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妖精王の罪 第11話



二人がいなくなって、数日後。
人数が減ったからと言って、豚の帽子亭の営業は変わらない。
エリザベスはいつものように店内の掃除や片付けをしていた。
いつもなら、ディアンヌと喋りながら、楽しく開店準備をしていたが、ディアンヌはもういない。
ただただ響く作業の音が、こんなに寂しいだなんて思わなかったエリザベスは、ため息をついた。

「エリザベス、どうした?」
ぽんぽんと頭をなでられ、振り返ると、メリオダスがいた。
「メリオダス様!その…やっぱりさみしいなって思ってしまって…。ダメですね、こんなことで、私。」
「あの…メリオダス様も、いつかは…」
エリザベスが何かをいいかけた。

するとメリオダスはエリザベスを優しく抱きしめた。
「め、メリオダス様⁉︎あ、あの…」
エリザベスは顔を真っ赤にして困惑した。

「心配ねぇ。みんなそれぞれ生きる道があるんだ。みんなが離れ離れになったとしても、俺は、お前の前からいなくならねーよ。もしいなくなったとしても、必ずお前のところに帰ってくる。それが俺の生きている意味でもあるからな。」
いつものいたずらっぽい笑顔でそう言った。

「メリオダス様…。」
それは、エリザベスが最も欲しかった言葉だった。
エリザベスは思わず涙目になった。
「じゃあ私は、メリオダス様をいつでもおむかえできるようにしておきますね。」
にっこり笑ってそう言った。
「ああ。頼むぞ。」





キングとディアンヌは、妖精王の森で暮らし始めて数日がたった。
始めは、妖精王が妖精以外の女の子を連れ込んできたと妖精達は騒いだし、やはりよく思わない者もいた。
でも、元々あの性格のディアンヌだ。
妖精達と会話するうちに、敵対心どころか、妖精族への興味津々なディアンヌに、妖精達もいつの間にか色々と教えてあげていた。
外の世界をあまり知らない妖精達は、逆にディアンヌに色々教えてもらっていた。
そうする内に、すっかりディアンヌは輪の中にいた。
やっぱりディアンヌはすごいな、と改めて感じるキングだった。

キングは、妖精王の森に戻ってからは、すっかり王らしくなってきた。
森の警備強化はもちろん、いざという時のために妖精達に、自分達を守る最低限の戦いができるようにと特訓を始めたのだ。
この森で、戦える者はあまりいない。
自分一人では、守りきれないこともある。
キングは、帰ってきたときはみんなが自分を受け入れてくれるのか、と心配していたが、妖精達は、この前の戦いで森を守ってくれたのは、紛れもなく現妖精王だと、彼を否定する者はいなかった。
そしてそんな自分に、みんなついてきてくれている。
それに応えるためにも、そして、いつでも心の支えとなったディアンヌの存在が、彼を大きく動かしていた。

妖精達と楽しげに会話をするディアンヌを遠くからみつめるキング。
キングは、親友ヘルブラムが最期に残したカブトをかぶった。
すると今は亡きヘルブラムの声が聞こえた。
このカブトは、不思議な力が込められているのだ。
「やあ、ハーレクイン。その様子だと、なんだか順調なようだね?」
久々に聞く親友の声に、頬が緩んだ。
「うん。いつか、こうなることを夢みてたんだ。本当は、君と、エレインも、一緒に暮らしてるはずだったんだけどね…。」
それは、彼がかつて夢にみた光景。

「もうオレっちは、そっちの世界には戻れない。…でも、こうやって妖精王の森と、親友のチミと、チミの大事なでっかわい子ちゃんの行く末を見守るってのも、中々悪くないもんだにぃ〜。」
「今度こそ、妖精王の森を守り抜いてみせるよ。もう君やエレインのような、犠牲を出さないためにも。
だからしっかり見ていてよ。」
迷いのない彼の目はとても強く見えた。

「なんだかすっかり、王様らしくなっちゃって。」
「あ、そうそう。ハーレクイン。あのでっかわい子ちゃんも、女の子なんだから、ちゃーんと捕まえとかないと、どっかにふらーっといっちゃうかもよ〜?、くくく」

「ディアンヌはそんな簡単に他の男についてったりする子じゃないよ!」
茶化されて、ムキになっていい返すキング。

「ボクがどうかした?キング」
慌ててカブトを外すと、ディアンヌがいた。
「ディアンヌ⁉︎い、今の聞いてたの⁉︎」

「ふふ、聞いちゃった。独り言にしては、ずいぶんムキになってたね。それとも寝ぼけてたの?」
くすくすと笑うディアンヌ。
彼女に聞かれたと知って、キングはヘルブラムにやられた、と思った。
「じゃあ、しっかりボクを捕まえといてね?」
キングの顔を覗き込み、ウインクするディアンヌ。
「う、うん。」
ディアンヌの顔が近くなり、赤面しながら答えるキング。
そんなキングを見てディアンヌはちょっといじわるしてみたくなった。
「じゃないと、団長のときみたいになっちゃうかもよ?」
「ええっ⁉︎そんなぁ」
落ち込むキング。

「冗談だよ。」
と笑いながらディアンヌは言った。

ディアンヌの言動に終始落ち着きのないキングを見て、彼女はくすくすと笑った。
キングは突然ディアンヌの手を掴み、すごい勢いで喋り始めた。
「オイラ、頼りないかもしれないけど!でも、ディアンヌが好きだから!それは誰にも負けないよ!
ディアンヌがどんな時も、オイラがついてるからね!」
真剣にそう言うキング。
「ありがとう、キング。ボクは、どこにもいかないよ。
ずっと、キングの側にいる。」
照れたように笑ってそういったディアンヌ。

妖精王の森に、再びかつての幸せな時間が流れていた。

続きます!
<2016/10/21 11:17 ついんくる>消しゴム
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