ある温かな日の昼過ぎ。
豚の帽子亭はいつものように、七つの大罪メンバーと王女エリザベスとホークの声が響いていた。
今日もいつも通りの平凡な穏やかな日。
…のはずだった。
「キングのバカ!!!もう知らないっ!」
豚の帽子亭のドアは勢いよく開けられ、ディアンヌは外へ飛び出し、どこかへ走って行ってしまった。
「ちょっと待ってよ!ディアンヌ!」
慌てて彼女を追いかけようと飛び出したキング。
しかし、辺りを見渡すも、木々が広がるばかりで、どちらの方向へ向かったのかはすでにわからなかった。
「やみくもに探しても、すれ違いになるだけですわ!
ここは、私に任せてくださいませんか?キング様。」
中から聞こえた声に振り向いた。
エリザベス様より少し年上くらいだろうその少女は、長いスカーフを身にまとい、フードを深く被っていた。
「……アイリス。」
彼女は、ついこの前、森で倒れていたところをキングが見つけ、豚の帽子亭へ連れて帰った人間の女の子だ。
「でも、今君がディアンヌのところへ行ったら…。」
少しいいづらそうにキングは口ごもった。
なぜなら先程のディアンヌの怒りの発端は、少なからず彼女にも原因があるからだ。
「わかっています。だからこそ、私に行かせてください。彼女に、きちんと謝りたいのです。それに、私の魔力を使えば、半径数十キロのものの居場所を追跡することができますわ。」
「…!なら、オイラも一緒にいく!」
すぐさまキングはそう言った。
でも彼女は首を横に振った。
「お願いします、私だけ行かせてくださいませんか?またキング様とご一緒にいれば、ディアンヌ様もあまり良くは思われませんし…。ちゃんと、二人きりでディアンヌ様と話し合いをしたいのです。」
深々と頭を下げられ、そんなことを言われれば、キングにもとめようがなかった。
「…わかった。でも、必ずディアンヌを連れて帰ってきてよ?」
キングは心配そうに少女を見つめた。
「もちろんですわ。」
少女はキングに微笑みそう言うと、森の奥へと足を進めた。
