パーティーを終えて、次の日の朝、三人は再び森へ帰ることになった。
オスローを呼び出して帰ることもできたが、せっかく家族三人の時間なので、あえて時間をかけて帰ることにした。
キングが珍しく、行きたいところがあると言いだしたので、ついて行くことにした。
少し遠いのか、キングはリオネスの馬車乗りに、お金を払って移動することになった。
「ねぇ、どこに行くの〜?」
薬で小さくなっているディアンヌが問いかけてきた。
「内緒。着いてからのお楽しみだよ。」
キングは得意げに笑う。
「僕、こういうのは初めて乗ります!なんだかいいですね!」
オリヴィエは楽しそうに馬車の中から景色を眺めている。
それから時間が経ち、いつの間にか眠っていた三人は、馬車の持ち主に起こされた。
「ほら、着いたよ。ここでいいのかい?」
キングはまぶたをこすりながら身体をゆっくり起こす。
「ああ、ありがとう。すまない、寝てしまったみたいだ。」
「お客さんなんだ。気にするこたぁない。じゃ、後はゆっくりやってくれ〜。」
優しい馬車乗りは、三人が降りると手を振って再び馬車を走らせた。
三人はその様子を見送った後、辺りを見渡す。
「ここって…もしかして。」
ディアンヌには見覚えのある景色だった。
「ふふふ、ご明察。ちょっとこっちに来て。」
キングに手招きされて、ディアンヌはオリヴィエと手を繋いでキングに着いて行く。
「あっ…!」
ディアンヌが声をあげた。視線の先には、小さな川が流れていた。
「川だ!湖なら森にあるけど、川は初めて見ます!」
「…ここで、初めてキミと会ったんだよね、ディアンヌ。」
「うん。懐かしいね…。」
ディアンヌは風でなびく髪を手でおさえる。
「父上と、母上が、ここで…?」
オリヴィエは驚いた。
「うん。キングがね、傷だらけであの川に倒れていたの。だからボクが住んでたほら穴に運んで、手当したんだ。」
「まだあのほら穴あるかな?行ってみようよ!」
キングはニッコリと笑ってディアンヌの手をとる。
ディアンヌを真ん中にして、三人で手を繋いで洞窟があった場所までいった。
「わぁ!変わってないね〜!!」
ほら穴は、そのままの形で残っていた。
中に入ってみると、昔キングがよく腰掛けていた椅子みたいな岩もそのままだった。
「ここでね、まだ七つの大罪として王国の騎士になるずっと前に、ディアンヌと暮らしていたんだ。」
「そうだったんだ…。でも、なぜ父上は今日この場所へ連れてきたのですか?」
オリヴィエがキングに聞いた。
「今日は、特別な日なんだ。」
「「特別な日??」」
ディアンヌとオリヴィエの声がリンクしてほら穴に響く。
「今日は、実はオイラとディアンヌの、結婚記念日なんだ。」
「結婚…記念日?結婚した日ってこと?」
「そう。人間は、結婚した日を結婚記念日って言って、何十年経っても、相手にプレゼントしたり、ご馳走を食べたり、気持ちを伝えたり、特別な日にするんだって。」
「へー!人間って、いろんな事思いつくんだね!それで、キングはボクに何をしてくれるの?」
ディアンヌはえへへっと笑ってツインテールをクルクルと指に巻きつける。
「キミに、オイラの気持ちを伝えたいなーって思って…。上手く言えるかわからないけど、実はオイラの想いを、手紙に書いたから…聞いてくれる?」
「もちろん!」
ディアンヌとオリヴィエは、その場に腰掛けた。
キングは緊張した様子で、咳払いをひとつすると、ポケットから手紙を取り出して話し始めた。
