「とりあえず、今日はもう帰ろっか」
「そうだな」
私はベンチから立ち上がって、うーんと伸びをした。ひなたぼっこして気持ち良さそうに伸びる猫の気持ちが分かるような気がするよ、……って今はもう日が暮れ掛けてるんだけどね。
妖精さんに言われる前に自分で気が付かなくちゃ、またいちいちツッコまれちゃうよね。
不思議と今日は誰も来なかった。いつもは散歩してるおばさんとか、元気よく遊んでる子供たちとか、ジョギングするおじいさんとかが居るのに。
「恐らくワタシが張った結界のせいだろうな。あれは人間を近付けないんだよ」
「便利だね~」
「結界を張るのには相当な体力が要るんだがな」
「さっきの怪我は大丈夫なの?」
「あぁ、もう完治したよ」
そか、良かった良かった。私の手当てでも大丈夫だったみたいだね。
大きな交差点に出ると、ここにはいつも通り、人が溢れ返っていた。うー、何だかいつもより多い気が…。あ、公園に近寄らせない分、こっちに集まっちゃったのかな。
妖精さんは見えなくなっちゃったんだけど、たまに鼻歌が聴こえてくるから近くに居るんだよね。なんかお化けみたい。
「ぁア?」
な、何でもないっす。
「あれー、桃音ちゃん?」
横断歩道を渡り終えたところで、久しぶりに聞く声が聞こえた。
その声の主は、すぐに分かるよ。
「……しゅーちゃん!」
「やっぱり桃音ちゃんだ!久しぶりだね~」
「うん、久しぶり!」
本当に久しぶりなんだ。
しゅーちゃんは、近所に住む高校生のお姉さん。幼馴染みで、よく遊んでもらってたなぁ。最近はお互い受験勉強で全然顔を合わせてなかったんだよね。
「お、桃音ちゃんは無事青空学園に入れたみたいだね」
私の制服を見てからかうように笑うしゅーちゃんは、何処か悲しげな___羨ましそうな表情。…なんだろう。
「うん、何とかね。しゅーちゃん高校合格した?」
「…うん、私もギリギリね」
「そか!」
今は私服だけど、今度見せて貰おーっと。
「入学式はいつなの?」
「うーんと……明後日かな」
結構遅いんだね。
「……それよりさ、桃音ちゃん」
「ん、何?」
「私ね…………」
ザワザワ……耳の近くで風が吹く音がする。何かが擦れ合って、私の耳を擽る。
しゅーちゃんはゆっくりと顔を上げて、私を見据えた。__何だかすごく冷たい目線。
「っ!」
一瞬だけど、背筋に悪寒が走った。いつもの優しいしゅーちゃんとはまるで別人みたいで__
「やっぱり内緒!」
「ふぇ?」
しゅーちゃんは悪戯っぽく笑った。いきなり明るい表情に戻ったもんだからびっくりしたぁ!あれ、私の錯覚かな。しゅーちゃんは中学校時代は演劇部だったし、もしかしたらびっくりさせるための演技だったのかも。なーんだ、びっくりしたぁ。
「驚かせてごめんね~。じゃあね、また今度ゆっくり話そ!」
「うん、またね~」
私達は自然に別れた。……自然に、何事もないように。
でも、それでも私は何か違和感を覚えたんだ。その違和感が何なのかは分からないけど…しゅーちゃんが可笑しかったなって言うのはすぐに分かった。
……大丈夫なのかな、しゅーちゃん。
「そうだな」
私はベンチから立ち上がって、うーんと伸びをした。ひなたぼっこして気持ち良さそうに伸びる猫の気持ちが分かるような気がするよ、……って今はもう日が暮れ掛けてるんだけどね。
妖精さんに言われる前に自分で気が付かなくちゃ、またいちいちツッコまれちゃうよね。
不思議と今日は誰も来なかった。いつもは散歩してるおばさんとか、元気よく遊んでる子供たちとか、ジョギングするおじいさんとかが居るのに。
「恐らくワタシが張った結界のせいだろうな。あれは人間を近付けないんだよ」
「便利だね~」
「結界を張るのには相当な体力が要るんだがな」
「さっきの怪我は大丈夫なの?」
「あぁ、もう完治したよ」
そか、良かった良かった。私の手当てでも大丈夫だったみたいだね。
大きな交差点に出ると、ここにはいつも通り、人が溢れ返っていた。うー、何だかいつもより多い気が…。あ、公園に近寄らせない分、こっちに集まっちゃったのかな。
妖精さんは見えなくなっちゃったんだけど、たまに鼻歌が聴こえてくるから近くに居るんだよね。なんかお化けみたい。
「ぁア?」
な、何でもないっす。
「あれー、桃音ちゃん?」
横断歩道を渡り終えたところで、久しぶりに聞く声が聞こえた。
その声の主は、すぐに分かるよ。
「……しゅーちゃん!」
「やっぱり桃音ちゃんだ!久しぶりだね~」
「うん、久しぶり!」
本当に久しぶりなんだ。
しゅーちゃんは、近所に住む高校生のお姉さん。幼馴染みで、よく遊んでもらってたなぁ。最近はお互い受験勉強で全然顔を合わせてなかったんだよね。
「お、桃音ちゃんは無事青空学園に入れたみたいだね」
私の制服を見てからかうように笑うしゅーちゃんは、何処か悲しげな___羨ましそうな表情。…なんだろう。
「うん、何とかね。しゅーちゃん高校合格した?」
「…うん、私もギリギリね」
「そか!」
今は私服だけど、今度見せて貰おーっと。
「入学式はいつなの?」
「うーんと……明後日かな」
結構遅いんだね。
「……それよりさ、桃音ちゃん」
「ん、何?」
「私ね…………」
ザワザワ……耳の近くで風が吹く音がする。何かが擦れ合って、私の耳を擽る。
しゅーちゃんはゆっくりと顔を上げて、私を見据えた。__何だかすごく冷たい目線。
「っ!」
一瞬だけど、背筋に悪寒が走った。いつもの優しいしゅーちゃんとはまるで別人みたいで__
「やっぱり内緒!」
「ふぇ?」
しゅーちゃんは悪戯っぽく笑った。いきなり明るい表情に戻ったもんだからびっくりしたぁ!あれ、私の錯覚かな。しゅーちゃんは中学校時代は演劇部だったし、もしかしたらびっくりさせるための演技だったのかも。なーんだ、びっくりしたぁ。
「驚かせてごめんね~。じゃあね、また今度ゆっくり話そ!」
「うん、またね~」
私達は自然に別れた。……自然に、何事もないように。
でも、それでも私は何か違和感を覚えたんだ。その違和感が何なのかは分からないけど…しゅーちゃんが可笑しかったなって言うのはすぐに分かった。
……大丈夫なのかな、しゅーちゃん。
