「で、ちゃんと提出は出来ましたか?」
「勿論!恋鈴ちゃんの応援のおかげだよ本当……」
「一緒に解いてはくれないんですね」
そこまで頼んでしまっては、宿題ではなくなってしまう。
というか、恋鈴ちゃんは座敷童子だ。
時々おばあちゃんの知恵袋かというレベルのことを知っていたりはするが、学問となると別である。
教育を受けていないのだ。わかるはずがない。
「空欄もあったけど、委員長が「頑張ったから許してあげる」って言ってくれた!」
「なら良かったです。……あの、海斗」
「ん、どした?」
透は、真っ直ぐとこちらを捉えていた。
その鮮明な眼差しに、今から話されることが、重要であることを感じさせた。
「留学の件、決めました」
「……そっか」
「僕は、行きます。海斗や、兄さんに相談して、やっと……やっと決心が出来たんです」
ありがとうございました、と透は頭を下げる。
「そんな畏まるなって……いつから行くんだ?」
「2月の上旬には、行く予定です」
現在は、9月上旬。
残り約半年しか、共に学校生活を過ごすことが出来ないのか。
「そりゃ、あっという間だろうなぁ……鳴海には、言った?」
俺の問いかけに、透は口を紡ぐ。
「……言ってねぇのな」
「……はい」
透が黙っていても、いつか鳴海の耳に入ってくる話であろう。
それは、自分の親かもしれないし、クラスメイトの可能性だってある。
そのうち担任からも連絡があるだろうし、オカルト同好会でも、あるだろう。
確かに、いつか伝わることだ。しかし。
「ちゃんとさ、透の口から伝えねぇとな〜?」
「分かってます、それくらい……」
煽るような口調でわざとらしく言えば、透からもふっと、笑みが溢れた。
「じゃあ、勢いって訳じゃないですけど……今日の放課後。海斗も、ついてきてくれません?」
−鳴海視点−
「……は?」
「決まったんです、海外留学」
緊張しているようにも見えるし、気分が高ぶっているようにも見える。
今の透の状態は、そんな感じだった。
「なんで、わざわざ呼び出してそんなこと言うのよ。しかも、海外留学とか……意味分かんない」
放課後に、異性から呼び出される。
ましてや、相手は自分の。認めたくはないが想い人なのだ。
期待しない、訳がない。
「僕も、驚きました。でも、これは僕の将来の為にも、きっと、役に立つことです。……まぁ、1人じゃ決めきらなくて海斗と兄さんに相談もしたんですが」
照れくさそうに、指で頬をかく透。
「なんで……相談、あたしにもしてくれなかったのよ?」
1番引っかかったのは、ここである。
あたしだって。恋人ではないけど、幼馴染だ。
小さい頃から、ずっと一緒にいた。
なのに、なんで。
透の隣で、楽しそうに笑っている海斗。
友人の留学を、心から喜んでいるのであろう。
何故、あたしじゃなかったのだろう。
異性だから?異性だから、相談しずらかった?
今まで散々、異性として見てくれなかったくせに。
どれだけこっちが頑張っても、1人の女として見てくれなかったくせに。
なんで、今になって、異性という線引きをされなくてはならないのだ。
「……鳴海?」
整った顔で、あたしを覗き込む透。
パシィン、と響き渡る音。
透は自身の頬に手を当て、フリーズしている。
「……馬鹿」
あたしはそう言って、2人の元を去った。
今の言葉は、透に向けてなのか。海斗に向けてなのか。
それとも、自分に向けてなのか。
あたしはそれすらも理解出来ずに、ただ、走り去った。
「勿論!恋鈴ちゃんの応援のおかげだよ本当……」
「一緒に解いてはくれないんですね」
そこまで頼んでしまっては、宿題ではなくなってしまう。
というか、恋鈴ちゃんは座敷童子だ。
時々おばあちゃんの知恵袋かというレベルのことを知っていたりはするが、学問となると別である。
教育を受けていないのだ。わかるはずがない。
「空欄もあったけど、委員長が「頑張ったから許してあげる」って言ってくれた!」
「なら良かったです。……あの、海斗」
「ん、どした?」
透は、真っ直ぐとこちらを捉えていた。
その鮮明な眼差しに、今から話されることが、重要であることを感じさせた。
「留学の件、決めました」
「……そっか」
「僕は、行きます。海斗や、兄さんに相談して、やっと……やっと決心が出来たんです」
ありがとうございました、と透は頭を下げる。
「そんな畏まるなって……いつから行くんだ?」
「2月の上旬には、行く予定です」
現在は、9月上旬。
残り約半年しか、共に学校生活を過ごすことが出来ないのか。
「そりゃ、あっという間だろうなぁ……鳴海には、言った?」
俺の問いかけに、透は口を紡ぐ。
「……言ってねぇのな」
「……はい」
透が黙っていても、いつか鳴海の耳に入ってくる話であろう。
それは、自分の親かもしれないし、クラスメイトの可能性だってある。
そのうち担任からも連絡があるだろうし、オカルト同好会でも、あるだろう。
確かに、いつか伝わることだ。しかし。
「ちゃんとさ、透の口から伝えねぇとな〜?」
「分かってます、それくらい……」
煽るような口調でわざとらしく言えば、透からもふっと、笑みが溢れた。
「じゃあ、勢いって訳じゃないですけど……今日の放課後。海斗も、ついてきてくれません?」
−鳴海視点−
「……は?」
「決まったんです、海外留学」
緊張しているようにも見えるし、気分が高ぶっているようにも見える。
今の透の状態は、そんな感じだった。
「なんで、わざわざ呼び出してそんなこと言うのよ。しかも、海外留学とか……意味分かんない」
放課後に、異性から呼び出される。
ましてや、相手は自分の。認めたくはないが想い人なのだ。
期待しない、訳がない。
「僕も、驚きました。でも、これは僕の将来の為にも、きっと、役に立つことです。……まぁ、1人じゃ決めきらなくて海斗と兄さんに相談もしたんですが」
照れくさそうに、指で頬をかく透。
「なんで……相談、あたしにもしてくれなかったのよ?」
1番引っかかったのは、ここである。
あたしだって。恋人ではないけど、幼馴染だ。
小さい頃から、ずっと一緒にいた。
なのに、なんで。
透の隣で、楽しそうに笑っている海斗。
友人の留学を、心から喜んでいるのであろう。
何故、あたしじゃなかったのだろう。
異性だから?異性だから、相談しずらかった?
今まで散々、異性として見てくれなかったくせに。
どれだけこっちが頑張っても、1人の女として見てくれなかったくせに。
なんで、今になって、異性という線引きをされなくてはならないのだ。
「……鳴海?」
整った顔で、あたしを覗き込む透。
パシィン、と響き渡る音。
透は自身の頬に手を当て、フリーズしている。
「……馬鹿」
あたしはそう言って、2人の元を去った。
今の言葉は、透に向けてなのか。海斗に向けてなのか。
それとも、自分に向けてなのか。
あたしはそれすらも理解出来ずに、ただ、走り去った。
