「今日泊まってってくれればいいのに」
玄関先で、十六夜は名残惜しそうに笑った。
「……初対面の男を家に上げるのはやめとけよ」
「うん。夜だから上げたの、怪我してたもん。大したことなくて、よかったね」
「夜……夜か………。くくっ」
「え、なんで笑って………」
「何でも……じゃあな」
「うん。じゃあね」
じゃあって、これじゃまるで、また会う約束のようだ。
*城
「おい、お前どこに行ってたんだ!! 空襲が来なかったからよかったが……来ていたらどうなっていたかわかっているのか!? んん!?」
頬に鈍痛が駆けた。そしてその箇所から全身へ。
まるでストレス解消の道具だ。まぁそう扱われるのもなれてきていた。
「っ……あ」
「早く入って足出せ!! 鈍いんだよ!!!!」
足枷が俺に恐怖を叩き込む。
なんだったんだろう? 十六夜は……夜って名前は? 全部……俺の幻だってことはないだろうか。
恐怖が生み出した……偽りの温度。
「ふんっ!! ここに繋げばどんなヤツも静かになるな」
教官の顔が歪んでいる。狂喜? 快感? 知ったことか………
十六夜は……十六夜は……
お前は………なんなんだ?
