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夏空哨戒班
- 第二幕/ -


「はい。どうぞ、召し上がれ」

「……いただきます」

十六夜の家は父も母も居ないようで、俺を上げても止める者がいないと言う。

「どうどう? 美味しい? 今日のは自信作だよ」

出てきたのは………何だろう。
赤い飯に黄色いのが乗ってる。

「これって……なんて飯?」

十六夜の表情が固まった。

「ごめん。私はそれをどうとればいいのか……」


「いや……美味しいけど。普通に。なんて名前かと」


「あ、なんだ、よかった。美味しくないかと……それはね、オムライスって言うんだよ」


明るくなる表情。背景まで変わってくるようだ。


「オムライス、か」

「うん、ねぇ……」





「君の名前は、なんていうの?」



名前……か。
わからんな。
基より無いものだ。

「無いよ。名前なんて」

大きな目を、また大きく開き、驚いた顔。


「じゃあ………私がつけていい!?」








「………………は?」




「いいじゃんか~………えっとね、う~ん………」


あれやこれや呟きながら目を輝かせる。
勢いが強い………止められない………



考えたところで、呼ぶ人もいないのだが。


「そうだ! 夜明はどう?」

「や…みょう?」


「そう、夜だけじゃ寂しいでしょう? でも、呼ぶ時は夜の方が言いやすいかなぁ」



「ね、どう?」………母親も知らない。愛も、名前なんて、つけてもらうことすら…………



「………嬉しいよ」





その日は、自分が国家の奴隷だ、等ということを、すっかりと忘れていた。

<2016/12/03 23:26 霜月鈴妖>消しゴム
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