じれったいという感情が、これほどまでに見合う時間が、これまでにあっただろうか。
少なくとも、あたし自身が覚えている中ではない。
「大丈夫って、言ったのになぁ……」
恋鈴ちゃんに悩み相談をしてから早三日。
昨日は勇気を出して部活にこそ出席したが、パソコンと向かい合って黙々と作業するという、半ば鎖国状態を醸し出してしまった。
しかし、クラスでも話す勇気は絞り出せずに、ただただ時間が流れていってしまった。
「……ちゃん、鳴海ちゃん!」
「へ?」
「へ?じゃないよ、移動教室、遅れちゃうよ?」
話しかけてくれたクラスメイトの夏帆ちゃんがくいっと時間割を指差しながら言う。
「本当だ……ごめん、ぼーっとしてて。ありがとね、夏帆ちゃん」
「最近鳴海ちゃんそういうこと多いよ……?大丈夫、なんか悩み事とかなら……」
「ううん!全然大丈夫!強いて言うならまたちょっと太ったかなぁなんて!」
あはは、と頭を掻いて笑えば、彼女も笑ってくれた。
でも、クラスメイトに勘づかれるくらいには、あたしは相当分かりやすいらしい。
早く謝らなきゃな、そんな感情もフラグにしか感じられず、また溜息が出そうになってしまった。
−海斗視点−
「海斗くぅぅぅぅん」
「何ですか俊さん……毎日電話かけてくるのは止めて貰えませんかね?」
「だって、愛しの透が日に日に辛そうな顔になっていくのがお兄ちゃん辛くて辛くて……」
ううっ、とすすり泣く声が微かに電話越しに聞こえる。泣くなお兄ちゃん。
透が貞子のことを美しいと思うのは、身内に貞子よりも遥かにオカルトな兄がいるからという仮説が出来上がりつつある。
まだ、俺の中では『弟思いの良い兄』で済まそうと努力しているが。
「俺はさぁ、海斗君が透と鳴海を上手い具合に混ぜ合わせてくれる。言わば調理人のような役割をしてくれるものだと思っているんだよ」
俊さんの中で、俺とは一体。
思っていたよりも過大評価されているような気がして、プレッシャーとともに嬉しさが込み上がってきた。
「でも俊さん。俺が頑張って出しゃばれば……逆に遠回りになっちまう可能性が大いに高いんすよ」
「それもそうだね……」
「あ、そこはフォロー入れてくれないんですね⁉︎」
「えっ、今まで俺が海斗君に対してフォロー入れたことあった?」
「そういえばありませんね!今後少しはフォローしてください!」
電話でここまで体力を使うって。俊さんどれだけ大者よ。
俺達の通話を聞いている恋鈴ちゃんも何だかあたふたしてるし。
「……とにかく、俺にはこれ以上協力できるようなことが思いつきません。こっからは本当、鳴海と透だけの問題になる……まぁ、最初からそのつもりで事を進めてきたのに進展がないからこんな話になってるんすけど」
恋鈴ちゃんと相談会をすれば自然と謝れるという風に思っていたのが間違っていたようだ。
鳴海は案外、物事を引きずるタイプらしい。
「鳴海次第、か……じゃあ、2人にまた変な雰囲気とか流れてたら連絡頼むよ。学校に乗り込むのは流石に犯罪だしね」
「なんですかその『法律で定められてるから仕方なく』みたいな言い方は……」
普通の会話の中に、たまに恐ろしいワードが紛れ込んでいるのだからこの人は油断ならない。
「んじゃ、今日もなんだかんだ電話してくれてありがとさん。透から仲直りの報告がないならまた明日もかけるから……」
「また明日もかけるんですか⁉︎」
少なくとも、あたし自身が覚えている中ではない。
「大丈夫って、言ったのになぁ……」
恋鈴ちゃんに悩み相談をしてから早三日。
昨日は勇気を出して部活にこそ出席したが、パソコンと向かい合って黙々と作業するという、半ば鎖国状態を醸し出してしまった。
しかし、クラスでも話す勇気は絞り出せずに、ただただ時間が流れていってしまった。
「……ちゃん、鳴海ちゃん!」
「へ?」
「へ?じゃないよ、移動教室、遅れちゃうよ?」
話しかけてくれたクラスメイトの夏帆ちゃんがくいっと時間割を指差しながら言う。
「本当だ……ごめん、ぼーっとしてて。ありがとね、夏帆ちゃん」
「最近鳴海ちゃんそういうこと多いよ……?大丈夫、なんか悩み事とかなら……」
「ううん!全然大丈夫!強いて言うならまたちょっと太ったかなぁなんて!」
あはは、と頭を掻いて笑えば、彼女も笑ってくれた。
でも、クラスメイトに勘づかれるくらいには、あたしは相当分かりやすいらしい。
早く謝らなきゃな、そんな感情もフラグにしか感じられず、また溜息が出そうになってしまった。
−海斗視点−
「海斗くぅぅぅぅん」
「何ですか俊さん……毎日電話かけてくるのは止めて貰えませんかね?」
「だって、愛しの透が日に日に辛そうな顔になっていくのがお兄ちゃん辛くて辛くて……」
ううっ、とすすり泣く声が微かに電話越しに聞こえる。泣くなお兄ちゃん。
透が貞子のことを美しいと思うのは、身内に貞子よりも遥かにオカルトな兄がいるからという仮説が出来上がりつつある。
まだ、俺の中では『弟思いの良い兄』で済まそうと努力しているが。
「俺はさぁ、海斗君が透と鳴海を上手い具合に混ぜ合わせてくれる。言わば調理人のような役割をしてくれるものだと思っているんだよ」
俊さんの中で、俺とは一体。
思っていたよりも過大評価されているような気がして、プレッシャーとともに嬉しさが込み上がってきた。
「でも俊さん。俺が頑張って出しゃばれば……逆に遠回りになっちまう可能性が大いに高いんすよ」
「それもそうだね……」
「あ、そこはフォロー入れてくれないんですね⁉︎」
「えっ、今まで俺が海斗君に対してフォロー入れたことあった?」
「そういえばありませんね!今後少しはフォローしてください!」
電話でここまで体力を使うって。俊さんどれだけ大者よ。
俺達の通話を聞いている恋鈴ちゃんも何だかあたふたしてるし。
「……とにかく、俺にはこれ以上協力できるようなことが思いつきません。こっからは本当、鳴海と透だけの問題になる……まぁ、最初からそのつもりで事を進めてきたのに進展がないからこんな話になってるんすけど」
恋鈴ちゃんと相談会をすれば自然と謝れるという風に思っていたのが間違っていたようだ。
鳴海は案外、物事を引きずるタイプらしい。
「鳴海次第、か……じゃあ、2人にまた変な雰囲気とか流れてたら連絡頼むよ。学校に乗り込むのは流石に犯罪だしね」
「なんですかその『法律で定められてるから仕方なく』みたいな言い方は……」
普通の会話の中に、たまに恐ろしいワードが紛れ込んでいるのだからこの人は油断ならない。
「んじゃ、今日もなんだかんだ電話してくれてありがとさん。透から仲直りの報告がないならまた明日もかけるから……」
「また明日もかけるんですか⁉︎」
