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*…魔法少女mirai*7/~…*



何も思い出せない。赤羽さんが逃げてしまったところまでは何となく覚えているんだけど、そのあと…どうしたんだっけ?
「桃音は自殺しようとしたのだ!」
「えっ…?」
赤い妖精さんの口から、衝撃の一言が出てきた。
私が……自分で、自分の命を?
「そうなのだ……その時の爆発音を聞いて、紅は戻って来てくれたのだー!」
嬉しそうに赤羽さんの周りを飛びながら言った。
「どうしてそんなことをしたの?」
赤羽さんは私の顔を覗き込むようにして訊ねてきた。
「私にも分からないんだ…。ただただ、感情的になってたのは覚えてるんだけど」
「桃音は自身の闇が最初の光を殺したって知って、責任を感じてしまったのだ…」
「そ、そっか……」
思い出した。そうだ、自分の一部分が誰かの命を奪ったことが許せなくて、闇もろとも消えてしまおうと……。
「よ、妖精さんは!?」
「大丈夫なのだ、疲れて眠ってるのだ」
私の足元に転がる妖精さんの体には、目立った外傷は見当たらなかった。
「よ、良かったぁあ………」
涙が溢れてきた。もしあのまま死んでいたら、どうなってたことか…。自分をコントロール出来るようにならなくっちゃね!
「あの、桜澤さん………」
「赤羽さん、」
「私、さっき……ごめんなさい、勝手に帰ろうとして」
…あ、気にしてたんだ…。
そうだよね、赤羽さんは思いやりがある人なんだから。まだ分からないけど、きっとそうだよね。
「良いんだよ、何か理由があったんでしょ?」
「ええ、……大人が苦手で、」
「大人、……」
赤羽さんは自虐的に笑う。独特の影が堕ちている顔は、結界のせいか、夕焼けのせいか__真っ赤に燃えているように見えた。
「さっき、私がいじめられていたって言ったでしょう?」
「うん…」
赤羽さんのその声は、とても静かで、どこか物憂げな雰囲気だった。

「教師は、気付いていたのに………見て見ぬふりをしたの」
「何それ……」
「きっと、自分の学校の生徒がいじめをしていたなんて世間に知られたら、自分の人間としての立場が危うくなると思ったのよ。……子供は自分の引き立て役とでも思っているのよ」
赤羽さんば勢いよく立ち上がって、真っ赤な空に向かって叫んだ。
「周りの目ばっかり気にするなら、教師なんか辞めちゃえばいいのよ!
一人一人のことを全て見られなくても、責めて自分が見た事実には目を向けなさいよ!どうして逃げるのよ!
自分の生徒を助けるのが教師なんじゃないの!?」
赤羽さんは胸に手を当て、荒くなった息を整え、再び叫んだ。
「それでも、私は__子供達を守れる教師になるわ!」
私は、呆然とした。…いや、赤羽さんに見惚れていたのかも知れないね。
だって、自分が辛いことをされたのに、その仕事に就きたいなんて。
きっと、子供思いな大人が増えればいいなって思っているんだね。
「……桜澤さんの夢は?」
「え?」
「桜澤さんに、将来の夢がないなんて考えられないわ」
くくぅ、プレッシャーを掛けるなぁ。
それでも、どこか吹っ切れた赤羽さんの表情を見たら、私も叫びたくなった。
立ち上がって、空を仰いで。

「まだ夢はないけど………まずは赤羽さんと友達になりたい!」
「桜澤さ、」
「ね、夢。言ったよ、これが私の一番の夢なんだから!」
私は赤羽さんの手を握って、にっこりと…笑った。
「言わせたんだから、叶えてよね」
「……ええ、」
赤羽さんの瞳から涙が零れ落ちた。
「………泣くなんて、桜澤さんらしくないよ」
……あ、私も泣いてたんだ。
私達は笑い合った。これでやっと、本当の友達になれたのかな。

………これで、やっと第一歩が踏み出せた気がする。

<2016/12/15 01:30 さくらんぼ*>消しゴム
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