第十話 再会
アクと離れてもう一年以上がたった。会ってすぐ好きになって、数日ののちに会えなくなって、アオリの恋愛は踏んだり蹴ったりだ。だけど諦めることも忘れることもなく、ずっと好きな気持ちを抱えていた。殺されたことになっているから、手紙も出すことができない以前に、そもそも家がどこかもわからない。当然向こうからも連絡はない。王宮に手紙なんて普通の民が出せるはずがない。そんなことをしたら怪しまれてしまう。
でも、そんな苦労のお陰で双子が生きていることはバレていなかった。
アオリが苦しい恋をしている反面、エリルの恋愛は順調に進み、結婚の話が噂されるようになった。なんと、お相手はあの王子である。あのパーティーの日以来、王子はエリルに何度もアタックしては潰され、アタックしては潰されを繰り返し、ようやくエリルが折れたという形で付き合い始めた。もう、双子が生きていることをバラすにはいい頃だと判断して皆で決めたことだった。もちろん、万が一に備えて戦の準備も万全である。
しかし、まだ大きな話にはなっておらず、身内のみの話であった。
ある日の昼、アオリは王子の中を歩いていた。長い間部屋にこもっていたので外の空気を吸いに出たのだ。
廊下を歩いていると、見慣れない男性が数人のお供を従えて歩いて来た。もちろん相手のほうが格上そうなので、膝をつき頭を下げた。
「……………………。」
相手はアオリの前まで来ると、止まってアオリをまじまじと見つめた。
「お前は月読の巫女か…………。」
アオリははっと顔を上げた。
「あなたは一体…………。」
男は不気味に笑った。
「私は雷国の王子だ。やはり死んでいなかったな…………。」
アオリの血が一瞬で引いていった。
「巫女様は何者かによって殺されたんです。」
「ふっ、芝居が下手なことだ。まぁいい。」
アオリは立ち上がって男の前から姿を消そうとはや歩きで反対方向に歩いた。
「今すでに雷国の兵士はこちらに向かっている。さぁ、巫女のいないという月鏡国はどうするかな?」
アオリは思わず立ち止まってしまった。
(今…………なんて…………。)
振り返ると、そこにはもう男はいなかった。
アオリは急いでエリルのもとにかけつけた。勢いよく扉を開けると、エリルは本を読んでいた。
「エリー!未来を見て!雷国の王子を名乗る男がもう兵士はこちらに向かってるって!」
「え!だって王子が来るなんて誰も言ってなかったじゃない!」
「本当かわからないの!だから確かめる。私は過去を見るからお願い!」
「わかった!」
アオリはエリルよりも早く術を施した。肩の紋章が青い光を放ち、アオリを包み込んだ。今日は満月ではないので、力を多く使うのだ。同じくエリルも青い光に包まれ、未来を見た。
「本当に来てる…………。」
「みたいね…………。」
アオリもエリルもほぼ同時に見終えた。二人が見たものはほとんど同じで、沢山の兵士たちだった。
「陛下に伝えてくる!」
アオリは部屋を飛び出すと、真っ直ぐに走り出した。しかし、ちょっと走ってすぐ、アオリの足は完璧に止まってしまった。
「ア…………アク…………?」
目の前に現れたのはアオリが愛するアクだった。もちろんアクも驚いている。
「…………アオリ!?よかった、走ってるってことはもう知ってるね。」
アクは再会よりも今の現状を優先した。
それは正しい判断だ。
「どこに行くつもりだったの?」
「………………。」
アオリはすぐには返事できなかった。
(そう言えば、なんで私達が生きていることがバレたの?それになんでここにアクがいるの?)
考えてみればおかしい話だった。エリルと王子の結婚だって、公式には公開されていない。信用のおける者だけに知らされた話だった。外の者が知るはずもない。つまり、誰かが裏切って告げ口をしたということだ。
アオリが無言になった理由を察したのだろう、アクが困ったように微笑んだ。
「僕はいつまでもアオリの味方だから。とにかく今はやることがあるだろ。」
その一言でアオリは走り出した。それを追ってアクも走り出す。
「なんでバレたの!?」
アオリは走りながら質問した。アクとアオリは並んで走っているので、声は十分に相手に届く。
「それは陛下の前で!」
アオリは王室のドアを少々手荒に開けた。すでに幹部数人が集まり、会議を始めている。
「失礼致します!陛下!どうか私にお任せ下さいませ!」
着いて早々すぐに膝を付き、頭を下げた。
「アオリ殿すまない。守りきれず……。」
国王は頭を下げた。本来、国王が頭を下げるなどあり得ない。そして、今回の件で国王が頭を下げる理由などないのにも関わらず。
「陛下!陛下が頭を下げる理由など何一つございませぬ!」
「そうです陛下。今回の件、全て我々雷国が犯したこと。」
アクがアオリより一歩前に出て国王を見た。
「そなたは、以前の殺し屋か…………?」
「はい。今回、雷国の出兵に伴い、こっそりついて参りました。なぜこのような事になったのかは私は説明致します。」
アクはできるだけ端的に説明をまとめて説明した。
アクと離れてもう一年以上がたった。会ってすぐ好きになって、数日ののちに会えなくなって、アオリの恋愛は踏んだり蹴ったりだ。だけど諦めることも忘れることもなく、ずっと好きな気持ちを抱えていた。殺されたことになっているから、手紙も出すことができない以前に、そもそも家がどこかもわからない。当然向こうからも連絡はない。王宮に手紙なんて普通の民が出せるはずがない。そんなことをしたら怪しまれてしまう。
でも、そんな苦労のお陰で双子が生きていることはバレていなかった。
アオリが苦しい恋をしている反面、エリルの恋愛は順調に進み、結婚の話が噂されるようになった。なんと、お相手はあの王子である。あのパーティーの日以来、王子はエリルに何度もアタックしては潰され、アタックしては潰されを繰り返し、ようやくエリルが折れたという形で付き合い始めた。もう、双子が生きていることをバラすにはいい頃だと判断して皆で決めたことだった。もちろん、万が一に備えて戦の準備も万全である。
しかし、まだ大きな話にはなっておらず、身内のみの話であった。
ある日の昼、アオリは王子の中を歩いていた。長い間部屋にこもっていたので外の空気を吸いに出たのだ。
廊下を歩いていると、見慣れない男性が数人のお供を従えて歩いて来た。もちろん相手のほうが格上そうなので、膝をつき頭を下げた。
「……………………。」
相手はアオリの前まで来ると、止まってアオリをまじまじと見つめた。
「お前は月読の巫女か…………。」
アオリははっと顔を上げた。
「あなたは一体…………。」
男は不気味に笑った。
「私は雷国の王子だ。やはり死んでいなかったな…………。」
アオリの血が一瞬で引いていった。
「巫女様は何者かによって殺されたんです。」
「ふっ、芝居が下手なことだ。まぁいい。」
アオリは立ち上がって男の前から姿を消そうとはや歩きで反対方向に歩いた。
「今すでに雷国の兵士はこちらに向かっている。さぁ、巫女のいないという月鏡国はどうするかな?」
アオリは思わず立ち止まってしまった。
(今…………なんて…………。)
振り返ると、そこにはもう男はいなかった。
アオリは急いでエリルのもとにかけつけた。勢いよく扉を開けると、エリルは本を読んでいた。
「エリー!未来を見て!雷国の王子を名乗る男がもう兵士はこちらに向かってるって!」
「え!だって王子が来るなんて誰も言ってなかったじゃない!」
「本当かわからないの!だから確かめる。私は過去を見るからお願い!」
「わかった!」
アオリはエリルよりも早く術を施した。肩の紋章が青い光を放ち、アオリを包み込んだ。今日は満月ではないので、力を多く使うのだ。同じくエリルも青い光に包まれ、未来を見た。
「本当に来てる…………。」
「みたいね…………。」
アオリもエリルもほぼ同時に見終えた。二人が見たものはほとんど同じで、沢山の兵士たちだった。
「陛下に伝えてくる!」
アオリは部屋を飛び出すと、真っ直ぐに走り出した。しかし、ちょっと走ってすぐ、アオリの足は完璧に止まってしまった。
「ア…………アク…………?」
目の前に現れたのはアオリが愛するアクだった。もちろんアクも驚いている。
「…………アオリ!?よかった、走ってるってことはもう知ってるね。」
アクは再会よりも今の現状を優先した。
それは正しい判断だ。
「どこに行くつもりだったの?」
「………………。」
アオリはすぐには返事できなかった。
(そう言えば、なんで私達が生きていることがバレたの?それになんでここにアクがいるの?)
考えてみればおかしい話だった。エリルと王子の結婚だって、公式には公開されていない。信用のおける者だけに知らされた話だった。外の者が知るはずもない。つまり、誰かが裏切って告げ口をしたということだ。
アオリが無言になった理由を察したのだろう、アクが困ったように微笑んだ。
「僕はいつまでもアオリの味方だから。とにかく今はやることがあるだろ。」
その一言でアオリは走り出した。それを追ってアクも走り出す。
「なんでバレたの!?」
アオリは走りながら質問した。アクとアオリは並んで走っているので、声は十分に相手に届く。
「それは陛下の前で!」
アオリは王室のドアを少々手荒に開けた。すでに幹部数人が集まり、会議を始めている。
「失礼致します!陛下!どうか私にお任せ下さいませ!」
着いて早々すぐに膝を付き、頭を下げた。
「アオリ殿すまない。守りきれず……。」
国王は頭を下げた。本来、国王が頭を下げるなどあり得ない。そして、今回の件で国王が頭を下げる理由などないのにも関わらず。
「陛下!陛下が頭を下げる理由など何一つございませぬ!」
「そうです陛下。今回の件、全て我々雷国が犯したこと。」
アクがアオリより一歩前に出て国王を見た。
「そなたは、以前の殺し屋か…………?」
「はい。今回、雷国の出兵に伴い、こっそりついて参りました。なぜこのような事になったのかは私は説明致します。」
アクはできるだけ端的に説明をまとめて説明した。
