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妖精王の罪 第11話



キングとディアンヌが妖精王の森に暮らし始めて二年の月日が過ぎた。

今日は二人は久しぶりに、豚の帽子亭に遊びにきていた。
といっても、バンは一年前くらいからどこかに旅に出たらしく、マーリンはキャメロットへ帰還しているらしく、メンバーも少なくなっていた。

けれど二人が豚の帽子亭にくることを知ったギルサンダー、ハウザー、グリアモールの聖騎士三人組が集まってくれた。
三人とも数年前より随分と逞しくなっていた。
そして、もちろん、メリオダスとエリザベス、ホークとゴウセルもいた。



「みんな、久しぶりだね!」
ディアンヌは嬉しそうに笑った。
「ディアンヌ!元気そうね!」
「エリザベス〜!あいたかったよ!」

「キングお前、ここにいたときよりいきいきしてないか?」
「ま、まぁ…毎日ディアンヌがいるからね、えへへ。」

「…くそう、キング。羨ましい…」
「元気だせよハウザー…。」
「まぁでも、お似合いの二人だよなぁ。」

「ハウザーは、ディアンヌの事が好きなのか?」
「プゴーッ!ゴウセル!それ言っちゃあかんヤツ!」
「なぜだ?」
「……。」

「キング殿!ぜひ、後で一戦お手合わせ願いたい!」
「あっ!ずりぃ!俺も!」
「私も、宜しいですか?」
「いいよ。でも、手加減しないよ?」
「こっちだって、手加減しねーぜ?」
「ハウザー、君には負けるわけにはいかないね。」
「でもよ、キング。ハウザーとギル坊、今じゃ聖騎士長なんだぜ?油断してっと、お前でもあぶねーかもよ?にししっ」
「えっ!聖騎士長になったの⁉︎すごいな…おめでとう。」

みんなそれぞれ、くだらないことや、最近あったことをたくさん話した。
それから約束通り、キングは聖騎士三人と決闘をした。
メリオダス達は、その様子を店の中から見物していた。
しかし、シャスティフォルを操るキングに、勝てるはずもなく、三人がかりでも結局勝てなかった。
三人、特にハウザーは、心底悔しそうだった。







それからは、ディアンヌとキングは、せっかくだからと王都にいくことにした。
昔よく行っていたフィッシュパイのお店や、豚の帽子亭の仕入れに行っていたお店など、ハウザーのおじさんのお店などにも立ち寄った。




一通り見て、噴水の近くの椅子で座っていると、突然ディアンヌが思いついたかのようにキングに提案した。


「ねえキング!かくれんぼしない?」
「かくれんぼ?どうしたの、急に。」
「昔、追いかけっこしたじゃない?それを思い出したら、懐かしくなっちゃって。」
えへへ、とディアンヌは笑った。
「いいよ。じゃあ、一つだけお願いがある。」
「ん?何〜?」
「オイラがディアンヌを捕まえたら、またオイラのお願いを一つ聞いてくれる?」
「もちろん!」
「じゃあ、エリアは街の中ね。お店の中はダメだよ。
五分したら、オイラが探しに行くから、それまでに隠れてね。」
「わかった!じゃあ、スタート!」
ディアンヌは子供みたいにはしゃいで走り出した。
そんなディアンヌを微笑ましく見守ると、キングは近くの時計をみて、しっかり五分計った。
五分後、椅子から立ち上がると、一呼吸して、
「よしっ、絶対ディアンヌを見つけるぞ!」
と意気込んでふわふわと飛んで行った。


キングは、路地裏や、時計塔の中、家の屋根の上、様々な場所をくまなくチェックしていた。
「いないなぁ〜。」
街の中は、案外広いことに気づき、もっとエリアを狭くすればよかったかな、と少し後悔していた。
(でも、必ず見つけるよ、ディアンヌ。)




一時間後、キングは焦っていた。
「まずい、こんなに見つからないなんて思わなかった。もうどこを探せば…。」
空は夕日が顔を出し、オレンジ色に染まり始めていた。


そこでキングは、さっきのディアンヌの言葉をふと思い出した。
(昔、追いかけっこしたじゃない?なんだか懐かしくなっちゃって。)
「懐かしく…。あっ、そうだ!」
キングは、ある場所へと向かってとんでいった。


(ここかな…。)
キングが着いたのは、教会の前だった。

キングは教会の重たい扉を開けた。

中はひんやりとして薄暗かったが、ステンドガラスから差し込む光がキラキラとひかってみえた。
教会はたくさんの椅子が並んでいて、正面には十字架をもった女神のような銅像が飾られていた。

その真正面の一番前の椅子に、誰かが座っていた。
キングは迷わずその人物のところへ歩いて行った。



「やっと見つけた、ディアンヌ。」
ディアンヌの肩を後ろからぽんっと叩くと、ディアンヌは振り返った。
「もう、遅いよキング!でもよくここがわかったね?」
と、立ち上がっていつもの笑顔で笑った。
「君が、懐かしいって言ってたから、もしかしてここじゃないかな、と思ったんだ。気付くの遅かったけど。」
「そっか!」

「ねえ、ディアンヌ。じゃあ、オイラのお願いを聞いてくれるかい?」
「あっ、そうだった!いいよ!何して欲しいの?」
ディアンヌはわくわくして、キングの顔を覗き込んだが、なんだかキングは、深刻そうな顔をしていた。
「キング…?どうしたの?」
しばらく黙り込むキング。
彼のその様子をみて心配になるディアンヌ。

キングは口を開いた。

「ねえディアンヌ、二百年前の約束、覚えてる?」
「二百年前の約束…、もちろん、覚えてるよ。」

ーーーーーー
(ボクを、ずっと好きでいて?)
(約束するよ!君をずっと好きでいるし、ずっと側にいるよ!)



そう、ハーレクインは約束してくれた。


「あの時の約束、今も変わらないよ。オイラ、ずっとディアンヌのこと好きだった。」
彼の顔が赤く染まり、思わずディアンヌも赤面する。
「けど、ずっと側にいる、っていう約束は叶えてあげられなかったな、って思って。」
俯くキング。
そう、キングは自身の罪を償うため、ディアンヌの記憶を消し、彼女の前から姿を消した。
「だからさ…。」
キングはディアンヌの手をとった。
「今度は、ずっと側にいるっていう約束をしようと思って。」
キングは優しく微笑んだ。

「ハーレクイン…それって、どういう意味…」
握られた手が熱い。
しばらくの間、沈黙が続いた。
その間に、心臓の音だけがうるさく耳に響いた。









「ディアンヌ、オイラと、結婚してくれる?」




いつの間に取り出したのか、キングの手にはキラキラと小さく光る、お花を形取った指輪があった。


涙が一筋、ディアンヌの頬を伝った。
彼女の答えは、もちろん決まっていた。
「…はい。」

キングは彼女の左手の薬指に、自身が持っていたそれをはめた。

「オイラ、必ずディアンヌを幸せにするからね。」

「大丈夫…。」
「え?」



ディアンヌは涙を流しながら思いっきり笑って言った。
「もう、十分幸せだから!」



キングはディアンヌをギュッと抱き締めた。




「ディアンヌ、愛してるよ。」
始めて言われた言葉。ディアンヌも、始めて言った。
「ハーレクイン…愛してるよ。」




暫くして向き合うと、二人は互いの唇を重ねた。
何度も繰り返し、何十年という隙間をうめるように、互いの温もりを感じていた。






「…ずっと、側にいてね、ハーレクイン。」

ディアンヌはりんごみたいに真っ赤になった顔で恥ずかしそうに笑った。


キングは返事の変わりに、再び彼女の頭を優しく抱き寄せ、キスをした。

終わりです!
キングとディアンヌがいつかこうなったらいいなーと思い、書きました。読んでくれた方ありがとうございました!
<2016/10/24 16:58 ついんくる>消しゴム
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