「・・・ザック。」
ポツリと、少女の呟きが響く。
ここは、とある更正施設。
少女ー・・・レイチェルガードナー
…レイは、一人刃こぼれした、
小さなナイフをしっかりと抱き締めて
布団に入る。
「ザックの、死刑が、決定、した・・」
声にならない感情が競り上がり、
いってもたってもいられない。
けど。
私は、何も、できない。
私には、何がある?
ザックのように強くもない。
運動や推理だって恐らく並みか、
少し上といったぐらい。
私は、良く言えば、
大人しくて、おませで、しっかり者。
悪く言えば、
化物、殺人鬼、・・・そして病んでる。
ねぇ、「ザック、ザック」と呼ぶ度に
涙が溢れて、切なくなるのは何故?
あの、パーカー越しに伝わる、
温もりが、あったかさがない。
寂しい、辛い、悲しい、ごめんなさい
それらの言葉がランダムに駆け巡る。
あの時、油断しなければ。
背後に隠れていた、ダニー先生に、
私が、もっと、早く、
・・・・・気がついていられたなら。
私がボウガンで撃たれザックが捕まるなんて、事はー・・・・・
夜中。
誰かが窓を叩く音がする。
施設の人が入れないように、ドアの前に、簡易バリケードを作った。
「・・・誰?」
【ー・・・避けろ】
私は瞬時に声の主を悟った。
そして僅かも疑う事はなかった。
その後とても大きく派手な音が響いた
施設の人がドアをガチャガチャやってる音がする。
「・・・よぉ」
「・・・元気そうだね」
「まーなぁ!?あん時の
変態や、カボチャにサドマゾ女に
比べりゃあ大した事じゃねぇよ!!」
「・・・うん」
「つーかよぉ、そろそろヤバそうだし
時間もねぇから行くぞ」
「うん」
でも待って、1つ聞かせてよ。
「ザック、お願い。
ザック、私を×してー・・・」
その後、青年はレイにだけ聞こえる声で何事かをぼそぼそと囁いた。
そして少女は心底幸せそうに
笑みを浮かべて、「ありがとう」
とだけ伝えて、行こっかと
青年の手を握った。
その翌日。
新聞では、
【かの連続猟奇殺人犯と
ガードナー夫妻殺人の事情聴取中の
拘束中だった少女が逃亡】
と、大きく報じられていた。
