*…*…*…*…*
桜澤さん、今頃どうしてるんだろう。
もしかしたら、あの女性に殺されてたりして……ううん、きっと彼女なら大丈夫。
……大丈夫でいてよ、私のせいで死ぬなんて嫌だから…。
今更、こんな感情が湧いてくるなんて、人間って可笑しな生物。もう桜澤さんなんてどうでも良かったんでしょ?それとも、ただ罪悪感から逃れたいだけ?
恐らく後者だろうね。私は誰かを思いやる優しさなんて持ち合わせてないもの。
冷たい……私ってこんなに冷たい人間だったんだ。
*…*…*…*…*
「____…」
その時、遠くの方から、爆発音が聞こえてきた。地面が揺れて、木々が崩れ落ちる音。
……桜澤さん…!?
私は踵を返して、学校内に駆け戻る。
桜澤さんが攻撃したのか、もう一人の女性が攻撃したのか……それはまだ分からないけど、あんな大きな爆発じゃ、どっちにしろ全員こっぱみじんだ。
「さく、ら……ざわ、さ、」
喉が詰まる。熱くて固いものが競り上がってくる。それは涙と嗚咽になり、両面と喉から溢れ出した。
桜澤さんが死んでしまったらどうすればいいの?やっと救われたと思った。やっと……信頼出来る人が見つかったと思った。
なのに、その人は、下らない私の我が儘のせいで命を落としたのかも知れないんだ。
そんなの許される訳ない。
間に合わなかったら、私が……さっきの姿になって、魔法を使えばいい。
どうやったら、あの姿になれるの?さっきは何をして変身したんだっけ…。
動揺した両足がガタガタと震える。校庭の真ん中で座り込んでしまう。……こんなことしてる暇はないのよ。立って、立ちなさいよ…。
両手で足を叩こうとすると、何かが転げ落ちた。
「……これは、」
小さな金属製の鍵だった。
大きな丸い石が付いている。
まさかとは思うけど、これを使って変身するんじゃ……?
とにかく、一か八かだ。
思い切って、鍵を天高く振りかざしてみた。
「……」
何も反応はない。
そんなの当たり前なのに、何故だか再び、涙が溢れ返ったんだ…。
「何で、何で!?
どうして何も起こらないのよ!ふざけないでよ、何なのよこの世界は…!」
怒りが爆発して、私は絶叫し続けた。
桜澤さんは絶対に死なせたくない__
ううん、死なせちゃ駄目なのよ。
死なせて堪るものか。
私が死なせない。
「意地でも生きなきゃダメなのよ…!」
そう強く念じた時だった。
強く握っていた鍵が掌から消え、私の心臓辺りに移動していた。
そして、心臓から真っ赤な光が溢れ出した。
____
「……これ、は」
_私は、再びワンピース姿に変身していた。
