それから、なんとなく散歩も兼ねて森をぶらつくオリヴィ
エ。
森の泉へたどり着き、バシャバシャと顔を洗う。
顔をあげると、反対側の岸辺に見たことのない人影が見えた
。
「え…人間⁉︎」
父、ハーレクインには、部外者を見つけたらすぐに報告するようにと言われていた。
けれど、どことなく寂しげに水面を見つめる少女から、一瞬にして目が離せなくなったオリヴィエ。
(なんて、綺麗なんだろう…花みたいだ。)
オリヴィエは柄にもなく、素直にそう思った。
心臓の鼓動がとてもうるさい。
足も震えていた。
透き通るような長めの銀髪は、ハーフアップにされていて、動きやすそうではあるが、気品もある薄い水色のワンピースに身を包み、足元はしっかりと抑えて、屈んで水面を見つめている少女。
オリヴィエの興味をそそるには、十分だった。
反対側まで急いで走っていくと、少女の背中がだんだんと近くなってくる。
「あ、あの…」
オリヴィエが緊張した様子で声をかけると、少女はゆっくり振り返った。
白い肌に長いまつげ、大きなエメラルドグリーンの瞳に見つめられると、吸い込まれそうになる。
オリヴィエは一呼吸してから話し始めた。
「キミは…こんなところでどうしたの?人間がこの森に入っては危ないよ。他の妖精に見つかる前に、早く出た方がいいよ。僕が案内するから。」
すると少女は口元を抑えて笑った。
するとオリヴィエは更に鼓動が高まり、顔中が熱くなるのを感じた。
(やばい、なんだこれ…落ち着け!!)
オリヴィエが一人でパニックになっていると、少女が口を開いた。
「変わらないのね、オリヴィエ。」
「えっ…」
「何で、僕のこと知って…?」
すると少女は髪を縛っていたグリーンのリボンをスルッと解くと、オリヴィエの前に差し出した。
「これ、覚えてる?」
ーーーーーーーー
(友達のしるしだよ!)
「これ!!…まさか、キミは、フローラ…?」
「えへへっ、久しぶりだね!オリヴィエ!」
そう言うとフローラは思いっきりオリヴィエに抱きついた。
「ちょちょちょっと!!フローラ!!!」
オリヴィエは慌ててフローラを離す。
「何よ〜ケチ。」
「女の子なんだから、男に簡単にそんなことしちゃダメだよ…。」
オリヴィエは自分自身を落ち着かせようと思いつつ後ろをむいた。
「…オリヴィエだからいいんだもん。」
小さい声でそう言うフローラ。
「えっ⁉︎ねぇ、それどういう意味。」
すごい勢いで振り返るオリヴィエ。
フローラは少し顔を赤くして
「内緒!」
と笑って歩き出した。
「僕…男として見られてないってこと…?」
オリヴィエはショックを受けていたが、フローラから
「何してるのー?早くお父さん達のところに案内してよー。」
と声をかけられ慌てて駆け寄った。
