もっと契約者の多世界〜長野の過去のお話〜
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もっと契約者の多世界〜長野の過去のお話〜
これは俺、長野勇也がsilent歌劇団に入団するまでの話…
今から3年ほど前の春のことだった。
俺はごくごく普通の男子中学生だった。
勉学は中の上、スポーツもまあまあできる方で、休み時間には読書を嗜む手のかからない、静かな生徒だったというところで普通の中学生というくくりに入っていた。
休み時間、他の生徒は会話をしたりプロレスごっこなどをしている中でも俺は1人読書をしていたため、友達と呼べる存在がいなかった。いわゆるぼっちだ。
登校も下校も1人。授業、休み時間は喋らず席に着いたまま誰も寄り付こうとはしなかった。
家に帰っても一人っ子で両親共働きで朝早く出て夜遅くに帰ってくる。
家事は殆ど俺がこなして飯と友達がいない以外ほぼパーフェクトな存在だったと言っても過言ではなかった。
そんな青春真っ只中の中学2年生の7月。
いつものように1人で下校していた。
そんななか、奇妙なものを見つけた。
道行く人は気づいていない、見えていないのか。
何か、と問われても表現しようがない何か。
「お主、選ばれた側だな。」
突然頭に入ってくる声。
「誰だあんた」
頭で言ってみる。
「わしはエンブ。お主と契約した。エレクター、という奴じゃな。」
返ってきた。けどさっぱり意味がわからない。
「とりあえずうちに来い。詳しい話はその後だ。」
そのまま返事は来ずに急ぎ足で家へ向かう。
家へ着きお茶を注いだ後。「おいエンブ。」
「呼んだかね?」
「さっさと詳しいこと話せ。今状況が理解できん。」
と言うと目の前に鯉が現れた。
ただの鯉じゃなさそうだ。なんと言うか、神秘的だ。
「まったく、若いもんはせっかちでいかん。」
「わかったから話してくれ。」
「まあ待て、わしにはお茶を出してくれんのか?」
「鯉なのに飲むのk「無論じゃ」」
仕方なく湯呑みにお茶を淹れる。
「ズズズズ…やはり茶は美味いのぉ。お主、なかなかいい腕しとる。」
「そりゃどうも」
「そうそう話じゃったな。」
その後、エレクターとセレクターについて、今後の俺の生き方などいろいろ言われた。
「まあ、まだお主は新人じゃからの。わしを使いこなすにはちょいと骨を折るかもしれんな。ハッハッハ」
「そういやあんたジジくさいけど、幾つなんだ?」
「あんたじゃない!エンブじゃ!名前を言え名前を!
そうじゃな、ざっと2612歳じゃな」
「2612⁉︎」
「ああそうじゃ。卑弥呼も小野小町も
おりょうも見てきたぞ。みんな美女だったの〜」
「エロじじいめ。」
「ほっとけ、歳をとっても男じゃぞ?
それはそうと、わしはこの2612年間、誰とも契約をしなかった。なぜだかわかるか?」
いやわからないと首を振ると
「わしを見つけることのできたセレクターがいなかったからじゃ。だから見つけられたお主はなかなかの素質の持ち主じゃ。わしが太鼓判を押そう。」
「あ、そ。」
「反応薄いのう」
「ほっとけ。とりあえず今は悪いエレクターを倒せばいいんだろ。」
「ああそうじゃ。みっけたらわしが場所を教えるから直行するのじゃ。
「それまで普段通りでいいんだよな。」
「いや、学校とかいうのは邪魔じゃ。できれば行くな。」
「はあ?無理だろ。義務教育中だぞ。それに今辞めたら高校行けずに人生お先真っ暗だ。」
「お主スポーツはやっていないのか?」
「ちょっとばかし泳いでいるが大したレベルじゃない」
「ならスポーツ推薦とやらを取ればいいではないか。」
「あのな、そんなレベルだったらぼっちやってねえって。」
「なあに、わしの力を使えばちょちょいのちょいじゃ。」
「とりあえず高校が決まるまでは本格的には動かない。昇格なんて中学生にはどうでもいいからな。決まったら動き出してやる。それまでは帰宅から夜8時までの間で練習のない日だけだ。いいな。」
「注文が多いのう。まあよかろう。」
そう言ってエンブは姿を消し、悪いエレクターが出てきたときだけ現れた。
そんな生活を続けて1年だ。
今、俺は全国大会の東京都予選に参加している。
「おいエンブ。ホントに平気なんだよな。お前信じていいんだよな?」
「無論じゃ。お主は今までの戦いでなにを見てきたのじゃ。」
あんたが俺に憑依して一方的に殴ってただけなんだが…
と言いたかったがめんどくさそうなので胸の奥に留めた。
「とりあえず頼むぞ。全国大会に出れさえすればいいからな。変なタイム出すようなことだけはしないでくれ。」
「承知した。」
スタート台に登り、構えをとった瞬間、エンブは憑依した。
ピッ!
スタートの合図で一斉に飛び込む。
ドルフィンキックを打ち込もうとするといつもと水中の進みが違った。
まだけのびの状態なのに他の選手より体半分出ている。
そのまま浮き上がり、あまり本腰も入れずに泳ぎ切り掲示板を見ると、
長野 勇也 1 24.68
すんなりと全国大会の切符を掴んでしまった。
「おいエンブ、なにをした?」
「わしは水を操れるのでな、お主のコースにだけ進む方向に強い水流を作った。」
チートだ…
ドーピングどうこうで世間は騒いでいるが、もっとタチが悪そうだ…
「これで高校から声がかかりそうじゃな。」
「ああ、そうだな…」
俺は会場を後にした。
結果から言えば声はかかった。
全国大会では7位入賞という肩書きができてしまった。
「これでわしも本腰入れて動けそうじゃのお。」
「はあ〜。」
それからというもの、エンブの持ってくる仕事は今までと比にならないほど強い敵だった。
エンブの使える能力を最大限に使えるようには3ヶ月かかり、12月になっていた。
そうなると苦戦していた強敵にもあっさり勝てるようになり、年が明け、受験が終わる頃にはS級とやらまで昇格していた。
なんか倒した中に悪いエレクターを束ねている頭目がいたそうだ。
入学式が終わり帰宅した時、ポストの中に手紙が1通入っていた。
「silent歌劇団へようこそ」
これは俺、長野勇也がsilent歌劇団に入団するまでの話…
今から3年ほど前の春のことだった。
俺はごくごく普通の男子中学生だった。
勉学は中の上、スポーツもまあまあできる方で、休み時間には読書を嗜む手のかからない、静かな生徒だったというところで普通の中学生というくくりに入っていた。
休み時間、他の生徒は会話をしたりプロレスごっこなどをしている中でも俺は1人読書をしていたため、友達と呼べる存在がいなかった。いわゆるぼっちだ。
登校も下校も1人。授業、休み時間は喋らず席に着いたまま誰も寄り付こうとはしなかった。
家に帰っても一人っ子で両親共働きで朝早く出て夜遅くに帰ってくる。
家事は殆ど俺がこなして飯と友達がいない以外ほぼパーフェクトな存在だったと言っても過言ではなかった。
そんな青春真っ只中の中学2年生の7月。
いつものように1人で下校していた。
そんななか、奇妙なものを見つけた。
道行く人は気づいていない、見えていないのか。
何か、と問われても表現しようがない何か。
「お主、選ばれた側だな。」
突然頭に入ってくる声。
「誰だあんた」
頭で言ってみる。
「わしはエンブ。お主と契約した。エレクター、という奴じゃな。」
返ってきた。けどさっぱり意味がわからない。
「とりあえずうちに来い。詳しい話はその後だ。」
そのまま返事は来ずに急ぎ足で家へ向かう。
家へ着きお茶を注いだ後。「おいエンブ。」
「呼んだかね?」
「さっさと詳しいこと話せ。今状況が理解できん。」
と言うと目の前に鯉が現れた。
ただの鯉じゃなさそうだ。なんと言うか、神秘的だ。
「まったく、若いもんはせっかちでいかん。」
「わかったから話してくれ。」
「まあ待て、わしにはお茶を出してくれんのか?」
「鯉なのに飲むのk「無論じゃ」」
仕方なく湯呑みにお茶を淹れる。
「ズズズズ…やはり茶は美味いのぉ。お主、なかなかいい腕しとる。」
「そりゃどうも」
「そうそう話じゃったな。」
その後、エレクターとセレクターについて、今後の俺の生き方などいろいろ言われた。
「まあ、まだお主は新人じゃからの。わしを使いこなすにはちょいと骨を折るかもしれんな。ハッハッハ」
「そういやあんたジジくさいけど、幾つなんだ?」
「あんたじゃない!エンブじゃ!名前を言え名前を!
そうじゃな、ざっと2612歳じゃな」
「2612⁉︎」
「ああそうじゃ。卑弥呼も小野小町も
おりょうも見てきたぞ。みんな美女だったの〜」
「エロじじいめ。」
「ほっとけ、歳をとっても男じゃぞ?
それはそうと、わしはこの2612年間、誰とも契約をしなかった。なぜだかわかるか?」
いやわからないと首を振ると
「わしを見つけることのできたセレクターがいなかったからじゃ。だから見つけられたお主はなかなかの素質の持ち主じゃ。わしが太鼓判を押そう。」
「あ、そ。」
「反応薄いのう」
「ほっとけ。とりあえず今は悪いエレクターを倒せばいいんだろ。」
「ああそうじゃ。みっけたらわしが場所を教えるから直行するのじゃ。
「それまで普段通りでいいんだよな。」
「いや、学校とかいうのは邪魔じゃ。できれば行くな。」
「はあ?無理だろ。義務教育中だぞ。それに今辞めたら高校行けずに人生お先真っ暗だ。」
「お主スポーツはやっていないのか?」
「ちょっとばかし泳いでいるが大したレベルじゃない」
「ならスポーツ推薦とやらを取ればいいではないか。」
「あのな、そんなレベルだったらぼっちやってねえって。」
「なあに、わしの力を使えばちょちょいのちょいじゃ。」
「とりあえず高校が決まるまでは本格的には動かない。昇格なんて中学生にはどうでもいいからな。決まったら動き出してやる。それまでは帰宅から夜8時までの間で練習のない日だけだ。いいな。」
「注文が多いのう。まあよかろう。」
そう言ってエンブは姿を消し、悪いエレクターが出てきたときだけ現れた。
そんな生活を続けて1年だ。
今、俺は全国大会の東京都予選に参加している。
「おいエンブ。ホントに平気なんだよな。お前信じていいんだよな?」
「無論じゃ。お主は今までの戦いでなにを見てきたのじゃ。」
あんたが俺に憑依して一方的に殴ってただけなんだが…
と言いたかったがめんどくさそうなので胸の奥に留めた。
「とりあえず頼むぞ。全国大会に出れさえすればいいからな。変なタイム出すようなことだけはしないでくれ。」
「承知した。」
スタート台に登り、構えをとった瞬間、エンブは憑依した。
ピッ!
スタートの合図で一斉に飛び込む。
ドルフィンキックを打ち込もうとするといつもと水中の進みが違った。
まだけのびの状態なのに他の選手より体半分出ている。
そのまま浮き上がり、あまり本腰も入れずに泳ぎ切り掲示板を見ると、
長野 勇也 1 24.68
すんなりと全国大会の切符を掴んでしまった。
「おいエンブ、なにをした?」
「わしは水を操れるのでな、お主のコースにだけ進む方向に強い水流を作った。」
チートだ…
ドーピングどうこうで世間は騒いでいるが、もっとタチが悪そうだ…
「これで高校から声がかかりそうじゃな。」
「ああ、そうだな…」
俺は会場を後にした。
結果から言えば声はかかった。
全国大会では7位入賞という肩書きができてしまった。
「これでわしも本腰入れて動けそうじゃのお。」
「はあ〜。」
それからというもの、エンブの持ってくる仕事は今までと比にならないほど強い敵だった。
エンブの使える能力を最大限に使えるようには3ヶ月かかり、12月になっていた。
そうなると苦戦していた強敵にもあっさり勝てるようになり、年が明け、受験が終わる頃にはS級とやらまで昇格していた。
なんか倒した中に悪いエレクターを束ねている頭目がいたそうだ。
入学式が終わり帰宅した時、ポストの中に手紙が1通入っていた。
「silent歌劇団へようこそ」
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