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新・鈴恋!


「竹倉君退院記念&クリスマス&忘年会&竹倉君の送別会パーティ開幕ですわ!」
「長いっ!まとめるのが難しいと分かっていつつも思ってしまう……流石に長い!!」
透が退院してから一週間。12月下旬となった今は、耳が痛くなるほどの寒さを迎えていた。痛々しいほどだった包帯は彼の頭部からすっかりと消えて、以前と変わらぬ姿の透が、俺の隣には座っている。
「まとめるのが難解というよりは、まとめてはいけない。そう思ったので……お気に触ってしまったでしょうか……?」
「いえいえそんな!全部っすよね!うん!」
高城先輩は、「しゅん…」と効果音が出ていそうな程に首を下へと傾けてしまった。
そういや、女性にこんな表情はさせてはいけないと、今年97歳の婆ちゃんが言ってた気がする。親戚の婆ちゃんかは知らない、今朝会った通りすがりの他人かもしれないけど。とにかく、よくは覚えてないけれど先人の言葉には代わりない。
「そもそも、気にしてるのがアンタってのが変なのよ……図々しい」
「いやぁ、社交性は昔から高い者で」
「楽観的思考、尊敬するわ」
鳴海にそれを言われてしまっては心外だ。とか言いつつ、鳴海は基本的にひねくれているので、前向きな発言をしていた記憶が中々引き出せない。
「では、僭越ながら司会進行は、オカルト同好会副部長の川島もかがさせていただきまふ……うっ、噛んだ……ます!」
「勢いで誤魔化すスタイル嫌いじゃないです!よっ、もか先輩!!」
えへへ、と本日も可愛らしく照れるもか先輩。誤魔化しているところを特に否定しないのに、彼の正直な性格がまた垣間見えている。
「ではまず、竹倉君お楽しみの『クリスマス&送別記念のプレゼント交換』をしたいと思います!」
「あ、乾杯じゃないんだ」
折角空のグラスを構えていた所だというのに、どうやら俺の計算違いだったようだ。
「だって……恋春先生飲んじゃってるし」
「そんなまっさーか……ってガチだ!?アンタ、教員として、大人としてどうよそれ!?」
「置いてあるから悪いんじゃなーい。私は己の欲に従っただけよ☆」
……恋春先生の飲んでいる物にアルコールが含まれているかどうかは調べないことにしておこう。
「ということで、プレゼント交換しますか。誰から行く?」
「そうですわね……ではまずは、オカルト同好会メンバーで共同作成した色紙を」
「そ、そんな物を作ってくれていたんですか!?」
透は、準備の段階から、この会の手のかかり用に驚いてばかりでいる。それを俺達は微笑ましく、満足気に見つめては、主役は座っていて、と手伝おうとする彼を宥めていたのだ。
今だって、眼鏡の下の睫毛の長い瞳をパチクリと瞬かせている。
「ええ。寄せ書きという、至ってシンプルな物ですが……想いはしっかりと詰まっていますわ。受け取ってください、竹倉君」
にこり、と部長として高城先輩が透へと色紙を贈呈する。透は、感動で少し震えている腕を伸ばして、それを受け取った。
「……皆さん、ありがとうございます。後ほど、じっくりと見させていただきます!」
喜色に染まった透を見て、俺達はそれぞれ笑みを彼に向けた。

次回は個人のプレゼント回!
<2017/11/13 00:33 錯乱咲良>消しゴム
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