おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
夜迷い変奏曲
- 02 -


白と黒の駒が盤上を舞う。

涙さんの白きクイーンが僕を殺した。

「チェックメイト。君なら終わらせてくれるかと思ってたのに、駄目だったね」

「……なんであんなこと言ったんです? いつか本当に死にますよ」

「ハハッ、確かに。でもいいんだよ、死のうと思ってたし、これはこれで面白い」

「意味深です。しかも不謹慎」

「そう? でもさ、スリリングだろ? 好きなんだよそういうの、ジェットコースターとかもね」


命とアトラクションを同じに見ちゃ終わっているだろ。


「あと、僕に負けた人の態度とか」

「………今の僕みたいなのですか」

「違う違う、奴等はこう言うんだよ。"お前が死ぬと言うから手加減してやった"ってね。人間の闇が見える」


涙さんの人を哀れむ様な顔は、僕を引き込んで行く。

雨が、小さな世界を壊して行く音がした。
昔からあまり好まない。



「そろそろ、帰ります。雨降ってるし」

「送っていこうか?」



「結構です、大丈夫です、お気になさらず」


「うわ、冷たいな。僕、そう言われると燃えるんだけど」


「M ですね。チェスの王様が」

「王様が送ってく、と言っているのだ」





雨音は僕の声を掻き消した。

<2016/12/04 19:56 月色 よる>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.