哨戒班、俺はその班の一員。
今では班じゃない、俺一人だけだ。
昔はもっと賑やかだった室内も、なにもかも。
皆消えた。死んでいった。
この国は戦争国家だ。敵も多い。空襲も多い。
俺は………それらを見回る係。
哨戒……つまりはパトロールだ。
この日だって二人死んだ。
曇天はまるで俺を嘲笑うかのように、雷鳴を轟かせる。
「ねぇ、何してるの? 雨降りそうだよ」
「…………誰だよ。お前」
敵意を籠めて睨んだつもりだったが、意味がなかった。
傘を俺に渡した君は、柔らかく笑う。
「十六夜っていうの。変な名前でしょ? 怪我もしてるし、もう帰った方がいいんじゃない? 今日は空襲が無いって月之も言ってた」
空襲が無いって?
それはどうだかな。
「その月之とかいうのは、なんにもわかってねえよ。いつ来るかもわからん」
「………貴方、哨戒班の人?」
「あぁ、国家の奴隷さ」
「逃げたい、とか想わないの?」
逃げたい、か。
想うさ。けど、叶わないんだ。
「想ったところで無駄だろ? それならもっと、現実的なのがいい。例えば…………暖かい飯が食いたい」
「っふぷ、あははっ、はぁ、はぁ、お腹…イタい」
「失礼な奴だな」
「あっ………ごめんなさい。それが普通じゃないもんね。ごめん…………怒った?」
「別に」
素っ気なく言うと、十六夜はおろおろとし始める。
「ごめんね、ごめんね。あのね、家に来て。ちょっとした償い! ね。行こう」
「だから、いつ空襲が…………」
「今日は大丈夫!」
俺の手を引く十六夜の言葉を、俺は意味もなく信じてしまった。
今では班じゃない、俺一人だけだ。
昔はもっと賑やかだった室内も、なにもかも。
皆消えた。死んでいった。
この国は戦争国家だ。敵も多い。空襲も多い。
俺は………それらを見回る係。
哨戒……つまりはパトロールだ。
この日だって二人死んだ。
曇天はまるで俺を嘲笑うかのように、雷鳴を轟かせる。
「ねぇ、何してるの? 雨降りそうだよ」
「…………誰だよ。お前」
敵意を籠めて睨んだつもりだったが、意味がなかった。
傘を俺に渡した君は、柔らかく笑う。
「十六夜っていうの。変な名前でしょ? 怪我もしてるし、もう帰った方がいいんじゃない? 今日は空襲が無いって月之も言ってた」
空襲が無いって?
それはどうだかな。
「その月之とかいうのは、なんにもわかってねえよ。いつ来るかもわからん」
「………貴方、哨戒班の人?」
「あぁ、国家の奴隷さ」
「逃げたい、とか想わないの?」
逃げたい、か。
想うさ。けど、叶わないんだ。
「想ったところで無駄だろ? それならもっと、現実的なのがいい。例えば…………暖かい飯が食いたい」
「っふぷ、あははっ、はぁ、はぁ、お腹…イタい」
「失礼な奴だな」
「あっ………ごめんなさい。それが普通じゃないもんね。ごめん…………怒った?」
「別に」
素っ気なく言うと、十六夜はおろおろとし始める。
「ごめんね、ごめんね。あのね、家に来て。ちょっとした償い! ね。行こう」
「だから、いつ空襲が…………」
「今日は大丈夫!」
俺の手を引く十六夜の言葉を、俺は意味もなく信じてしまった。
