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薄桜鬼ー雪光録ー
- 第一話 記憶 -



「〜♪」
私はつい鼻歌を歌いながら屯所まで歩く。
ふっふっふっ……金平糖を買ったのです!
…はい、すっかりハマりました。
そんな時。
「…えっ!ちょ、待っ!?」
急に人が倒れてきた。
…………うん!?
「だ、大丈夫ですか?」
そう聞くが返事がない。
……気絶、しているのかな?
うっっすい茶色の髪に長い睫毛。
女の子みたいだけど…男の子、ですね。
………どうしよう…………。
………………取り敢えず屯所に運ぶか。



…なんか……
…変な感じ…………
……あれ……?
…僕、どうしたんだっけ…
…この天井、見覚えないな……
……ここ、何処……?
焦点が定まらぬ目で、ボーっとしていた視線の先に影が見えた。
お父様かな?
「あ、お父様……?」
そう間抜けな声を出した僕にその影はゆっくり近づき、
「あ、目が覚めましたか?……全く、急に倒れたので驚きましたよ?」
と僕を覗き込んだ。
……え?
お父様じゃない?
お母様?
でも、男の人……?
でもお父様じゃない………誰……?
口を大きく開けて目をパチクリさせる僕に、その人は不思議そうな顔をした。
…さらさらとした茶髪に明るい空色の瞳…
凄く綺麗な顔……。
「…生きてますよね?」
声は高くて、女の人みたい。
起き上がろうとする僕を、そのお兄さんは慌てて支えてくれた。
「…何処か痛かったりします?平気ですか?」
僕を抱き起こして、もう一度ゆっくり僕を見つめ、その綺麗なお兄さんは眉をひそめた。
いや、僕の顔を見て…酷い…。
「…あの、えっと……助けてくださったんですか?」
恐る恐る聞く僕に、お兄さんはクスッと笑う。
もう一度、僕が口を開きかけた時お兄さんは急に手で制した。
「一君ですよね?入ってきてくださいよ。」
すると、音もなく格好良いお兄さんが入ってくる。
紫色の髪の毛を緩く束ねて、白い襟巻きをつけているからよく表情がわからない。
でも、髪の毛の間から見える冷静な光を放つ藍色の瞳は、凄く綺麗。
さっきのお兄さんは可愛い方だけど、こっちのお兄さんは少し不思議な格好良さがあるな…。
と、つい場違いな事を考えてしまう。
「…月色。その子供は如何する?」
一君、と呼ばれたそのお兄さんは僕を支えているお兄さんに聞いてきた。
「…さぁ、流石に殺しはしないと思いますが…」
……………はい?
殺す、って言ったよね……?
その言葉に、僕の顔は真っ青になる。
「…月色、言葉には気をつけろ。怯えている。」
一さんがため息を吐きながらそう言うと、月色と呼ばれた可愛いお兄さんは慌てて謝ってきた。
「ごめんなさい、怯えちゃいましたね。
大丈夫……です、きっと悪いようにはしませんから。」
そう言って優しく笑ってくれる。
「…土方さんに意見を聞いてくる。」
一さんはそう言うと、すっと障子を閉めて歩いて行った。
「月色さん、でしたっけ……?」
「はい、どうしました?」
「僕、どうなるんでしょう……」
「……頑張ってくださいね…」
えっ…。



「少し、離れます。私が良いと言うまではここから出ないでくださいね。」
月色さんはそう言うと、障子を閉めて行ってしまった。
…本当に、ここは何処なんだろう。
…帰りたい…。
……お父様……お母様……
……………あれ、如何して…………
……如何して、二人の顔がわからないの……?
…僕は……一体如何しちゃったの……?
「ひっく、ぐす…………。」
一人になった部屋の中、僕は溢れ出した涙を手でこすりながらしゃくり上げた。
帰りたいよ、本当に…………




そんな訳で(どんな訳で)第一話です。
なんだかんだ言って泣き虫な真雪です。歌恋と平助からは想像もつきませんね!
<2016/11/26 16:51 水瀬 玲>消しゴム
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