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深爪の恋
- 五月の風 -

私たち東中学の一年生は「自然ふれあい宿泊学習」なるものにきていた。ウォークラリー、キャンプファイヤーと一日目のイベントが終わった。
宿で景色を眺めていると同じ部屋のアヤが話しかけてきた。
「明日もも楽器吹けないのー?寂しいよー」
アヤは同じ吹奏楽部で、テナーサックスを吹いている。小柄で可愛らしい外見とは違い、すごく渋くて良く響く音を出して顧問の石原先生を驚かしていた。
「真紀もクランポン吹きたいでしょー」
一方私はクラリネットを任された。高音が良く出せるから、
見た目がそれっぽいからと随分適当な理由で決められたが、
吹いてみると楽しくて、同じパートのハルちゃんやヒナも追い越していった。学校楽器じゃ満足がいかなくなり、貯めたお年玉とおじいちゃんの年金でクランポンのR13を買った。いい音が出せるから気に入っている。
八時半位に先生が「レクの時間よ」と呼びに来たからホールに向かった。ひと学年九十人という少ない人数の学校だから
広々と遊べた。九時位に終わって宿に戻ろうとしたら、スニーカーの靴ひもが絡まっていて遅くなった。
早く戻らなきゃ。急いで外に出るとほとんど人がいない。
五月の風が心地よく頬に当たり、夜盲症でよく見えないが空に星が瞬いていた。

「ツェルニー今何番?」
びっくりした。階段を踏み外しそうになり、手で腕を掴まれる。なんだ、ショウか。 こいつは同じ小学校で、ピアノ教室も同じ。指が長くていつも深爪だから手を見ただけで分かる。私も人のこと言えないくらいの深爪だけど。
「五十番の途中」
「えー、負けちゃった」
夜だからかなんかどきどきする。
「俺今五十番にやっと入ったとこなんだ」
どう返せばいいのかわからない。
ショウの手を掴んだ。
「私、前よく見えない」
「鳥目?」
頷くとショウが手に少し力を入れていた。
無言のまま二人で歩いた。すぐ宿に着いた。
ありがと、と手を離すと、ショウはうん、と小さく手を振った。

部屋に帰るとアヤがおっそいー!と甘えてきた。
適当に相手しながら思った。
あのどきどき、初恋かな?

いかがでしたか?
暇があれば続編も書きますんでよろしくお願いします!
<2016/09/20 20:38 なまこの魔法使い>消しゴム
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