その日の夜はもう遅かったので、団長には明日話すことにした。
ディアンヌは、マーリンが作ってくれた小さくなる薬のおかげで、最近はお店の中で寝ていた。
いつものようにキングがディアンヌを部屋の前まで見送ると、おやすみと声をかけた。
「キング」
いつもならおやすみと返ってくるのだが、今日は違った。
そして恥ずかしそうに顔を赤くして言った。
「今日は…一緒に寝ない?」
「えっ」
キングはもっと顔を赤くして、一瞬フリーズしたが、すぐに我に返った。
「だ、ダメだよ!!」
「どうして?」
「どうしてって…その、まだ、そういうことは、早いんじゃないかな…」
精一杯ごまかすキング。
するとディアンヌは
「もうっ。そうじゃなくて!ただ普通に一緒に寝ようって言ってるの!」
「えっ、そうなの⁉︎…あ、いや。ごめん、うん、そうだよね、ははは…。」
勝手に勘違いしたキングは恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「もう、何想像してたの!キングのエッチ!」
といいながら笑った。
「ち、違うよ!まぁ、寝るだけならいいよ。」
慌てて話をそらすキング。
二人は同じ部屋へと入っていった。
同じベッドに入るのは、もちろん始めてだ。
「なんか…緊張するね」
えへへ、と笑うディアンヌ。
「そうだね。昔なら、こんなこと想像もつかなかったな。」
キングは緊張しつつも、今目の前の幸せを感じていた。
「おやすみ、ディアンヌ。」
ディアンヌのおでこに軽くキスをすると、お返しにディアンヌはキングのほっぺたにキスしながら
「おやすみ、キング。」
と言った。
二人はお互いの温もりに幸せを感じながら眠りについた。
翌朝、ホークのいつもの大声で目が覚めた。
「おめぇら起きろー!!!」
「うーん…」
キングが目を覚ますと、隣のディアンヌはまだ眠っていた。
(ディアンヌ、寝顔も可愛いな…。)
しばらくディアンヌの寝顔を眺めていたが、下からホークの声が再び聞こえてきたので、仕方なくディアンヌを起こすことにした。
「ディアンヌ、朝だよ。」
彼女の肩をぽんぽんと叩いてディアンヌを起こした。
「うーん…おはよー…キング。」
ちょっと寝ぼけながらだるそうに体をおこすディアンヌ。
「おはよう、ディアンヌ。」
二人は一緒に下に降りていった。
「おはようございます!二人とも」
エリザベスは朝から元気に挨拶をした。
「おはようございます、エリザベス様」
「おはよー…エリザベス〜」
まだ眠気が残っているディアンヌは目をこすりながら挨拶を返す。
「エリザベス、ボク達も手伝う〜。」
「本当?じゃあ〜…今みんなのパンを焼いているから、焼きあがったらお皿に取り分けて、バターを塗ってくれる?」
「わかった!」
「じゃあオイラはお皿だすね」
ディアンヌは手と顔を洗い、眠気を覚ましてから、手伝いをした。
キングはお皿を並べるためカウンター側にいくと、団長が卵やベーコンなどを並べていた。
「おはよう、団長。それ、調理するの?」
「おっす!そーだぞ!」
「…オイラがやろうか?」
「えっ、お前、料理出来るのか?」
「それぐらいは出来るよ。」
「俺は出来ない!」
「知ってるよ…」
団長の料理音痴は今に始まったことじゃない。
みんなで一緒に、朝食を用意し、席についた。
お酒を飲みながらカウンターで寝てしまったバンをたたき起こし、いつの間にかいたマーリンとゴウセルも席についた。
「「いただきまーす」」
みんなで朝食を食べた。
そしてそろそろ食べ終わるかという頃に、キングは話を切り出した。
「ねぇみんな。オイラ、森に帰ろうと思うんだ。」
唐突なキングの声に、事情を知らないみんなはポカンとキングの顔を見つめた。
「はぁ?なんで今更」
バンがすぐさまそう言った。
この前団長に言った理由を大まかに説明したキング。
「ふーん…ま、いーんじゃねーの♪そーすりゃー森で眠ってるエレインも、少しは安心できるだろ♪」
みんな特に反対もしなかったので、キングは安堵した。
するとディアンヌが突然立ち上がって
「それでね!ボクもキングと一緒に行きたいの!」
「ええっ⁉︎」
真っ先にエリザベス様が驚きの声をあげた。
「おいおい、それは聞いてねーぞ?」
団長が困った顔で言った。
「今日言おうと思ってたの!ボク、キングと一緒に森で暮らしたいの。」
「いーんじゃね♪ 別に何か困るわけでもねーだろ♪」
「んーにゃ、看板娘が一人減るという大損害がある。」
「ディアンヌの代わりに、俺が看板娘をやってやろう。」
決めポーズをするゴウセル。
「却下」
「まぁしゃーねぇ。ダメだとか言える権利なんかないしな。やっとキングの念願も叶うわけだし?応援してやるよ。にししっ」
「ほんと⁉︎ありがと〜!団長!」
ディアンヌはぱあぁっと顔を明るくしてそう言った。
「みんな、ありがとう。」
キングもお礼をいった。
「ディアンヌ、私は寂しいわ…、でも、今のディアンヌ、とても幸せそう。だから、寂しいけど、応援してるからね!」
エリザベスは半泣きでそう言った。
ディアンヌはエリザベスを思いっきり抱きしめると
「ありがとう」
と言った。
こうして、二人は妖精王の森で暮らすことが無事決定した。
そして数日後、仲間に見送られ、二人は森へと旅立っていった。
