「魔の洞窟⁉︎なんでまたそんな危険なところにわざわざ行くんだい?」
魔の洞窟とは、ソードウルフの住処とも言われているらしく、中には魔力をもつ怪物も住んでいると言われている。
「最近、近くの村の畑や民家が、ソードウルフに荒らされて困ってるらしーんだ。このままじゃケガ人がでねーとも限らねーし、お前らにも力を貸して欲しい。」
「そんなことが…。どうする?キング?」
ディアンヌはキングに聞いた。
けど、二人の答えは決まっていた。
「もちろん、行くよ。でもちょっと待って。オリヴィエやゲラードに留守にすると伝えてくるよ。」
「二人とも、サンキューな。あ、ディアンヌ。洞窟に入るんだから、お前はちっさくならないとは!」
「うん。薬なら持ってるよ!」
そしてキングだけ、一旦その場から離れると、オリヴィエ達の元へ急いだ。
オリヴィエ達の所へたどり着くと、何やら不穏な空気だった。
またガウラと喧嘩でもしたのだろうか?
まぁ今はそれどころじゃない、と思い、みんなの所へ近づく。
「オリヴィエ」
我が子の名前を呼ぶと、バッと振り返り、嬉しそうにキングの元へ駆け寄ってきた。
「父上!どうしたのですか?」
「ハーレクイン様」
寝っ転がったりしていた他の妖精も、慌てて起き上がる。
「実は、少しの間だけ森を離れなきゃいけなくなった。って言っても二、三日で戻るだろうけど。だからオイラとディアンヌがいない間は、絶対にみんな森から出てはいけないよ。
外は危険だから。ローズ、キミはゲラードに伝えてくれる?キミたちも、他の子に伝えてくれ。」
「わかりました。必ず帰ってきてくださいね。」
ローズは心配そうに、そう言った。
「父上、どこへ行くのですか?キケンな場所ではないのですか?」
オリヴィエはキングの洋服を掴みながら止めようとする。
キングは彼の肩に手をおくと、こう言った。
「大丈夫さ。必ず帰ってくるから。」
「…約束できますか?」
「もちろん。」
みんなにも別れを告げ、再びキングは飛んで、その場から見えなくなった。
するとずっと黙っていたガウラが口を開いた。
「果たして無事で帰ってこれるのかね?」
その言葉にオリヴィエはキッと彼をにらみつけた。
「当たり前だ!父上は約束してくれたんだ!」
「口なら何とでも言えるもんな?」
オリヴィエが彼に掴みかかろうとすると、ローズが間に入ってきた。
「もう二人とも!いい加減にして!!」
一同はしばらく沈黙し、その場にいずらくなった妖精達はどこかへと逃げていった。
ローズはゲラードの所へ行くと言って、飛んでいった。
オリヴィエとガウラの二人になり、オリヴィエがこんなところさっさと自分も去ろうとしたとき、ガウラが沈黙をやぶった。
「なあ、オリヴィエ。私と勝負しないか?」
「勝負…?なんで。」
突然の提案に意味がわからないとオリヴィエはぶっきらぼうに返す。
「お前が勝負に勝ったら、お前と父親のことを認めてやる。」
「…負けたら?」
「お前とお前の両親に、森から出ていってもらう。」
「何を言ってる!父上は神樹に選ばれた妖精王だ!父上がいなくなれば、森は終わりだ!」
「そうなれば、新しい妖精王を選んでいただくまでだ。」
「さて、どうする?オリヴィエ」
オリヴィエは彼の挑発にのった。
「受けてたつ。僕に勝負を挑んだこと、後悔するといいさ。」
ガウラはニヤリと笑うと
「そうこなくてはな。」
と言った。
