第八話 巫女の力
「全てを説明して!どういうことなの!?」
アクはエリルに話したこと全てを話したが、アオリはすぐに信じようとはしなかった。
「暗殺…………。なるほどね。」
アオリは何か考え込んだあと、アクの前まで歩み寄った。すると、バッチーンという痛々しい音が洞窟内に響渡った。
「私は…あなたの言葉を…信じてもいいの?」
アオリの目はまっすぐアクの瞳をとらえていた。
「僕は、アオリを愛してるよ。誰も殺したくない。だから、協力してほしい!」
アクはアオリに深々と頭を下げた。
「アオ、協力しましょう。そうするしかないわ。」
エリルが立ち上がり、二人に近寄った。「アオの力、覚醒した?」
「やっぱりエリーも?」
「ええ。月読の力、私は未来を見ることができた。」
「私は過去とアクの記憶を見ることができた。」
アオリとエリルは、昔から習ってきた月読の巫女としての力と、実際にお互いが使えた力を思い出し、作戦会議を始めた。
「私たちの力はまだまだ未知数だと思うの。それに私ちの力は満月に最も大きくなると教わったわ。だったら今しかない。」
「そうね。アオの言うとおり。」
「そう言えば、エリーの見た未来に私はいた?」
「いたわ。でも私が見た未来は、なんだか争いをしているようだった。双子の巫女を殺せって…………。」
「私たちを殺そうとする者は、少なくとも一人ではないようね。」
「月読の巫女は国に平和をもたらし安定させる。他国にとっては邪魔な存在なのね。」
アオリもエリルも意外と冷静だった。欲の深い者は誰しも力を欲する。
「とりあえず屋敷へ戻りましょう。そしてお父様や国王のお考えを聞かなくては。」
アオリが立ち上がるとアクとエリルも立ち上がった。
「アクはエリーを抱えてくれる?人目についてはいけないから早く帰らなくては。」
アクは頷くとエリルを軽々と抱えると、アオリを追って走り出した。
「なるほど。そなたらの力を狙い戦が起きるというのか。」
「申し訳ございません。我々の力のせいで国に多大なご迷惑をおかけいたします。」
今、三人と双子の父は、国王に全てを報告していた。少し遠くの豪華な椅子に腰かけている国王は、なにやら考え込んでいた。少し下がった隣には、パーティーでエリルに話しかけてきた王子も一緒だ。
「なにも謝ることはない。巫女様は我、国王よりも大切に扱われる存在よ。」
そう、この国にとって月読の巫女は崇められるほど重要な存在だ。この国で産まれた者なら必ず知っている月読の巫女の伝説。二人は幼かったので実際に目にはしていないが、二人が産まれた時、国をあげて祝いの宴が開かれたらしい。
「争いは避けられんということだな。」
国王は立ち上がると、双子の顔を上げさせた。
「月読の巫女殿よ。そなたらは戦に向け、この王宮で過ごしていただきたい。ここにはそなたら巫女にしかわからぬ書物もある。それらを身につけてこの国を守ってほしい。」
「わかりました。」
双子はまた頭を垂れた。しかしアオリはまた顔を上げた。
「陛下。この者、アクと申すのですが、彼は我々双子の暗殺を命じられ、この国にやって来た者でございます。」
国王は驚き、ずっと黙っていたアクを見た。
「しかし、彼は我々を殺さぬ方法を探しております。どうか彼を見逃し、私の策を聞いては下さいませんか?」
「よかろう、申してみよ。」
「彼を国に帰し、双子を殺したと報告していただきます。我々はこの王宮にて身を隠しその噂を信じさせるのです。」
「彼を帰す必要はあるのか?」
「彼は殺し屋などではなく、ただの国民なのです。しかし彼の父上に雷国の国王が暗殺の命を任じ、彼は我々の元へとやってきたのです。もしアクが我々を打ち損じたと知れれば、彼のご両親がどうなるかわかりません。」
アオリは短くアクがここにやって来た理由を告げた。
「アオリ殿はアクとやらが好きなのか?」
急に王子が口を挟んだ。こればかりは嘘をつくわけにはいかないと思い、頷いた。
「そうか。しかし、それでは二人は会えなくなるではないか。」
「わかっております。そのために彼を帰すのであります。彼が任巫女が死んだと報告すれば、誰も死ぬことはないのです。」
「それでも戦が起きるのか。」
その問いには、未来を見たエリルが答えた。
「私の見た未来には、巫女を殺せと叫ぶ者たちの姿がありました。いづれか双子が生きていることはバレて戦が起こるでしょう。」
「バレてもよいのか。」
「はい、時間が稼げれば。いつまでも隠しきることは不可能でございます。」
「わかった。この国の人々はきっと、巫女である君たちを守るだろう。戦のための準備も整えるとしよう。」
「申し訳ございません。国を守る我々巫女が、国を不安定にさせるなど。」
「伝説上にも戦は頻繁に起こっていた。なにもそなたらのせいではない。だから責任をおう必要はない。」
「ありがとうございます、陛下。」
四人は深く頭を下げ、部屋を退出した。
「全てを説明して!どういうことなの!?」
アクはエリルに話したこと全てを話したが、アオリはすぐに信じようとはしなかった。
「暗殺…………。なるほどね。」
アオリは何か考え込んだあと、アクの前まで歩み寄った。すると、バッチーンという痛々しい音が洞窟内に響渡った。
「私は…あなたの言葉を…信じてもいいの?」
アオリの目はまっすぐアクの瞳をとらえていた。
「僕は、アオリを愛してるよ。誰も殺したくない。だから、協力してほしい!」
アクはアオリに深々と頭を下げた。
「アオ、協力しましょう。そうするしかないわ。」
エリルが立ち上がり、二人に近寄った。「アオの力、覚醒した?」
「やっぱりエリーも?」
「ええ。月読の力、私は未来を見ることができた。」
「私は過去とアクの記憶を見ることができた。」
アオリとエリルは、昔から習ってきた月読の巫女としての力と、実際にお互いが使えた力を思い出し、作戦会議を始めた。
「私たちの力はまだまだ未知数だと思うの。それに私ちの力は満月に最も大きくなると教わったわ。だったら今しかない。」
「そうね。アオの言うとおり。」
「そう言えば、エリーの見た未来に私はいた?」
「いたわ。でも私が見た未来は、なんだか争いをしているようだった。双子の巫女を殺せって…………。」
「私たちを殺そうとする者は、少なくとも一人ではないようね。」
「月読の巫女は国に平和をもたらし安定させる。他国にとっては邪魔な存在なのね。」
アオリもエリルも意外と冷静だった。欲の深い者は誰しも力を欲する。
「とりあえず屋敷へ戻りましょう。そしてお父様や国王のお考えを聞かなくては。」
アオリが立ち上がるとアクとエリルも立ち上がった。
「アクはエリーを抱えてくれる?人目についてはいけないから早く帰らなくては。」
アクは頷くとエリルを軽々と抱えると、アオリを追って走り出した。
「なるほど。そなたらの力を狙い戦が起きるというのか。」
「申し訳ございません。我々の力のせいで国に多大なご迷惑をおかけいたします。」
今、三人と双子の父は、国王に全てを報告していた。少し遠くの豪華な椅子に腰かけている国王は、なにやら考え込んでいた。少し下がった隣には、パーティーでエリルに話しかけてきた王子も一緒だ。
「なにも謝ることはない。巫女様は我、国王よりも大切に扱われる存在よ。」
そう、この国にとって月読の巫女は崇められるほど重要な存在だ。この国で産まれた者なら必ず知っている月読の巫女の伝説。二人は幼かったので実際に目にはしていないが、二人が産まれた時、国をあげて祝いの宴が開かれたらしい。
「争いは避けられんということだな。」
国王は立ち上がると、双子の顔を上げさせた。
「月読の巫女殿よ。そなたらは戦に向け、この王宮で過ごしていただきたい。ここにはそなたら巫女にしかわからぬ書物もある。それらを身につけてこの国を守ってほしい。」
「わかりました。」
双子はまた頭を垂れた。しかしアオリはまた顔を上げた。
「陛下。この者、アクと申すのですが、彼は我々双子の暗殺を命じられ、この国にやって来た者でございます。」
国王は驚き、ずっと黙っていたアクを見た。
「しかし、彼は我々を殺さぬ方法を探しております。どうか彼を見逃し、私の策を聞いては下さいませんか?」
「よかろう、申してみよ。」
「彼を国に帰し、双子を殺したと報告していただきます。我々はこの王宮にて身を隠しその噂を信じさせるのです。」
「彼を帰す必要はあるのか?」
「彼は殺し屋などではなく、ただの国民なのです。しかし彼の父上に雷国の国王が暗殺の命を任じ、彼は我々の元へとやってきたのです。もしアクが我々を打ち損じたと知れれば、彼のご両親がどうなるかわかりません。」
アオリは短くアクがここにやって来た理由を告げた。
「アオリ殿はアクとやらが好きなのか?」
急に王子が口を挟んだ。こればかりは嘘をつくわけにはいかないと思い、頷いた。
「そうか。しかし、それでは二人は会えなくなるではないか。」
「わかっております。そのために彼を帰すのであります。彼が任巫女が死んだと報告すれば、誰も死ぬことはないのです。」
「それでも戦が起きるのか。」
その問いには、未来を見たエリルが答えた。
「私の見た未来には、巫女を殺せと叫ぶ者たちの姿がありました。いづれか双子が生きていることはバレて戦が起こるでしょう。」
「バレてもよいのか。」
「はい、時間が稼げれば。いつまでも隠しきることは不可能でございます。」
「わかった。この国の人々はきっと、巫女である君たちを守るだろう。戦のための準備も整えるとしよう。」
「申し訳ございません。国を守る我々巫女が、国を不安定にさせるなど。」
「伝説上にも戦は頻繁に起こっていた。なにもそなたらのせいではない。だから責任をおう必要はない。」
「ありがとうございます、陛下。」
四人は深く頭を下げ、部屋を退出した。
