−透視点−
「……ただいま帰りました」
「透おかえりぃぃぃ!お兄ちゃん透なしで約60時間過ごしたんだよ⁉︎アルバム全部引っ張りだしたんだからなぁ?……なんかあった?」
先ほどまで、糖分を含み過ぎたかのような声だったのに、急に、地声よりも少し低めの声を出す。
「……勘、鋭いですね、やっぱり」
「そりゃあ、お兄ちゃんですから」
得意気に言う兄を見て、思わず苦笑する。
どれだけ勉強を頑張れども、やはり自分はこの兄に敵わないようだ。
「留学に関する何か、だろ?合宿中に誰かに打ち明けた、とオレは読み取るけども」
「……大正解、です」
心理学者を目指しているだけある。洞察力は流石と言った様子だ。
しかし、ここまで読み取るのはやはり、身内であるからこそであろう。
「ん〜、まぁ、疲れてるだろうし。玄関じゃなんだしな?」
「え?あぁ、そうですねッ⁉︎」
ぐいっと、段差もあるというのに思い切り手首を引っ張られた。
何処までも僕を甘やかす割には、案外こんな風に強引な所もあるのだ。この兄には。
「ちょっ、兄さん!靴まだ揃えてないぃ!」
「後で良いじゃん良いじゃん〜」
兄さんはインドア派ではあるが、運動神経が衰えている訳ではない。
そこまで運動は得意でない僕に構わず、鼻歌交じりに突っ走って行くのだ。
「……ということです」
「……成る程ね。海斗君に言ったんだ、鳴海より先に」
こっちがどんなに窮屈な気持ちで話していれども、この人はいつも通りの飄々とした様子だ。
ある意味、こういうタイプの方が冷静と言えるのかもしれない。
「まぁ、透の判断は正しいな。鳴海にいきなり言ったって、何が起こるのか想像するだけで身震いする」
「……その発言も、充分身震い物ですよ」
おそらくだが、鳴海のポニーテールは火山のような役割だ。怒ると尋常じゃないほどに波打つから。
「なんか助言でも入れたい所だけど、オレの言いたいことも海斗君と一緒。透のやりたいようにやってもらいたいだけ」
常備している棒突き飴のパッケージをぺりぺりと剥がしながら、兄さんが言う。
剥がすごとに見えてくる飴は、エメラルド色だった。
「良い友達待ってんじゃん、今のうちに、青春堪能しとけよ?……後悔しないようにさ」
「そうですね……ありがとうございっ⁉︎」
口に棒突き飴を突っ込まれた。
広がった甘いメロンの香りと味に包まれ、何故だか涙腺が刺激された。
「……ただいま帰りました」
「透おかえりぃぃぃ!お兄ちゃん透なしで約60時間過ごしたんだよ⁉︎アルバム全部引っ張りだしたんだからなぁ?……なんかあった?」
先ほどまで、糖分を含み過ぎたかのような声だったのに、急に、地声よりも少し低めの声を出す。
「……勘、鋭いですね、やっぱり」
「そりゃあ、お兄ちゃんですから」
得意気に言う兄を見て、思わず苦笑する。
どれだけ勉強を頑張れども、やはり自分はこの兄に敵わないようだ。
「留学に関する何か、だろ?合宿中に誰かに打ち明けた、とオレは読み取るけども」
「……大正解、です」
心理学者を目指しているだけある。洞察力は流石と言った様子だ。
しかし、ここまで読み取るのはやはり、身内であるからこそであろう。
「ん〜、まぁ、疲れてるだろうし。玄関じゃなんだしな?」
「え?あぁ、そうですねッ⁉︎」
ぐいっと、段差もあるというのに思い切り手首を引っ張られた。
何処までも僕を甘やかす割には、案外こんな風に強引な所もあるのだ。この兄には。
「ちょっ、兄さん!靴まだ揃えてないぃ!」
「後で良いじゃん良いじゃん〜」
兄さんはインドア派ではあるが、運動神経が衰えている訳ではない。
そこまで運動は得意でない僕に構わず、鼻歌交じりに突っ走って行くのだ。
「……ということです」
「……成る程ね。海斗君に言ったんだ、鳴海より先に」
こっちがどんなに窮屈な気持ちで話していれども、この人はいつも通りの飄々とした様子だ。
ある意味、こういうタイプの方が冷静と言えるのかもしれない。
「まぁ、透の判断は正しいな。鳴海にいきなり言ったって、何が起こるのか想像するだけで身震いする」
「……その発言も、充分身震い物ですよ」
おそらくだが、鳴海のポニーテールは火山のような役割だ。怒ると尋常じゃないほどに波打つから。
「なんか助言でも入れたい所だけど、オレの言いたいことも海斗君と一緒。透のやりたいようにやってもらいたいだけ」
常備している棒突き飴のパッケージをぺりぺりと剥がしながら、兄さんが言う。
剥がすごとに見えてくる飴は、エメラルド色だった。
「良い友達待ってんじゃん、今のうちに、青春堪能しとけよ?……後悔しないようにさ」
「そうですね……ありがとうございっ⁉︎」
口に棒突き飴を突っ込まれた。
広がった甘いメロンの香りと味に包まれ、何故だか涙腺が刺激された。
