に良いよ。急にごめんな」

リビングの方へ車椅子をまわす瞬。

「全然。あ、奏ん家に居たんだ。何か貰ってくれば良かったね」

「っ、奏!?」

振り返るようにこちらを向く車椅子。

「え、うん。あれ、もしかして喧嘩した?」

「……別に」

言わないなら…?

「えっ、ならあれって…!」

「ちょ、奏のヤツ、何か言ってたのか?」

「何かあったね?瞬くん。私に話しなさい」

「別に何もねえし。ちょ、もう行くぞ」

そう言ってリビングへ向かってしまった瞬。

何があったか知らないけど、また会えて良かったよ。

これからはずっと一緒だよ。

今度こそ、ずっと。

<2016/11/04 16:57 秋の空>消しゴム
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