おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
牧野ちゃんは計算高い
- 牧野ちゃんと幼馴染 -

「……今日も待ち伏せ?美優ちゃん」
「げっ、清瀬……悪い?好きな人待ち伏せして!」
「充分悪質だと思うんだけどなぁ……少なくとも僕は」
「アンタの意見は求めてないの〜」
銀色で、薄めなフレームの眼鏡。さらさらとした黒髪は、艶があり羨ましいほど。
男の割にはパワフルさの感じられない細身。
身長は174センチと、まぁ同年代の平均より少し高い。私は割と小柄(150センチ)なので、それなりにムカつく。
清瀬空(きよせ そら)は、悲しいことに私の幼馴染だった。
「まぁ、美優ちゃん相当鈍臭いから。そのうちバレても知らないよ〜、何度も言うけどね」
「日常生活ではそうかもしれないけど!ぜっっっったい恋愛ではヘマしない!」
成績は、自分で言うのもなんだが良いのだ。
掃除時間の時。廊下の曲がり角で私と先輩がぶつかる確率を計算したうえで本番に望んだ。
勿論結果ら大成功。むしろ手を貸してもらいながら立つことに成功したほどだ。
「しかもそのあと、先輩の手の大きさ、感触を記憶して研究したんだから!」
「そこは知らなかったかな……で、研究の成果は?」
「ふっふっふっ……先輩の手を再現したオブジェ作りを達成したわ!」
「わー、さすが美優ちゃん。恋愛のことになるといつもより頭が冴えわたっているー」
「でっしょお?どこまでも棒読みだけど許す!」
誰だって、褒められて嬉しくない訳がないのだ。


「ところで美優ちゃん」
「何よ?」
「今日からテスト期間なので、部活がないことは知っているかい?」
「それくらい知ってるわよ」
何を言い出すのだいきなり。
少しでもテストに集中するために、1週間の部活停止がどこの部活もかかっている。
放課後の練習だけでなく、休日練習、昼練、朝練も……………朝練?
「ああああああああああ⁉︎へっ、ヘマした!ヘマしたよ空ぁぁぁぁ!!」
「だから言ったじゃん……って美優ちゃんやめて。襟掴んで揺さぶらないで」
咄嗟に我に帰る。なんて失態。醜態。死にたい。
無駄に語呂の良い自虐を思いつくあたり、まだ心の余裕はなさそうであるようだ。
朝練が休止ということは、先輩はいつもよりも遅めの時間に出発するということだ。
まだ先輩の方が早いよりかは良いのだが、数十分待つという行為は、他の生徒に不審に思われてしまう。
「今日は諦めよう……で?清瀬はなんで今日も早めなのよ」
「いやぁ、絶対美優ちゃんがヘマするだろうなってw」
「予測済みかよこの眼鏡ぇぇぇぇ!」
心底楽しそうに笑う清瀬。
高校生男子には珍しい、澄んだ少し高めの声。
顔はそこまで悪くはないので、よく仲の良い女子に「清瀬君と幼馴染なんて羨ましいぃ〜!あんな紳士的な男の人、そうそういないよ⁉︎」と言われる。
その度に、「紳士的⁉︎デリカシーもひったくりもないよあの男は⁉︎」と全力の講義をするのだが、誰も信じてくれない。
隣の芝生は青い、とはこういうことを指すのかもしれない。

幼馴染の清瀬。中々扱いやすくて作者は気に入っています。
<2016/10/10 23:07 錯乱咲良>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.