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新・鈴恋!


「うぉーい、大丈夫か、透」
「ええ。むしろ、最近寝不足だったくらいですから、沢山寝て元気ピンピンですよ!」
「そっか、なら良かろう」
頭には包帯がぐるぐると巻かれ、新しく買って貰ったらしいエメラルド色の眼鏡を透はかけていた。
「この眼鏡、横野さんの家から頂いたんですよ。正直、あの眼鏡は度が少し弱くて困っていた所だったんです」
「あれで弱かったのかよ……どうやったらそんなに視力下がんだよ」
「それが、自分でもよく分からないんですよね……」
あはは、と乾いた笑みを漏らす透。頭部は痛々しさが残るが、元気というのは本当らしい。
「にしても、来るの早かったですね、海斗。面会って、今日の10時から可能だったんですよね?ぴったりに来ましたけど……」
「……ほら、テレポーテーション?」
心配でたまらなくて、早朝から準備していただなんて言える訳がない。恥ずかしくて死んじゃう。
「今度目の前で行ってください!!」
「嘘、嘘です!!早い段階で準備して、間に合わせました!!」
「なんだ……」
わかりやすく項垂れる透。むしろこっちの方で喜んでいただきたかった。
「でも、ありがとうございます」
「……おう」
いつも通りに、人の良さそうな笑みで透は微笑んだ。
「ーーーーーーーーー透!!!!」
スタァン、と無機質な音が鳴り響いた。
病院ではお静かに、という大前提の約束を破って、その人物はスライド式の病室のドアを開け放っていた。
「あぁ、鳴海。お久しぶりで、ちょ、何するつもりですか!?」
軍隊のように、鳴海が怪訝な表情でズンズン近づいてくる。
落ち着いていた透も、その態度に取り乱す。
「……バカ、心配したんだからぁぁあ!!」
「い、いひゃいです鳴海ぃぃ」
擦り傷の残る透の頬をつねり、鳴海はベッドへと顔を伏せる。倒れ込んだ割に、おそらく尋常じゃない力がこもっている。めっちゃ痛そう。
「バカ、バカァ!!」
「鳴海、さすがに手離した方が良いと思うなぁ……?」
「バカぁぁぁ」
あ、ダメだ聞こえてない。
数秒で手を離していれば感動的だったというのに、鳴海は尚も透の頬をつねり続けている。
そろそろ透が他の部位に包帯を巻きざるを得ないので、鳴海を強制的に引き剥がす。
「痛た……海斗、ありがとうございます」
「いや、これはしょうがない」
「ゔぇええ」
「もうちょい可愛く泣けよお前は!?」
鳴海は、嗚咽を漏らして、目元と鼻を真っ赤にしている。
それがなんとも歪で、笑いがこみ上げてきた。

スマホ没収されておりました…
短めですが!
<2017/07/09 23:50 錯乱咲良>消しゴム
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