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狼の翼
- 紛失 -

熱い、熱いよ...。


「奴はどこへ逃げた!?」


お母様、お父様、助けて...。


「おい、いたぞ!」


私を、一人にしないで...。


「く、来るなァーーっ!」

「うぁあッ...!助けてぇっ...」


お願いだから、これ以上·········

············私を、殺さないで·········。


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「くそ、暑ぃ···。」

焼け付くような太陽が、俺の肌をジリジリと焦がしている。
少し離れた所にいる商人が麻の上着を売っているようだが、おそらく俺の手持ちの金では買えないだろう。

「それにしても腹減ったな···。」

昨日から何も口にしていないのだから、当たり前だ。
唯一家の前の小川で確保出来ていた水さえも、最近続く謎の干ばつのせいで、昨日完全に枯れてしまった。
まあ、今日の買い物もそのためなのだが。
体の弱い母にとって、水不足、食糧不足は致命的だ。
母は「龍人に金など持たせるな」と怒鳴り散らす父をなだめ、姉を売って稼いだ残り少ないお金の中から、俺に水代を持たせたのだった。

ただ、問題は···

「くっそぉ、何でよりによって俺から盗るんだよ···。もっと金持ちのやつ他にいたろ···」

そう、超がつくほど鈍臭い俺は、この町でその大事な水代をスられてしまったのだ。
盗られたのは5000パルドが入った財布だけだったが、カラの汁でも買おうとズボンのポケットに入れておいた小銭は、僅か20パルドだ。
俺が親に頼まれた水5ℓを買うには、どんなに安くても······3000パルドは下らないだろう。
殆どを砂漠に囲まれたこの国では、水はそれほどに貴重なものなのだ。

「犯人は···まあ見つからねえよな···。」

いくら小さいと言っても、国は国だ。俺だけでこの町一つを洗い出すなどまず不可能だろう。

しかし、警察に頼むのは避けたい。
いくら俺が子供でも5000パルドとなると結構な大金だ。面倒な手続きは免れないだろうし、そもそも見つかるかどうかも分からない。···最悪、親を呼ばれるかもしれない。
水代をなくしたなんて父に知られたら······殺される。
しかし、慣れない嘘などついてその事が父にバレたら······殺されるな。

「じゃあどうすんだよ···どの道殺されるじゃねえか···。」

路上で一人頭を抱えていると、不意に背中を叩かれた。

「あの···何かお困りでしょうか?」

振り返ると、そこに立っていたのは···

目が眩む程に美しい、一人の少女だった。


久しぶりの投稿です。
私が気まぐれ連載していた小説の更新も諸事情により長い間していなかったので、そちらと並行して執筆していきたいと思います。
よろしくお願いします!
<2016/09/20 18:46 藤宮暖燈>消しゴム
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