おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
新・鈴恋!


HRの最中、普段はだらしの無い担任が、急に畏まった表情で透を呼んだ。
透が旅立つまで残り2ヶ月ほど。クラスメイトにその事実を告げるのも、そろそろ頃合かと思われる時期だった。
「……とやかく先生の口で言うより、竹倉。お前の言葉で伝えてやってくれ」
「はい。……2月から、僕は5年間のイギリスへの海外留学が決まりました」
その留学期間を聞いたのは、最近だった。
それこそ、鳴海と一緒に聞いたくらいだから留学の件を聞いてから1、2ヶ月程後となるのだろう。
5年間。この年数で、俺達は高校を卒業する。更には大学、または就職という社会へと旅立つような生活を送っているのだ。
透曰く、1年に1度位は帰ってくるらしいが、それでも今のように毎日話したり、馬鹿なことをしたりする日々はなくなるだろう。
クラスメイトから驚愕や、悲しみの声が上がる中で、元々事情を知っていた俺は静かに思った。
これは、『あのラッシュが来る』と。


放課後、部活に向かおうとしていた俺は見てしまった。
そこにいたのは、透とうちのクラス1の美少女である愛川さんだった。
「あの……竹倉君が留学しちゃうのならって、勇気を出しました。その、私、遠距離恋愛とかも全然耐えられるから!5年なんて、愛が有ればへっちゃらだと思うし……だから、付き合ってください!!」
予想的中といったところだろうか。
愛川さんが透のことを好きだということは知らなかったが、やはり『告白ラッシュ』は起こってしまった。これはきっとそれの序章だ。
愛川さんは、顔よし性格よし成績よしの女子だった。まさにクラスのアイドル、マドンナ的存在。
性格も良いので、女子からの人望も厚い。
ただ、体型がぽっちゃり気味(言うほど気にならないが)で、本人もそこがコンプレックスのようだ。
しかし、完璧過ぎないのが逆に良く、彼女は学年でもトップを争うほどモテていた。
そんな愛川さんから、告白される。
うちの学年の大半の男子なら、秒でOKの返事を返すだろう。それほど文句がないのだ。
「……ごめんなさい」
す、と透が頭を下げる。
「愛川さんの気持ちは、とても嬉しいです。愛川さんに非があるとか、そういうことでなくて。ただ、自分自身でちゃんと向き合いたいと思ったんです。……嘘をついて、人とお付き合いだなんて、僕には出来ません」
「……もういいよ。頭を上げて」
ふるふる、と涙を堪えているように見える愛川さん。
「気を遣わなくたって大丈夫。竹倉君が、ちゃんと私の想いと向き合ってくれただけで充分嬉しかったから」
にこり、と笑顔で透と向き合う愛川さん。
「……残り2ヶ月、クラスメイトとしてこれからもよろしくね?ふふ、告白してきた奴にクラスメイトとして〜とか、ウザいかもしれないけど」
「いえ、そんなことは……!!えと、よろしくお願いします」
愛川さんから差し出された手を、慌てながら握る透。
「……さて、これからいくつ目撃出来るか」
カウントでもしようかと、部外者である俺は密かに楽しんでいたりしたのだった。

いつの間にか閲覧2000突破していました……!
いつも読んで下さっている方々、本当にありがとうございます!!
もう1つ山場をつけてから、一気にクライマックスに持っていくつもりです。

そして、私事で申し訳ないのですが、今週は短編お休みさせていただきます。少し旅行に行くもので……
短編も閲覧数が1000突破していました!本当に繰り返しありがとうございます!
<2017/03/31 22:04 錯乱咲良>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.