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イナズマイレブン~赤髪の死神~
- 第81話父さんの過去 -

僕ウルビダの蹴ったボールが父さんの方へ行く、だけど、父さんは動かなかった。
そしてそれを邪魔する者が居た。

「うぐッ・・・」

「ヒロト・・・?!」

「グラン・・・お前・・・」

ヒロトに止められたボールはコロコロと何処かへと転がって行く、ヒロトは痛みで顔を歪めて倒れ伏した、皆が呆然と立っている中円堂はヒロトの元へ駆け寄りヒロトを起こしていた。

「何故だ・・・グラン・・・」

「!!」

「そいつは我々の存在を否定したのに!! そいつを信じて戦ってきた我々の存在を・・・!!!」

「私達はすべてを賭けて戦ってきた! それを今更間違っていた!? そんな事が許されるのかグラン!!」

僕とウルビダは声を荒あげて息を乱しながらヒロトを見る、父さんは申し訳なさそうな顔をしながら黙って俯いていた。

「確かに・・・確かにウルビダ、霊歌の言う通りかもしれない。お前達の気持ちも分かる。でも、それでもこの人は・・・!! 俺の大事な“父さん”だから!」

「「!!」」

「勿論、本当の父さんじゃない事は分かってる。ヒロトって名前が・・・ずっと前に死んだ父さんの本当の息子だって事も・・・」

ヒロトの言葉に鬼道は姉さんを見た、姉さんは静かに頷いた。
ヒロトは痛みでふらつくがすぐに円堂が支えた。

「それでも良かった! 父さんが俺に本当のヒロトの姿を重ね合わせるだけでも・・・!」

その言葉を聞いて僕は昔の事を思い出した、いつも僕も父さんが来るのが楽しみで仕方がなかった、父さんが来ると部屋を出て皆の場所に行けば父さんは両手いっぱいにプレゼントを持ってやって来た、父さんが来る事が僕の楽しみだった、僕の生きる1つでもあった。

「例え、存在が否定されようとも、父さんがもう俺達を必要としなくなっても・・・それでも! 父さんは俺にとってたった1人の父さんだから!!」

「ヒロト・・・お前はそこまで・・・私を・・・。・・・私は間違っていた。私はもうお前に父さんと呼んで貰う資格はない」

父さんはそう言うと僕とウルビダに向かってボールを投げた、僕とウルビダはボールに気が付くと父さんを見てお互い目を見合わせた。

「さあ、撃て! ウルビダ! 霊歌!」

「父さん!」

「・・・こんな事で許して貰おうと思わない。だが、少しでも、お前達の気が治まるのなら・・・。さあ!」

少しの沈黙が流れるが僕とウルビダは足を上げる、蹴りこむだけでいいんだ・・・僕達の存在を否定したあいつにただ蹴りこむだけなのに・・・!! 僕とウルビダはその場に座りこむ。
出来る訳がない・・・僕にとって・・・僕にとっても・・・あの人は・・・!!

「「僕/私にとっても大切な・・・父さんだから・・・!!」」

そして僕とウルビダは蹲り泣き声を上げて泣いた。
当たり前だ・・・ヒロトが言う様に貴方は僕にとっても大切な人だから、僕の絶望を救ってくれたのも父さんで僕の居場所やヒロト達皆の輪に入れてくれたのも父さんだから・・・。

「父さん・・・昔、まだヒロト達が居なかったお日さま園の時に言ってくれた言葉覚えてる?」

「霊歌・・・」

「『どんな時でも1人だとは思わないで前を向けばきっと信じ合える仲間と友達に出会えるから』って」

「・・・・・」

「僕・・・やっと出会えたよ。ヒロト達や円堂達に・・・こうやって皆と出会えたよ。父さんも・・・父さんも・・・その中に入ってるんだよ」

僕はそう言うと父さんはへなへなとその場に座り込んだ、後ろを見るとジェネシスの皆もぽろぽろと涙を零して泣いていた。
そうだ、父さんは僕達に居場所をくれた・・・たった1人の僕達の父さんなんだ。

「私は人として恥ずかしい・・・こんなにも私の事を思ってくれている子供達を、単なる復讐の道具に・・・」

皆が父さんを見ていると、鬼瓦さんが父さんの傍まで歩み寄って僕を見て父さんを見た。

「吉良さん、教えてくれませんか? どうしてジェネシス計画と言う物を企てたのか、何処で道を誤ったのか。利用してしまったあの子達の為にも・・・」

僕は伊豆野兄さんとルルに支えられながら父さんを見る、父さんは俯き加減でどうしてこんな計画を企てたのかを話し始める。
その過去にはとてつもない大きな闇が隠れていた・・・。

「グランの言う通り、私にはヒロトと言う息子が居た。とてもサッカーが好きな子で夢はプロのサッカー選手だった。・・・だが、サッカー留学をした地で謎の死を遂げたのだ。私は事件の真相の解明を求めて何度も警察に掛け合った。だが、警察は政府要人の1人息子が関わっていたとかで結局事故死として処理された。その時の悔しさははっきりと覚えている。息子に何もしてやれなかった悔しさ、そしてあの喪失感・・・息子を失い心に大きな穴が開いた私は生きる気力を失った・・・」

父さんの語る話は僕が想像していたより酷くてまるで昔の僕みたいだった、僕も兄さんを失って兄さんに何もしてやれなかった後悔と生きる意味を失った、父さんと昔の僕は似ていた。
そんな父さんに姉さんは歩み寄る、父さんは姉さんの方を見た。

「そんな時だった、瞳子が私に、親を亡くした子供達の施設『お日さま園』を進めてくれたのは・・・。最初は娘の頼みと思い作ったお日さま園だったが・・・子供達の笑顔に私の心の傷も癒えて行った・・・。本当にお前達には感謝している、お前達が私の生き甲斐だった。・・・そして、5年前、隕石の落下。それがエイリア石だった。エイリア石の分析を始めた私達は、すぐにその恐るべきエナジーに気が付いた。そして、私はエイリア石の魅力に憑りつかれていった・・・。その素晴らしい力に、それまで心の中で押し殺していた復讐心が再び込み上げてきた」

父さんは全ての経緯を話し終えると僕に目を向けてこう言った。

「霊歌は一度それを見破ってこう言った。このエイリア学園には悲しみと憎しみが混じっている・・・まさにその通りだ。すまない・・・本当にすまなかった・・・私が、愚かだった」

父さんの話を聞いて皆静まり返っていた、この学園の悪魔が何を企んでいるか気づかないまま・・・。

続く

急な爆発に慌てる雷門イレブンとジェネシスの子供達。
そして霊歌とヒロト達との別れがやって来る。
<2016/11/30 16:41 死神>消しゴム
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