第一話 運命の始まり
今年もまた暑い空気を残して夏が終わり、秋がやってくる。夏が終わってもしばらくは暑い日々が続く。夜も同じで、涼しいとまではいかないが、暑くて寝付けないほどの温度でもない。この日もそこまで暑い夜ではなかった。
東の空には満月が輝き、屋敷の廊下には気持ちのいい風が吹き抜けていた。その日の屋敷は夜になってから騒がしく人が動いていた。一角にある小さな部屋に、数人の女性が集まっている。布団に横たわっている女性を囲むようにして座り、手を握り声をかける。
「ルリ様、もう少しでございます!」
白衣を着た、医者らしき女性がルリの足元で準備にかかる。
「ううっ、ううーっ。」
力を入れる度に目を強く瞑り顔が歪む。もう顔は真っ青だ。
「あっ、とちょ……っとっ。」
必死に絞り出した声は、大きな産声にかき消された。周りからは歓声がわき上がり、ルリはホッとして布団に倒れこんだ。
「産まれました!双子の女の子です!」
伝達係の声がもうろうとした頭に響く。産まれた双子は産湯に入れられ体を洗われていた。素肌しっかり見え始めた頃、洗っていた侍女は手を止めて赤子の体を拭いた後、ルリの元へ近づけた。
「ルリ様、これを……。」
初めて赤ちゃんを抱っこした。まだ小さく壊れそうなその体を。しかし、侍女は体をくるんだタオルを少しめくって見せた。双子の肩にある、小さな青い三日月の紋章を。
「これは……月読の……印?」
「おそらく、この赤様は伝説の月読の巫女様でいらっしゃいます。」
「この子達が月読の巫女…………。本当に居たのね。」
ルリは産まれたばかりの双子を優しく撫でた。
「この子達、どんな運命を背負うのかしら?」
赤子の泣き声は、廊下を吹き抜ける風に乗って一晩中屋敷に響き渡った。
今年もまた暑い空気を残して夏が終わり、秋がやってくる。夏が終わってもしばらくは暑い日々が続く。夜も同じで、涼しいとまではいかないが、暑くて寝付けないほどの温度でもない。この日もそこまで暑い夜ではなかった。
東の空には満月が輝き、屋敷の廊下には気持ちのいい風が吹き抜けていた。その日の屋敷は夜になってから騒がしく人が動いていた。一角にある小さな部屋に、数人の女性が集まっている。布団に横たわっている女性を囲むようにして座り、手を握り声をかける。
「ルリ様、もう少しでございます!」
白衣を着た、医者らしき女性がルリの足元で準備にかかる。
「ううっ、ううーっ。」
力を入れる度に目を強く瞑り顔が歪む。もう顔は真っ青だ。
「あっ、とちょ……っとっ。」
必死に絞り出した声は、大きな産声にかき消された。周りからは歓声がわき上がり、ルリはホッとして布団に倒れこんだ。
「産まれました!双子の女の子です!」
伝達係の声がもうろうとした頭に響く。産まれた双子は産湯に入れられ体を洗われていた。素肌しっかり見え始めた頃、洗っていた侍女は手を止めて赤子の体を拭いた後、ルリの元へ近づけた。
「ルリ様、これを……。」
初めて赤ちゃんを抱っこした。まだ小さく壊れそうなその体を。しかし、侍女は体をくるんだタオルを少しめくって見せた。双子の肩にある、小さな青い三日月の紋章を。
「これは……月読の……印?」
「おそらく、この赤様は伝説の月読の巫女様でいらっしゃいます。」
「この子達が月読の巫女…………。本当に居たのね。」
ルリは産まれたばかりの双子を優しく撫でた。
「この子達、どんな運命を背負うのかしら?」
赤子の泣き声は、廊下を吹き抜ける風に乗って一晩中屋敷に響き渡った。
