「えーと…ディアンヌへ。
いつもは恥ずかしくてあんまりこういう事は言えないから、結婚記念日っていう今日この日を借りて、手紙を書きました。
ディアンヌと出会ってもう随分経つけど、オイラにとっては毎日が楽しくて、新鮮な感じがするんだ。
けどあの頃と変わったことといえば、オリヴィエを産んでくれたこと。
こんなオイラに家族が出来るなんて、オイラは本当に幸せ者だと思う。
頼りないかもしれないけど、これからもよろしくね。
あと…オリヴィエへ。
優しくてしっかりした子に育ってくれて、本当に嬉しいよ。オイラがディアンヌを怒らせちゃった時も、オリヴィエがいつも仲直りさせてくれるきっかけを作ってくれたよね。
けど、もうちょっとオイラを頼ってほしいと思う時もあるんだよね。これでも一応妖精王なんだからね!
ディアンヌ、オリヴィエ、オイラと出会ってくれて本当にありがとう。
えっと…これからもずっと、大好きです!!」
キングは顔を真っ赤に染めると、手紙を二人に押しつけるように手渡した。
ディアンヌはそんなキングがおかしくて、そのままキングを抱きしめた。
「ちょちょちょっと!!!ディアンヌ⁉︎」
ディアンヌの柔らかな胸に顔が押し付けられて、顔がどんどん火照って、今にも鼻血が出そうになるキングを見かねて、オリヴィエはいつもの如くディアンヌの手を緩める。
「へへーっ、ありがとうキング!ボクも大好きだよ!」
照れた時にツインテールの毛先で、口元を隠す仕草は、昔と変わらない。
「僕も…父上も母上も大好きです。」
オリヴィエも気恥ずかしそうにそう言った。
「あ、ねえねえ!あの頃みたいに、追いかけっこしようよ!」
なんとなくしんみりした空気の中、突然のディアンヌからの提案。
「うん、いいよ。けど、三人でどうやってやるの?」
「ボクとオリヴィエが捕まえる役で、キングが逃げる役♪」
「えー⁉︎それじゃあオイラ一人不利じゃないか!」
「父上は飛べるんだから、それくらいいいじゃないですか!」
「う…確かに。わかったよ。それで、またあれ…?」
キングはディアンヌに問いかけると、ディアンヌはいたずらっぽく笑った。
「もっちろん!キングを捕まえたら、何でも一ついう事聞いてね!オリヴィエも、キング捕まえたら何でもお願いできるよー!」
「えっ、本当ですか⁉︎よし…頑張ります!」
「じゃあいこっ!」
三人は外に出ると、追いかけっこをし始めた。
「ちょっとキング〜!あんまり上に飛ぶのはナシだからね!」
「ごめんごめん。ほら、こっちこっち!」
キングはそこそこのスピードで飛んでいる。
中々捕まえられない。
するとオリヴィエに、とんでも無いことが起こった。
「僕は…父上に、お願いするんだ…!」
なんと今まで一度も機能を発揮できなかった彼の背中の羽が、空を羽ばたいた。
「…!!わ、飛べた⁉︎⁉︎」
「オリヴィエ⁉︎⁉︎」
「オリヴィエが飛んだ⁉︎」
キングは驚きのあまり、完全に油断してしまった。
思わず動きをとめるキング。
そこをオリヴィエとディアンヌはすぐ様捕まえる。
「「捕まえた〜!!」」
二人は思いっきりキングに抱きつく形になり、キングは尻もちをつく。
そして慌ててオリヴィエの肩に手を置く。
「それよりオリヴィエ!!今飛んだよね⁉︎」
「はい!なんか、飛べちゃいました。」
どうやったのか自分でもわからないが、確実に飛べた。
「よかったね〜オリヴィエ!」
ディアンヌも嬉しそうにオリヴィエの頭をなでる。
「で、お願い聞いてくれる⁉︎」
「父上!お願い聞いてくれますか⁉︎」
二人の声がかぶる。
「うん、まぁ約束だからね。」
「じゃあはい!オリヴィエは、キングに何してほしいの?」
ディアンヌがそう問うと、オリヴィエは言いづらそうに下を向く。
「…オリヴィエ?」
キングが顔を覗き込むと、オリヴィエは顔を上げてキングの肩をがしっと掴むと、とんでも無いことを言った。
「あの…!父上、僕、どうしても兄弟が欲しいです!!」
「えっ⁉︎」
オリヴィエもキングも顔を真っ赤に染めたが、ディアンヌは驚いた顔をした。
「その…出来れば弟が欲しいです…。」
「えーっ!男の子がほしいの?」
「ディアンヌ…??」
ディアンヌは少し困ったように笑う。
「ボクのお願いも聞いてくれる?」
「な、何?」
キングはオリヴィエのお願いだけでも、心臓が忙しいと言うのに。
「お、女の子がほしい…。」
ディアンヌからそんなことを言われ、顔を真っ赤にさせて驚きの声を空に響かせた。
