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妖精王の罪 第11話



「お〜いキング!わりぃんだが、ちょっくら仕入れを頼まれてくれるか?」

神器をまくらにかえてふよふよと浮きながら暇を持て余していたキングは、ふいに呼ばれて下をみると、メリオダスがいた。
腕を大きく上にあげて伸びをすると、彼と同じ目線まで降りていった。
「いーよー。何を仕入れるの?」
「ワイルドベリーだ」
「…!あれは妖精王の森でしか手に入らないよ?」
「知ってる。だからお前にお願いしてるんだ。」
「結構距離あるんだけど?」
「そうだな。…でもよ〜何度も客にないのかって聞かれたもんでなー。お前は適任だろ?」
「え〜。少なくとも往復三日はかかる距離じゃないか。今はオスローは妖精王の森に置いてきちゃったし…。歩いていかなきゃならないじゃないか。」
「…お前の場合、飛んでいくの間違いだけどな。」
キングが中々承諾しないので、メリオダスはある提案をした。
「よしっ、じゃあ特別に助っ人を用意してやる!」
「助っ人?」
「うちの看板娘を誰でも一人連れて行っていーぞ!にっしっし」
「えっ⁉︎誰でも?」
そう言われればキングが連れて行くのは一人に決まっているし、急にやる気をだすことも、メリオダスは知っていた。
「やってくれるか?」
「…ディ、ディアンヌと一緒なら、引き受けてもいーよ。」
「よしっ、決まりだな!」
キングとディアンヌは妖精王の森にいくことになった。


「なんか、巻き込んだみたいでごめんよ、ディアンヌ」
そう言うとディアンヌは笑顔で返してくれた。
「ううん!ボク、妖精王の森に一度行ってみたかったし、むしろなんか楽しいよ!」
「そっか。ならよかった。」
「ねぇねぇ!ハーレクインは、妖精族なんでしょ?妖精王って、どんな人なの⁉︎ボクも、会えるかなっ。」
「えっ…。う〜ん、どうかな。オイラもよく知らないな…。」
「そうなの?」
咄嗟に嘘をついてしまった。
親友を探しにいく目的とはいえ、妖精王の森をでて、妹のエレインを守れず、親友も守れず、森も守れなかった自分を妖精王と呼んでいいのか自信がなかったからだ。
むしろ、妹を生き返らせようと今もその方法を探り、妖精王の森を蘇らせてくれたバンを、かつて妖精王と呼ぶものもいたが、そのときはキング自信、本当にバンの方が妖精王に相応しいのではないかと思ってしまったくらいだ。

「ハーレクイン、どうしたの?」
「あっ!ごめん、何でもないよ。」
それから二人は色々と話をしながら、途中休憩もいれながら一日中歩いた。
「もう少しだ!ディアンヌ、大丈夫?つかれてない?」
「ちょっと疲れたけど、大丈夫だよ!それより、ボクお腹すいちゃった!」
てへっと舌をちょっとだしてディアンヌが困ったように笑った。
(かわいい…。)
「じゃあ、少し休憩しようか。オイラはちょっと食べられそうなものを探してくるから、ディアンヌはここで休んでいてよ。」
「え、でも…いーの?」
「もちろんだよ!ちょっと待っててね。」
「ありがとう、ハーレクイン!」
ハーレクインは森の奥に消えていった。
ディアンヌはその場に腰を下ろした。

いつも以上に歩いてかなり疲れていたディアンヌは、周囲を全く警戒していなかった。
突如、自分の後ろに何かいる!と振り返った時にはもう遅かった。
大きなキノコの怪物、といってもディアンヌからすれば小さいキノコなのだが、それが自分にむかって霧のようなもので攻撃してきた。
「うわっ!な、何コレ…。」
痛みなどは全くなかったが、霧の影響でごほごほと咳き込むディアンヌ。
霧が消えてあたりがだんだんと見えるようになってきた。
「…ん?」
ディアンヌは辺りの様子がおかしいことにすぐに気づいた。
さっきまで見下ろしていたはずの木々は、自分よりはるかに高い位置になっていた。
そう、まるで、周りのものが全部大きくなってしまった…?
「ち、違う!ボクが、小さくなっちゃったんだ!」
やっと状況を理解したディアンヌは慌てふためいた。
(どうしよう!これ、ボク死んじゃったりしないよね⁉︎)

「ディアンヌ〜?お待たせ…って、ディアンヌ⁉︎どうしたの⁉︎」
ディアンヌの姿をみて驚いたキングは持っていたものを落としてしまった。
そして、顔を真っ赤にして目線をそらしながら聞いた。
「ディアンヌ、何があったの?」
ディアンヌは半分泣きそうになりながら事の経緯を説明した。
「それは多分チキンマタンゴだ。危険が身に及ぶと、生物を収縮させる胞子をだすんだ。」
「でも、大丈夫だよ!身体に害はないし、時間がたてば元に戻るはず!」
「それを聞いたディアンヌは心底安心したのか、キングに本当⁉︎ととびついた。
「ディアンヌ⁉︎⁉︎あ、あの…その…」
「…ん?」
「ふ、服…」
そういわれて見下ろすと、自分は何も着ていないことに気がついた。
小さくなってしまったので、巨人用の服が脱げてしまったのだ。さっきまでパニックになっていて、気づかなかったのだ。
「わあああっ!」
ディアンヌは顔を真っ赤にすると、すぐにかがんで隠した。
(は、恥ずかしい…)
「えーっと…、ディアンヌ、何か布とか持ってる?」
「へ?んーと、カバンの底に一枚ひいてあるやつなら…。」
「それ、ちょっと借りるよ。」
キングは、巨人用のバッグから布を引っ張り出し、何やら作業し始めた。
しばらくして
「できた!はい、ディアンヌ、着てみて。即席だからこんなものしか作れないけど」
ディアンヌはキングが作ってくれたそれに袖を通す。

「ハーレクイン、すごい!」
「サイズがあって良かったよ。」
薄い布のため少し貧相だったが、でも即席で作ったとは思えないワンピースだった。しかもディアンヌの今のサイズにぴったりだった。
(…あれ?なんだか昔にも、こんなことあったっけ…?)
ディアンヌはそう思った。が、やはり思い出せなかった。

「とりあえず、ディアンヌの荷物はオイラのシャスティフォルで運ぼう。またマタンゴが出てくるかもしれないし、もう少しだけ歩けるかい?」
「うん!大丈夫!」
さっき落とした果物や木の実を拾い、歩きながらディアンヌにも手渡した。


ーーーーーー

「着いたよ!ディアンヌ!」

疲れて下をむいて歩いていたディアンヌだっだか、呼ばれて顔をあげた。
周りを見渡すと色とりどりの花や、沢山の木々、小さな小川が流れていて、その水がキラキラと光って見えた。
とても疲れているはずなのに、その空間に入った途端、身体の疲れが引いていく感じがした。

「これが…妖精王の森。…綺麗。」

続きます!
<2016/10/04 14:16 ついんくる>消しゴム
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