キングは、普段ならいいかえすディアンヌがきっとローズに言われたことを深く気にしているせいで、黙っているとわかった。
けど、今はこの状況をまずなんとかしなければ、と思い、ローズに話しかけた。
「ローズ」
彼女ははっとしたかのように、キングを見上げた。
キングも彼女を安心させるため、座り込んでいる彼女と同じ目線までかがんだ。
そしてこんなことを言った。
「キミは、昔、ヘルブラムのことが好きだったんじゃないのか?」
「…!!!」
彼女は目を大きく見開き、その名前を聞いた途端頬が赤く染まった。
「やっぱり、そうなんだよね?」
ヘルブラムとは、キングのかつての親友である。
「でも…ヘルブラムが想っていたのは、人間の女性だったんだろ?かつて、彼がオイラに言ったんだよ。
好きな人がいるけど、その人にも別の想い人がいること。だから、自分を好きになってくれた子の方が、きっと幸せになれるんだろうなってこと。それに、その好きな人は人間だということ。」
「そしてヘルブラムは、その想いを伝えることなく…人間の聖騎士に殺された。だから、キミは多種族や、人間が許せないんだろう?
そして、ヘルブラムの姿をオイラに重ねてたんだろ?」
キングの言葉を全て聞き終えたローズは、今度は静かに涙を流した。
「さすがは…妖精王ですね。あなたには、全てお見通しなのですね…。」
力なくローズは笑った。
キングは優しく、ローズの頭を撫でた。
「確かに、ヘルブラムは人間に殺された。オイラも、昔なら人間や、他の種族なんて、信用するもんじゃないって思ってた。でも…」
キングは立ち上がり、ディアンヌの方へ歩いて行った。
そして彼女の手を優しくとると、ローズの前まで連れていった。
「ディアンヌのおかげで、オイラはその壁を乗り越えられたんだ。」
ディアンヌの目を見ながら、にっこりと笑った。
ディアンヌは顔を赤くしながらうつむいた。
「キミにも、必ず分かる日がくるよ。だって、キミも本当は、優しい子だって、オイラ知ってるから。」
ローズは、わあああと大声を出して泣きながらこう言った。
「ごめんなさい!ごめんなさい!私…」
「もういいよ、ローズ。ボクも、キミのことなんにも知らずに…ごめんね?」
顔をあげるとディアンヌが今度は自分の肩に手を置き、そう言った。
