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薄桜鬼ー雪光録ー
- 番外編 木枯らし録りたーんず・2 -



語り手変わりまして、藤堂真雪です。
現在屯所が大変なことになってます。
え?僕?
もちろん………
「大丈夫、ですか?」
「…ああ…すまない……」
看病する側です。



八十さんが急に倒れたのは、巡察の帰り道だった。
屯所に入って一、二歩で、そのまま膝から崩れ落ちた八十さんに、僕たちは驚いて固まったのを覚えている。
こういうとき、総司さんがいると良かったのだけど、風邪をひいてしまっているらしく…。
あたふたしているところを歌恋さんが通らなかったらどうなっていたことか。
そして今現在、僕が八十さんの看病をしている。
「八十さん、お粥食べられそうですか?」
「…食欲がない。」
「食べないと治りませんよ?」
「……やだ。」
「…」
…………?
「今、何て…」
「食べたくないもん。やだもん。」
…………!?
「ややややややや八十さん!?!?」
八十さんの性格がなんていうか…幼児退行みたいなことになってらっしゃいますが!?
驚いてお茶をこぼしそうになる。
「じ、じゃあ…何か食べたいものは…」
「……」
そんな上目遣いで僕を見ないで!!
八十さんの僕よりかなり年上とは思えない中性的で整った顔立ちに、思わず顔が赤くなる。
だ、誰か助けてください……。




「…?今、誰かの危ない道に踏み出しそうで懸命に留まってるような心の叫びが聞こえたような…」
「何急に具体的に誰かの心読んでるの。」
千鶴は私の言葉に苦笑する。
横にはすっかり冷めた味噌汁。
何とか落ち着いたような一君は、そのまま倒れるように眠ってしまった。
現在、左之さんが桶を取りに行っている。
「……一君て、若いんですね…」
「…急だね。……でも、確かに…普段落ち着いていらっしゃるから忘れているけれど、私と四つしか変わらないんだもんね。」
長いまつげとすべすべの肌を見てため息まじりに呟いた言葉に、千鶴は頷きながら返す。
「早く良くなると良いですね。」
「うん……今幹部の皆さんほとんど動けないし、隊士さんたちも大変だね……歌恋ちゃんのところは平気?」
「まあ、一応は。」
そう、今回幹部のほとんどが風邪で、尚且つ残りの幹部のほとんども看病に回っているので私たち平隊士は大変なのだ。
組長が風邪をひいている組は…。
まず、一番組。そしてみんなをまとめる八十さんも風邪。真雪ちゃんは八十さんの看病にあたっている。
三番組は、隊士さんも数人寝込んでいるらしく。伍長の林さんはその寝込んだ隊士さんの看病をしているらしい。
他は問題ないが、平ちゃん、左之さんは看病する側だし土方さんも病み上がり。
人手不足がさらに激しくなりました。
稽古は自習、巡察は他の組長が行くか自分たちで何とかする羽目になるほど。
「…よ、待たせたな。」
…急に左之さんがひょっこり顔を出し、私と千鶴は驚きのあまりに膝立ちになる。
「びぃっ…くりしましたぁ…!」
「そんなにか?」
左之さんはそんな私たちを見て苦笑い。
「斎藤はまだ寝てるか……。まだ顔は青いな。」
「そうですね……ん?」
「どうしたの?歌恋ちゃん。」
ふと、地面が揺れているような気がした。
不思議そうに私を覗き込む千鶴も、ゆらゆら揺れている。
「地面が…揺れてません?地震かな…」
「え?そんなこと無いけど…」
あれ?
今度はぐるぐると回り始めた。
「…歌恋ちゃん、熱でもあんのか?」
「そんなことないですよー。」
そう言ったたものの、ぐいっとてんじょうが目のまえにやってきた。
あ、たおれたんだ…。
そう気がつくころには、
「歌恋ちゃん!?」
「ぉわっ、大丈夫か!?」
わたしのいしきはやみに落ちていった。



「え?」
八十さんの替えの手ぬぐいを取りに行っていた僕は、左之助さんの言葉に手ぬぐいを落としそうになった。
「歌恋さんも…ですか?」
「ああ…さっき急に倒れちまってな。ほんと、何なんだこの風邪の流行りっぷりは…」
「そうですね、嫌に流行ってます……気をつけないと…」
「そうだな。」
本当に、最近急に新選組内で流行り出している。
しかも事の発達は土方さん……。
「ま、お互い気をつけようぜ。」
「はい。」



私が倒れた日から二日後。冒頭に戻ります。
「八番組の皆さん、八番組はどうにかなってるから早く治してくださいって。」
「それ平ちゃんに対してじゃありません…?」
一君は復活したもののまだ病みあがり、土方さんは完治、総司君も治った。
……代わりになのか、初期看病組がどんどん風邪をひいていきます。
まず私、次に平ちゃん。その他平隊士の皆様。
次は千鶴と真雪ちゃんかな…と思う。二人には何が何でも無理はしないでほしいところだ。
不意に、ひんやりと額に冷たい感覚。
「私からは歌恋ちゃんも、だよ。早く治して元気な姿見せてね。」
水に濡らした手ぬぐいだ。千鶴様、天使の微笑み……!!
「そういえば、山崎さんは大丈夫ですか?」
そう、山崎さんも風邪をひいたらしいのだ。
屋根から転がり落ちてきた山崎さんは、見事真雪ちゃんがキャッチ。からの尻もち。
あの時はかなり大きな悲鳴が聞こえてきたので飛び起きた。
「うん、熱は下がったみたい。今は土方さんが看病しているよ。」
「そうですか…」
本当に本当に、すごい流行りよう。
まああれだけ汚かったらねぇ……特に隊士さんたちのお部屋が…。
「もう歌恋ちゃん、早く寝て!風邪には睡眠が一番なんだから!」
と、急に千鶴が私を布団に押し込んでいく。
そのまま、私の目にひんやりとした手を当ててくれた。
それが火照った顔に心地よくて、私はそのまま深く眠ってしまったのでした……。





結局、新選組内全員復活を果たしたのはそれから一週間ほど経ってからだった。
千鶴と真雪ちゃんは無事。
私は三日後あたりに復活。平ちゃんはその次の日に。山崎さんは私の一日前。なんだかんだ隊士さんたちが長引いていたみたい。
因みに、最後まで風邪っぴきが残っていたのは八番組でした。
二番組は最後まで元気いっぱいでした。

若干ゴリ押し感……。
歌恋が毎回風邪をひいてるので、歌恋が一回も体調を崩さない木枯らし録が書きたいです。まだ2回目だけど。
<2017/03/22 22:14 水瀬 玲>消しゴム
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