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新・鈴恋!


–透視点–

幼い頃から、僕は人付き合いが苦手だった。
幼稚園、レクリエーションの時間はいつも余りもの。先生の気配りでようやくグループに混じっても、そこでも浮いてしまっていた。
小学校なんて不安しかなく、内心自分はずっと1人だと、決めつけていた気もする。
しかし、そんな僕の世界を変えたのは、幼馴染となる鳴海であった。

幼稚園の年長の頃、とある昼休み。
「……遊ばないのー?」
「うわぁっ!?」
本を読んでいたところ、いきなり目の前に現れた彼女に、僕は驚きを隠せずにいた。
「そんなにおどろかないでよ、あたしがビックリしたじゃん!」
「ご、ごめんなさい……」
謝れば、彼女は「それでいいのだ」といった満足げな表情で頷く。
「今日はみんなでおにごっこの日なのに……たろうくんは」
「とおる……」
「普通なお名前ね!」
「え」
名前の間違えを訂正して、この対応。
率直ながらも、確かに心を抉るコメント。
「とおるくん、おにごっこせずに、ご本を読んでるなんておかしいよ!お外に行こ?」
両手を伸ばし、僕の腕を掴まれる。
そこで、とあることがまだ聞いていなかったと思い出す。
「……君の、お名前は?」
「もう、さっき言ったのにわすれたのー?」
「いや、言ってない……」
ぷくーっ、と頬を膨らます少女。
年長組だけでも『いちご』『めろん』『ぶどう』という3組がある。
自分はめろんだが、目の前にいる少女は見たことがない。つまり、他のクラスだ。
彼女は、しょうがなさを充分に醸し出しながら、仁王立ちで言った。
「あたしは、そめじなるみ!ぶどう組の今日のお当番、よろしく!」
組までなら分かるが、明らかにいらない情報まで付属している。
「ほら、お名前教えてあげたんだから、お外行く!」
「ちょ……」
半ば無理やりではあるが、鳴海は僕をグイッと引っ張り、外へと連れ出した。
この時、鳴海が僕を連れ出していなければ、僕は今でも教室の隅でただ本を読んでいたのだろう。


小学校2年生。いつものように2人で帰っていた時であった。
「あたし、大きくなったら俊兄のお嫁さんになりたいんだ〜」
「……お兄ちゃんの?」
うん!と元気に応答する鳴海。
その頬はほのかに紅く色付き、瞳は宝石を散りばめたように輝いていた。
「だから、応援してよね、透!」
りんごの様なランドセルを上下、軽やかに揺らし、鳴海はそう言った。
「うん!僕、応援しますね!」
これは、恩返しだ。
鳴海は僕の世界を変えてくれた。
だから、鳴海の恋を、僕は応援する。
すると言うよりかは、したいのだ。
鳴海が幸せになれるように、精一杯に恋を手伝い、応援していこう。




なのに、これは一体全体、どういうことだろうか。
「まだ分からねぇのかよお前は!!アイツがお前を好きだなんて、誰が見ても一目瞭然!わかりやすいったらありゃしないレベルだろうが!!」
目の前で叫ぶ海斗に、一瞬思考が停止する。
「……鳴海が僕のことを、好き?」
考えるだけど、言葉にするのでは、実感度が全然違う。
口に出したからか、急に体温が上昇する。
何やら海斗がくどくどと言っているが、申し訳ないもので耳に入らない。
鳴海が自分を好き。今までそんな可能性すら、考えたこともなかった。

本編ではお久しぶりの更新です!
今回は完全に、鳴海と透の過去でした。
楽しかったのですが……
幼い子の書き方わかりません((
<2017/02/25 13:07 錯乱咲良>消しゴム
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