朝は、窓に当たる小石の音と、君の叫び声でやって来る。
朝が苦手な僕は、君に頼ってばかりだった。
「おはよー、望。今日も寝坊したね!」
「……ごめん。努力はしてるんだ……けど」
「大丈夫だよ~、もう一人お寝坊さんがいるからね。起こしに行こう」
明るい君の……山内 音葉の影に隠れて、通学路を歩いた。
彼女とは家が近く、家族ぐるみの付き合い。幼馴染みという存在。今から起こしに行くのは、彼女の友達だった。
「音葉」
「ん~? なあに? 望」
伝えたかった。たった二文字。
まるで物語のようなことだとわかってる。
告白がしたかった。
けれど、言葉も恐れには、敵わない。
「高校の授業には、追い付けてる?」
相も変わらず僕の口から、笑みと共に溢れたのは、勉強のこと。別に勉強が好きなわけじゃない。
高校一年の会話で自然なものだと思ったから。
「うーん……微妙だね」
「そっか、僕も」
「一緒だね!」
「……うん」
彼女の長い髪が、シャンプーの香りを漂わせ、僕の鼻を燻る。
「恭平は? まだ起きてないのかな」
「だから今から窓に石ぶつけに行くんでしょ~」
「あれさ、いつか割れると思うんだ」
桜の枝から漏れる光が、僕らを優しく包み込んだ。
