おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
*…魔法少女mirai*7/~…*


駄目だよ赤羽さん、逃げなくちゃ死んじゃうよ。
「何諦めてるのよ、あなたはそんな人間じゃないでしょ!?敵わない相手にも立ち向かっていくような人でしょ!?」
赤羽さんが必死に叫んでいた。でも、その声も遠くへ行っちゃって、耳には何も残らない。砂嵐みたいな雑音が絶え間なく続いてるだけ…。
「桜澤さん、いい加減にしなさいっ!」
赤羽さんの声が、一瞬だけ私の脳内に届いた。私の意識は呼び戻されて、目の前の闇に飲まれる自分の身体が目に入った。
「ひ、ひぃ」
何これ、こっち来ないでよ、ちょっと纏わりつかないでってば…!
闇はドプドプと鈍い音を立てながら私を飲み込んでいく。
もう駄目、諦めるしか__
ガッ!!
その時、物凄い音がしたんだ。金属みたいに硬くて重い物で、何かを殴ったときみたいな……
「うぐっ………う、」
私の闇が苦しそうに悶いていた。頭を強く押さえて、地面に崩れ落ちているんだ。どうしたんだろう、いきなり……。
「ハァッ………ふう」
「えっ、赤羽さん!?」
「やっと目が覚めた?」
そこには、体育館の裏倉庫に置いてある鉄パイプを抱えた赤羽さんの姿があったんだ。
鉄パイプには生々しい血液が付着してる。……本当に闇を殴り倒したんだね、赤羽さん…。
「あなたって本当に迷惑だわ。あんなに強い癖に、こんなに弱いんだから
…」
「言ってること矛盾してるよ、赤羽さんこそ赤羽さんらしくないよ…」
「何よ、桜澤さんに馬鹿にされる日が来るなんて思ってなかったわ」
「何それ~!……でも、ありがとう」
赤羽さんが居てくれたから、私は助かったんだ。もし赤羽さんが来てくれなかったら、今頃私は死んでたよね。
「私は私が出来る事をしたまでよ」
赤羽さんはにっこりと微笑んだ。とても柔らかい表情だよ。
「おのれ……」
私の闇がゆらゆらと起き上がった。でも、ダメージが大きかったのか、ガクリと大きく地面に手をつく。
「人間の………分際で、よくも…く、うぅ」
私の闇は荒い息で言葉を絞り出している。……なんか、見てる私も息苦しくなってきたかも…。
「このまま、このまま死んでたまるか………ぅぐ、絶対に……………私、はぁああああっ!」
私の闇が大きく退け反った。__攻撃してくるつもりだ!
「危ないッ!」
妖精さんが叫んだ。私は咄嗟に赤羽さんを押し倒した。すると次の瞬間、身体中に冷たい電流みたいなものが走った。突き刺すような痛みに身体が痙攣する。
叫び声すら出ない。息が苦しくて、声が喉を詰まらせる。
「桜澤さん…!私の、せいで」
赤羽さんが混乱したような声を出した。……泣いちゃ駄目だよ、赤羽さん。
そんなに悲しい顔しない……でッ
電流が更に激しくなって、手足がガクガクと震え出す。心臓がバクバクと鳴って、今にも潰れちゃいそう。
「ひっ、ぃ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……い、いた、痛い痛い痛い痛い痛いぃ痛い痛い痛い痛いぃいいい!」
この時、初めて声が出た。でもその声は苦痛に耐えて裏返っていたんだ。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
もう何も考えられない__
「いや、死んじゃ駄目よ、桜澤さん!
……私に、私に出来ることはないの!?ねえ!」
「落ち着け、落ち着け…」
「この状況でどうやったら落ち着けるのよ!私のせいで桜澤さんはっ……」
「そんなこと言われたって、ワタシには……」
「そのまま死んでしまえぇっ!」
私の闇が叫んだ。その言葉に、赤羽さんがぴくっと震えたのが視界の隅にぼんやりと浮かんでいた。
「あなたね……簡単に人に死ねなんて言うんじゃないよ!
ふざけてるの?あなたの人間性を疑うわ!
誰かを傷付けて楽しむなんて最低だわ!」
「お前に何が分かるんだよ」
「分かりたくもないわ、あなたのその腐った精神なんか…」
「よく言うな………こいつはお前のせいで死ぬんだぜ、長い時間苦しみながら、じわじわと死んでいくんだ」
「…………」
「それをただ見てることしか出来ないなんて哀れだよ」
「…………たい、」
「は?」
「……助けたい、桜澤さんを、死なせたくない…」
赤羽さんは泣きながら叫んだ。
「桜澤さんの命は私が終わらせないわ!
桜澤さんを、助けたい___」
赤羽さんから赤い光が溢れ出して、彼女自身を包み込んだ__。
「……赤、羽さ……やった」
私は強ばった頬の筋肉がほどけていくのを感じたんだ。
___ついに、赤羽さんも目を醒ましたんだ!

<2016/11/16 23:55 さくらんぼ*>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.