「いっけな〜い、遅刻遅刻☆」
俺の名前は辻見海斗、普通の男子高校生!
今朝は寝坊しちゃって、朝食を食べる暇もなく家を飛び出した!恋鈴ちゃんは心配してくれたけど、一大事だから仕方ないよね!
「って、んなこと言ってる場合じゃねえぇぇぇ!!」
俺の名前は辻見海斗。自称、普通の男子高校生だ。
今朝……というかさっき、アラームを盛大に無視した結果、家を出るべき時間にきっちりと起床した。
朝食は、心配やテンパリで我を見失った恋鈴ちゃんによって投げられたパンをキャッチした。
「やっぱ休日だっての、身体は分かってるもんだなぁ……素晴らしくも奥深きかな、人間の神秘」
そう、今日は学校がある訳では無いのだ。
それでも、俺にとって今日という日はとても大切で、とても重要な日なのだ。(寝坊したけど)
_________そして、『彼』にとっても、大事な日なのだ。
「……遅い」
「ご、め……寝坊、しちった☆…うっ、ごほっ、カハッ」
「そんな状況でもふざけようとする限り、あんたやっぱプロね」
目を細め、腕を組む鳴海。走りすぎて若干酸欠気味にもなっている俺には、彼女の表情がよく見えない。と言うよりも、見ていられないほどに疲れている。
「とりあえずありがとな……!!」
「褒めてないわよ」
褒めていなかったようだ。
「鳴海、海斗は僕の為に、こんなに息を切らすまで頑張ってくれたんです。そんな言い方はやめてあげてください」
「そうだそうだー。大体、いつもは遅刻常習犯の鳴海が早い方が珍しいっての。ちょーっと張り切っちゃったのかなぁ?それってもしかしなくても、透を見送るめに〜??」
無言の腹パンが俺にヒットした。
調子に乗りすぎるのは良くないな、と俺はまた一つ学んだのであった。
「ふぐっ……問題ナッシング…痛みなんてないさ」
「はいはい。……って、俊兄は?今日は透にベッタリなものかと思っていたんだけど……」
確かに、今日は俊さんの姿が見当たらない。高校生も冬休みだという時期に、大学生が出席、なんてこともないだろう。
「兄さんは……笑顔で送り出してくれましたよ」
「へぇ、意外」
「そう?……あの人、人間としての義理はあるわよ。それなりに。でも、今頃家で泣いてるでしょうね〜」
対して興味も無さそうに、鳴海が言う。泣く、なんて表現で済むのならいいけれど。今夜電話でもしてみようかな、と怖いもの見たさで思ってしまった。
「次帰ってくるの、いつになるんだ?」
「そうですね……夏には数日感だけでも、帰りたいです。それからは……向こうで就職した場合には、留学期間終了後だと、数年おきになるかもしれません」
「外国で就職、か。やっぱし俺には夢の世界にしか聞こえねぇけど……お前は出来るんだもんなぁ。やはり勉強はするべきだな」
「それでも勉強しないのがあんただけどね」
「うっせ。同類に言われたかねぇよ」
なんだか今日の鳴海は、いつもよりも毒気が強い気がする。
「……そろそろですかね」
「あ、もうそんな時間?」
とはいえ、盛大に遅刻をしたのだ。時間があまり経っていなくとも、出発の時間がすぐに来てもおかしくはない。
「気をつけてな。向こうでどんなことするのか、想像もつかねぇけど……頑張って」
「はい。海斗も、お元気で」
俺は、透と出会ってから、まだ1年も経っていない。入学式の日に人違いをされてから、今日までの数ヶ月だけの付き合いだ。
透が留学すれば、来年度のオカルト同好会は、俺と鳴海だけになる。新入生が、来るかもしれない。彼は、新入生達の先輩にはなれないのだと思うと、複雑な心境に陥る。
がんばれ。なんて在り来りな言葉しか俺には思いつかない。
でも、無理に繕うよりも、ありのままの気持ちを伝えたかったのだ。
鳴海が、一歩前に踏み出す。
女子の一歩というのは、距離で表せばそんなに大きくもない。だが、それは物理面での話だ。
実際には、その一歩は、他の誰よりも大きい。
「……あたし、待ってるから」
薄く微笑んだ鳴海から、俺は目が話せなくなった。
俺の名前は辻見海斗、普通の男子高校生!
今朝は寝坊しちゃって、朝食を食べる暇もなく家を飛び出した!恋鈴ちゃんは心配してくれたけど、一大事だから仕方ないよね!
「って、んなこと言ってる場合じゃねえぇぇぇ!!」
俺の名前は辻見海斗。自称、普通の男子高校生だ。
今朝……というかさっき、アラームを盛大に無視した結果、家を出るべき時間にきっちりと起床した。
朝食は、心配やテンパリで我を見失った恋鈴ちゃんによって投げられたパンをキャッチした。
「やっぱ休日だっての、身体は分かってるもんだなぁ……素晴らしくも奥深きかな、人間の神秘」
そう、今日は学校がある訳では無いのだ。
それでも、俺にとって今日という日はとても大切で、とても重要な日なのだ。(寝坊したけど)
_________そして、『彼』にとっても、大事な日なのだ。
「……遅い」
「ご、め……寝坊、しちった☆…うっ、ごほっ、カハッ」
「そんな状況でもふざけようとする限り、あんたやっぱプロね」
目を細め、腕を組む鳴海。走りすぎて若干酸欠気味にもなっている俺には、彼女の表情がよく見えない。と言うよりも、見ていられないほどに疲れている。
「とりあえずありがとな……!!」
「褒めてないわよ」
褒めていなかったようだ。
「鳴海、海斗は僕の為に、こんなに息を切らすまで頑張ってくれたんです。そんな言い方はやめてあげてください」
「そうだそうだー。大体、いつもは遅刻常習犯の鳴海が早い方が珍しいっての。ちょーっと張り切っちゃったのかなぁ?それってもしかしなくても、透を見送るめに〜??」
無言の腹パンが俺にヒットした。
調子に乗りすぎるのは良くないな、と俺はまた一つ学んだのであった。
「ふぐっ……問題ナッシング…痛みなんてないさ」
「はいはい。……って、俊兄は?今日は透にベッタリなものかと思っていたんだけど……」
確かに、今日は俊さんの姿が見当たらない。高校生も冬休みだという時期に、大学生が出席、なんてこともないだろう。
「兄さんは……笑顔で送り出してくれましたよ」
「へぇ、意外」
「そう?……あの人、人間としての義理はあるわよ。それなりに。でも、今頃家で泣いてるでしょうね〜」
対して興味も無さそうに、鳴海が言う。泣く、なんて表現で済むのならいいけれど。今夜電話でもしてみようかな、と怖いもの見たさで思ってしまった。
「次帰ってくるの、いつになるんだ?」
「そうですね……夏には数日感だけでも、帰りたいです。それからは……向こうで就職した場合には、留学期間終了後だと、数年おきになるかもしれません」
「外国で就職、か。やっぱし俺には夢の世界にしか聞こえねぇけど……お前は出来るんだもんなぁ。やはり勉強はするべきだな」
「それでも勉強しないのがあんただけどね」
「うっせ。同類に言われたかねぇよ」
なんだか今日の鳴海は、いつもよりも毒気が強い気がする。
「……そろそろですかね」
「あ、もうそんな時間?」
とはいえ、盛大に遅刻をしたのだ。時間があまり経っていなくとも、出発の時間がすぐに来てもおかしくはない。
「気をつけてな。向こうでどんなことするのか、想像もつかねぇけど……頑張って」
「はい。海斗も、お元気で」
俺は、透と出会ってから、まだ1年も経っていない。入学式の日に人違いをされてから、今日までの数ヶ月だけの付き合いだ。
透が留学すれば、来年度のオカルト同好会は、俺と鳴海だけになる。新入生が、来るかもしれない。彼は、新入生達の先輩にはなれないのだと思うと、複雑な心境に陥る。
がんばれ。なんて在り来りな言葉しか俺には思いつかない。
でも、無理に繕うよりも、ありのままの気持ちを伝えたかったのだ。
鳴海が、一歩前に踏み出す。
女子の一歩というのは、距離で表せばそんなに大きくもない。だが、それは物理面での話だ。
実際には、その一歩は、他の誰よりも大きい。
「……あたし、待ってるから」
薄く微笑んだ鳴海から、俺は目が話せなくなった。
