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いろはに唄え
- 帰省 -

「相変わらずやなぁ彩葉。元気しとったか?」

予定より一週間早く都から帰省してきたのは幼馴染の初だ。
そちらも相変わらず坊ちゃん気取りで、とふざけながら対応する。

『都は?、おじはん成功したん?』

「…聞かないでくれや。」

失敗したのだろう。
でもお金持ちは1度失敗したところで凹みやしないだろう。
聞くな、と言われたので口を慎んでおく。

「そっちはー…大丈夫、じゃあなさそうやね。」

図星だ。
こんなボロボロの服装なら誰でも察する。

『ああ…。初坊とは格が違うけん。当然やけどな…。』

はぁ、と大きくため息をつくおいらをかわいそうな目で見る初が憎い。
事実羨ましいが、こんなおいらを構ってくれたのは幸運だった。
初とは絶対に同じ位置に立てないと思うが、
でも、
それでも、…。
生きるためには富が必要。

愛だけじゃ、生きれない。
愛をずっと欲しがってたわけじゃないけど、
愛されることが好きだった。
人に認めてもらうことが幸福だった。

「んなこと言うな!おいらに任せていいんや!頼ってく…」

『このままずっと任せていたくないんやて!!自分が嫌いになるだけなん!!』

唖然とした表情を見せる初。
言い過ぎか、と口を閉じる。
そして言い残すことはない、と立ち去ろうと歩く。

初は無言のまま反対方向を歩く。
このまま喧嘩してしまうのだろうか。
複雑な気持ちが過ぎる。

元々悪いのは貧乏な自分なのだから。
あんな坊っちゃんとつり合うことなんてないのだ。

「…気いつけな。」

ボソッとした初の声が聞こえた気がした。
今日、2度めのギクシャクが起きてしまった。
自分の責任。

『だけんど…。』

だが、このまま京子さんに養ってもらい、
佳代におすそ分けを貰って生き、
初に援助を求めていくなんてできない。

歌が好きだ。
歌って商売でもしてみようか。
でも売れる保証はできない。
返って無駄になるのでは、。

それに1人で歌うなんて度胸がいる。
恥はないが声が裏返ったりするのが恐ろしい。

『いーろーはーにーほーへーとー♪』

ふいに歌ってしまった。
小さい頃に聞かせられた歌。
なぜか脳裏に焼き付いている。

『ちーりーぬーるーをー♪』

歌っているときはすっきりした気分になる。
これだ、。
歌を歌って金を稼ぐ方法。

みんなで協力して何かできるはず。
ポジティブに考えると、どんどんアイディアが浮かんでくる。
自分でも天才に思えた。

初とも仲直りをして、協力してもらえばきっと成功する。
佳代と京子さん家の双子にも声をかけてみよう。
わずかな希望が生まれた。
歌手、だ。







親友、初坊っちゃんが帰省いたしました!おかえり←
いきなりだったけど歌手になって金稼ぎって思うと、
バンドの路上ライブを思いだしますねー。
<2016/10/31 19:39 奥山>消しゴム
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