階段をかけ上がる。
今、久しぶりに俺の心は震えていた。再び、天下無双の力を振るうことができると。仲間の復讐が出来ると。
音のする方向へと疾走する。
横を向くと、すでにレインが聖槍を手に持って粛の時は今か今かと待ちわびている……感じではなかった。
「本当に……死んでしまったんですね……ケイト卿も、ラグーザ卿も。シリウス卿が正気を保っていられるのが信じられません」
「仕方ない。俺はこんな状況を何度も見てきたからな。悲しいことだが、レインもいつかは、慣れるだろう」
「そうですか……」
レインには理解できないかもしれないが、今は同胞の死を嘆いているひまなどない。今、目の前には敵、敵、敵。
復讐を果たせ。
それが今の使命だ。
扉が目の前に見える。これを開けると奴らが。
「じゃあ、ご対面だ」
◆
そういうと、シリウスは扉を蹴破った。
派手な登場は相手に衝撃と畏怖を与える。同時に隙を作ることもできる。
「ヤバい……バレたぞ!!!!」
敵の一人が大声で奇襲を伝える。
「うるせぇッ!!!」
発砲。
金で彩られた装飾銃は、声の主の脳天に風穴を空けた。
ここで、まず一人。
ただ殲滅しても、誰に仕組まれて黒凱騎士団が半滅したのか。はたまた独断で行ったのかを聞き出すために生かしておく必要がある。
「レイン!一人だけ生かしておいてくれ!」
「分かりました!」
レインは聖槍で次々と向かい来る敵の波をなぎ倒していく。
「仇はとらせてもらいますよ、盗賊さん……!」
やはり駆け抜けていると切り傷やらかすり傷が体に刻まれてしまう。
「……一個はずそうかな」
そのままなぎ倒しながらそんな一言を呟く。
レインの頭のなかで、何かが、外れた。
「誰にも、見られない」
そうレインが呟くと、急に彼女の移動速度が上がり、周りの有象無象には視認できない程のスピードにまで登り詰めた。それと同時に、彼女の傷が急速に治りはじめた。
それを遠目で視認できるのはシリウスだけだった。
「あれが……あの時、傷が一瞬で治ったのはそう言うことなのか」
誰にも視認されなければ無敵。つまり聖槍の加護かなにかだろうとシリウスは予想した。
彼女に施された、神から授かった力。それを本人は"十字架の鎖"と呼んでいた。
鎖が外れるごとに、自分の体に力が宿る。その鎖は7筋。
全て外れれば自己の観念を壊しかねないので、外すことを彼女自身は忌避していたが、これだけの量を殲滅するにはやむを得ないと判断したのだろう。
聖槍の加護と合わさって、高速で移動し不可視になることによって傷は全て治り、理不尽に敵の命を奪い去る。
この最強とも呼べる戦闘スタイルが彼女を黒凱騎士団へ入団させたのだった。
「レイン……凄いな」
「お褒めに預かり光栄です、シリウス卿。というか、私は殺しただけで、シリウス卿はしっかり捕らえてるんですね」
「まあ、ちゃっかり?のほうが正しいんじゃないかな」
そんな談笑から切り替えて、本題に切り出す。
「レイン、黒凱騎士団の半滅はこいつらの手によるものじゃないみたいだ」
「そんな!じゃあ誰が……」
シリウスの話を聞くに、ここにいた賊は皆たまたま見つけた豪邸が空き家だったものだから、帰りのついでに金品を漁っていこうということらしい。死体には驚いたと供述していたために、賊がやった訳ではなさそうだ。
「でも……最低ですね」
「そうだな」
さてこいつをどうするか。知りたいことは全て喋らせたし、要済みというヤツだろうか。
殺すか。
逃がすか。
眠らせて島流しにするか。
自主させるか。
……そのどれも意味を持たない。
「無抵抗なのに殺すのはその……気が引けませんか?シリウス卿」
「そうだな。無駄な殺しはしたくない」
盗賊がわめく。
「……そうだ!!助けてくれ!!!」
「どうしますか、シリウス卿」
「レイン、お前に任せるよ」
「ええッ?」
シリウスは、レインの手によってここで要済みのこの賊がどうなるか興味があった。
「もし本拠地に帰ってにあなたが告げ口をして襲ってきたとき、私たちは問答無用であなたを殺します。分かりましたね?」
「ひいっ!」
賊は恐怖に怯えながら声をあげて逃げていった。
「レインは優しいな」
「いえ……まだまだ未熟者です。粛正が緩すぎましたね」
「いや、悪いことじゃない。人を、例えそれが極悪非道の輩だったとしても、それを慈しむ心を持つことができるのはレインの良いとこだと思うよ」
「シリウス卿……」
そんなことより、シリウスには気になることがあった。
「なあレイン、あのえげつないスピードはなんなんだ?」
その質問に対して、レインは自分の能力、つまり神から授かった"十字架の鎖"について自分が知っている範囲で説明した。
「……成る程。じゃあ一回切れた鎖はどうするんだ?」
「戻すには時間を有しますが、いまちょっと……ッ……!」
「どうしたんだ急に!」
そういって彼女の肩に触れる。
「ひっ!あん……まり触らないで……くださいぃ……」
「痛いのか?」
「鎖が戻るときはその……ッ!……体に激しい痛みがあッ」
「なるほどな。あれだけ暴れたらそれなりの対価もあると……」
一人納得していたのだが。
「それと同時に……ちょっと気持ちよく……」
「は?」
こいつまさか。
あるのか。
そういう性癖が。
「気にしないでください……ふぅ」
「終わったか?それにしてもレインがマゾ……」
「いやあああ!!!違います!!!」
「え?違うのか?」
「それはまた痛みと違うもので!!!」
「そうかぁ?俺なんか色々想像しちゃったけど」
「もう……シリウス卿はやっぱり男の人ですね」
意味がわからないのだが、まあいいか。
今、久しぶりに俺の心は震えていた。再び、天下無双の力を振るうことができると。仲間の復讐が出来ると。
音のする方向へと疾走する。
横を向くと、すでにレインが聖槍を手に持って粛の時は今か今かと待ちわびている……感じではなかった。
「本当に……死んでしまったんですね……ケイト卿も、ラグーザ卿も。シリウス卿が正気を保っていられるのが信じられません」
「仕方ない。俺はこんな状況を何度も見てきたからな。悲しいことだが、レインもいつかは、慣れるだろう」
「そうですか……」
レインには理解できないかもしれないが、今は同胞の死を嘆いているひまなどない。今、目の前には敵、敵、敵。
復讐を果たせ。
それが今の使命だ。
扉が目の前に見える。これを開けると奴らが。
「じゃあ、ご対面だ」
◆
そういうと、シリウスは扉を蹴破った。
派手な登場は相手に衝撃と畏怖を与える。同時に隙を作ることもできる。
「ヤバい……バレたぞ!!!!」
敵の一人が大声で奇襲を伝える。
「うるせぇッ!!!」
発砲。
金で彩られた装飾銃は、声の主の脳天に風穴を空けた。
ここで、まず一人。
ただ殲滅しても、誰に仕組まれて黒凱騎士団が半滅したのか。はたまた独断で行ったのかを聞き出すために生かしておく必要がある。
「レイン!一人だけ生かしておいてくれ!」
「分かりました!」
レインは聖槍で次々と向かい来る敵の波をなぎ倒していく。
「仇はとらせてもらいますよ、盗賊さん……!」
やはり駆け抜けていると切り傷やらかすり傷が体に刻まれてしまう。
「……一個はずそうかな」
そのままなぎ倒しながらそんな一言を呟く。
レインの頭のなかで、何かが、外れた。
「誰にも、見られない」
そうレインが呟くと、急に彼女の移動速度が上がり、周りの有象無象には視認できない程のスピードにまで登り詰めた。それと同時に、彼女の傷が急速に治りはじめた。
それを遠目で視認できるのはシリウスだけだった。
「あれが……あの時、傷が一瞬で治ったのはそう言うことなのか」
誰にも視認されなければ無敵。つまり聖槍の加護かなにかだろうとシリウスは予想した。
彼女に施された、神から授かった力。それを本人は"十字架の鎖"と呼んでいた。
鎖が外れるごとに、自分の体に力が宿る。その鎖は7筋。
全て外れれば自己の観念を壊しかねないので、外すことを彼女自身は忌避していたが、これだけの量を殲滅するにはやむを得ないと判断したのだろう。
聖槍の加護と合わさって、高速で移動し不可視になることによって傷は全て治り、理不尽に敵の命を奪い去る。
この最強とも呼べる戦闘スタイルが彼女を黒凱騎士団へ入団させたのだった。
「レイン……凄いな」
「お褒めに預かり光栄です、シリウス卿。というか、私は殺しただけで、シリウス卿はしっかり捕らえてるんですね」
「まあ、ちゃっかり?のほうが正しいんじゃないかな」
そんな談笑から切り替えて、本題に切り出す。
「レイン、黒凱騎士団の半滅はこいつらの手によるものじゃないみたいだ」
「そんな!じゃあ誰が……」
シリウスの話を聞くに、ここにいた賊は皆たまたま見つけた豪邸が空き家だったものだから、帰りのついでに金品を漁っていこうということらしい。死体には驚いたと供述していたために、賊がやった訳ではなさそうだ。
「でも……最低ですね」
「そうだな」
さてこいつをどうするか。知りたいことは全て喋らせたし、要済みというヤツだろうか。
殺すか。
逃がすか。
眠らせて島流しにするか。
自主させるか。
……そのどれも意味を持たない。
「無抵抗なのに殺すのはその……気が引けませんか?シリウス卿」
「そうだな。無駄な殺しはしたくない」
盗賊がわめく。
「……そうだ!!助けてくれ!!!」
「どうしますか、シリウス卿」
「レイン、お前に任せるよ」
「ええッ?」
シリウスは、レインの手によってここで要済みのこの賊がどうなるか興味があった。
「もし本拠地に帰ってにあなたが告げ口をして襲ってきたとき、私たちは問答無用であなたを殺します。分かりましたね?」
「ひいっ!」
賊は恐怖に怯えながら声をあげて逃げていった。
「レインは優しいな」
「いえ……まだまだ未熟者です。粛正が緩すぎましたね」
「いや、悪いことじゃない。人を、例えそれが極悪非道の輩だったとしても、それを慈しむ心を持つことができるのはレインの良いとこだと思うよ」
「シリウス卿……」
そんなことより、シリウスには気になることがあった。
「なあレイン、あのえげつないスピードはなんなんだ?」
その質問に対して、レインは自分の能力、つまり神から授かった"十字架の鎖"について自分が知っている範囲で説明した。
「……成る程。じゃあ一回切れた鎖はどうするんだ?」
「戻すには時間を有しますが、いまちょっと……ッ……!」
「どうしたんだ急に!」
そういって彼女の肩に触れる。
「ひっ!あん……まり触らないで……くださいぃ……」
「痛いのか?」
「鎖が戻るときはその……ッ!……体に激しい痛みがあッ」
「なるほどな。あれだけ暴れたらそれなりの対価もあると……」
一人納得していたのだが。
「それと同時に……ちょっと気持ちよく……」
「は?」
こいつまさか。
あるのか。
そういう性癖が。
「気にしないでください……ふぅ」
「終わったか?それにしてもレインがマゾ……」
「いやあああ!!!違います!!!」
「え?違うのか?」
「それはまた痛みと違うもので!!!」
「そうかぁ?俺なんか色々想像しちゃったけど」
「もう……シリウス卿はやっぱり男の人ですね」
意味がわからないのだが、まあいいか。
