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灰色クラウディ
- 出会い -

煩く蝉が泣き喚いている。私はそんな中で薄灰色のワンピースを身につけ足早に歩く。白いハイヒールサンダルが歩くたびにカツン、カツンと控えめな音を鳴らした。
時刻は午後1時。街中を行く人々は汗を流し、まるで登山でもするかの様に重い足取りで歩いていた。無性にアイスが食べたくなったので近くのコンビニエンスストアに立ち寄った。冷房が熱った身体を冷ましていく。アイスケースの中から少し高めの値段をした抹茶味のカップアイスを取り出した。今すぐにでも食べたい気分だが、万引き犯にはなりたくないのでレジで会計を済ませる。
「いらっしゃいませー。テープで宜しいでしょうか?」
レジに立つ大柄の青少年の名札にはアルバイトの文字。しかし手馴れた動きでレジ打ちをしている辺り、色々なところで同じような作業をしていたのだろう。
「はい。レシート要りません。」
私はすぐさま食べるつもりだ。レシートは不要である。
「畏まりました!350円になります!」
アルバイトの青少年は爽やかな笑顔を向け、代金を置く小さなトレイを差し出した。私はそこに350円丁度を置いた。
「丁度ですね!ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております!」
言い終わる前に私は店を出た。
近くのベンチに腰を下ろして、買ったばかりの冷たいアイスを一口。苦いような甘いような味が広がり、私の心を満たしていった。あっという間に平らげ、ゴミ箱の中へ投げ入れた。先ほどはサウナのように暑かった外の世界はアイス1つでこんなにも変わるものだ。小さな子供は母親にアイスを強請る。女子高生は鞄から財布を取り出し、コンビ二へ入っていく。サラリーマンは羨ましそうな表情をするも仕事を優先する。私は持っていた鞄から音楽プレーヤーを取り出しヘッドホンの先を挿した。お気に入りの一曲を選び、再生ボタンを押す。低音が鼓膜を刺激して、身体までもが振動する。曲に合わせて揺れる身体は誰にも止められない。私は多少軽くなった足で歩き出した。
音楽の世界に浸っている間に、人がどんどん増えていった。突如角から飛び出した黒い影に驚き後ろへ倒れた。と思った。
「大丈夫?ごめんね急に飛び出しちゃって。」
裏がありそうな笑顔を向けた、私と同じ背丈くらいの男が腕を掴んで、倒れるのを阻止してくれていた。
「ああ…すみません。大丈夫です。こちらこそ周りをよく見ていなかったので…。」
男は少し力を込めて、私を手前へ引っ張った。そのおかげで私もすんなりと立てた。
「君、学校とかは行ってないの?」
確かに、今は皆学校にいる時間だ。私は高校を中退したから行く必要も無い。
「私、中退したので行ってません。あなたは?」
「僕もそんな感じだよ。何だか似たもの同士だね。」
何かの縁ですね、と私も笑った。
「結構話し込んじゃったね。僕寄り道しすぎるとこわーい人に怒られちゃうからそろそろ戻らなくちゃ。」
「そうですか。ありがとうございます。楽しかったです。」
私は頭を下げた。
「僕もだよ。それじゃあね!また会えるように!」
手を軽く振って去って行った。とても他人とは思えないほど話しやすい人だ。私はヘッドホンを付け直して歩き出した。
「あ…ぶ…ない…!」
ヘッドホン越しに聞こえる途切れ途切れな甲高い声。私の頭上に何かの気配を感じた。
「…!」
鉄パイプが大量に降り注ぐ。私は下敷きに―――。
「…?」
何の衝撃も無い。恐る恐る目を開けた。
鉄パイプは私の周りに落ちていた。私を避ける様に、円を描く様に。
「大丈夫!?怪我とかしてない!?」
近くにいた教師らしき女性が駆け寄ってきた。
「いえ…特に怪我はしてません。ありがとうございます…。」
「良かった…。ヘッドホン付けながらだと危ないから気をつけなさいね!」
私はとりあえず素直に返事をしたが、多分この行為はやめないと思う。暇があるなら常に音楽を聴いていたいのだ。
サッサと緊迫した現場から抜けた。ざわついていて耳障りだ。
「やぁ。また会ったね。」
聞き覚えのある声。たった今聞いたばかりの声だ。
「あなたは…。」
「君、さっき危なかったね」
この人は見ていたのだろうか。
「さっきね、鉄パイプが落ちてきたときね、君の「目」           赤かったんだ。」
さっきとは打って変わって真剣な表情だ。
「…たまにあるんです。写真撮る時も私だけ目が赤かったり…。」
「やーっぱり君ワケありなんだねー」
「はぁ…」
この人は心当たりがあるかの様に言った。
「僕もね…そうなんだ。」
急に塀の中へ入った。すぐさま後を追って、塀の中を見たが、中にいるのは黒猫だけ。さっきの人はいない。それに塀は3mほどの高さがあって、飛び越えるなど不可能な事だ。出入りできるところも私がいるところだけで、他の場所から出ることも不可能。
「にゃーん」
黒猫は私の足元をするりと通っていった。何気なく後ろを見ると―――。
「っ…!?な、な…!?」
「あぁごめんね。でも僕の目見て。」
血が滲む様な鮮明な赤色。
「え…!?」
「さっきの君もこんな目になってたよ。これ、「能力」なんだよ。」
「そ、そんな非科学的な…。」
こんな夢世界のような事があるだろうか。私は半信半疑だった。
「僕についてきてよ。他にもいっぱいこんな人がいるからね」
裏がある笑顔に戻った男性は手を差し出した。
「…」
私はおふざけなのではないかと疑っていた。
「おふざけでこんな事出来ると思う?」
「…いえ…」
「なら、一緒に来てみて」
私は躊躇しながらも付いて行った。

カゲプロの二次創作になります。
文脈がおかしいところもあるのですがお気になさらず!
<2016/06/08 23:05 黒スケ>消しゴム
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