おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
薄桜鬼ー雪光録ー
- 第三話 買物 -




「……くん?真雪君!起きてくださぁい!」
「……ふぇ?」
目を開けると、目の前には綺麗な顔。
…………………!?
「き、きゃぁぁぁあああ!!!!」
「えっちょ……」
「またか斎藤ぉおおぉぉお!!!!!」
「何故ぇええぇぇぇ!?」
……朝っぱらから大騒ぎです。
…月色さん、一…さん、ごめんなさい。


月色さんが一さんの部屋に居たのは、一さんが朝食の当番だからだそうだ。
また、叫んじゃった………恥ずかしい……。
あれから朝ご飯の支度が整ったみたいで、僕は広間でご飯を食べている。
「……(こくん)あ、そうだ。真雪君、今日は出かけますよ?」
「……え?」
突然言われて、僕はご飯をぽろりと落としてしまう。
幸い、そのご飯はお茶碗の上に乗っかった。
「出かけるって言われても…僕、帰らなきゃじゃ………」
「良いじゃないですか!午前中だけで行けば良いんですから。私も今日は非番ですし♪」
………良いのかな……。
でも、どうせすぐ帰っちゃうなら……と、僕は頷いた。
「なら……よろしくお願いします。」
「ここに住んでも良いんですよ?」
「……剣が使えるんなら構わねえ。」
「……え、遠慮しておきます。」



「…………………えーーっと……」
「どうしました?」
「これは……」
僕の目の前に広がるのは、僕が見た事も無い景色。
僕が住んでいたところにも似ているけど………………明治って言うよりは………いや、まさか…………。
「……あの、月色さん……………」
「はい?」
「今って………」
「元治元年の長月、ですが?」
「……」
思わず僕は黙り込む。
…………………江戸、時代……………………?
「ええええええええええええ!?!?」
街の真ん中で大声を上げる僕に、月色さんはぽかんと口を開けた。

「……時渡り……?」
「……はい、きっと……………」
事情を説明すると、月色さんはなんというか…寂しいような、懐かしいような、複雑な表情を見せた。
「……じゃ、ここに住みましょう!」
「……へ?」
急に月色さんの表情が変わって、僕は間抜けな声を出す。
……でも、家もお金も何もない……。
だったら、ここに住ませてもらったほうが、良いのかな………。
ちょっと、怖いけど……土方さんも言っていたから………………。
「………じゃあ、………お願いします……」
そう言いながらぺこりと頭をさげると、月色さんは優しく微笑んでくれた。
「じゃ、服を買いに行きましょう!一着だと流石に不便でしょう?」
「………はい、お願いします。」


街を歩くとき、沢山の人たちが振り返る。
やっぱり、月色さんは綺麗だもん。女の人が真っ赤になってるよ。
「……あれ、あのお侍はんたち双子とちゃう?」
「ほんまや!よう似た顔してるわ。」
え、ふ、双子……?
ぼ、僕が月色さんと似て……?
「そ、そんなわけないですよね……僕は歌恋さんみたいに綺麗な顔していませんし…」
「……いや、私は兎も角真雪君は可愛い顔ですよ?」
えっ、えっ……?
かあっと顔が赤くなるのがわかった。
か、可愛いって……!
ドンッ
「きゃっ…」
と、ぼおっとしていたからか前から来た女の人とぶつかってしまった。
僕は慌ててよろめいた女の人を受け止めて、顔を覗き込む。
「すみません、大丈夫ですか?」
「……えっ、あ……//////」
するとみるみるうちに顔が真っ赤になって、その人は倒れてしまった。
「え!?つ、月色さん!!どうしましょう!?」
「……これが、天然タラシ…」
「何言ってるんですか!?」
「あ、すみません。」




「これなんて如何です?あっでも微妙に土方さんと被りますね……じゃあこれですかね?…一君が居ましたね………………あ…これ!如何ですか?……目の色に合いませんかね……えっと…」
なんとか女の人を介抱し、お店に着いた月色さんはてきぱきと着物を選び始めた。
僕はただ呆然と立ち尽くすだけ…。
「………よし、これにしましょう!」
最終的に月色さんが選んだのは、月色さんが着ている着物に似た水色のもの。
「………綺麗……」
僕がそう呟くと、月色さんは嬉しそうに笑う。
「なら良かったです!」
じゃあこれにしましょう、と月色さんはお金を取り出す。
「最近は呑みに行ってないので結構あるんですよ♪私が買いますね。」
「えっ…そんな…悪いです!」
僕が思わずそう言うと、月色さんは首を傾げた。
「……お金ありますか?」
「……無いです…」
そうだった……………。
全然持ってない………。
「じゃあ、真雪ちゃんお金が貯まったら返してもらいましょう!それなら良いでしょう?」
「あっ、はい!」
………って、真雪ちゃん……?
「知ってますよ、男の子ですし真雪君でしょう?でも、可愛いですから真雪ちゃんの方が合うかなって……嫌ですか?」
少し寂しげに問われ、僕は慌てて言った。
「そ、そんなことないです!平気です!
でっ、でも………僕よりも月色さんの方が可愛いです……っあ、男性なのに…嫌ですよね…?」
「あははっ、そうですか?………じゃあ、屯所に戻ったらある事を教えてあげます。よし、帰りましょう?」
「…はい!」
ある事が気になったけど、僕は素直に頷く事にした。
帰ったら教えてくれるらしいし………何より、あだ名呼びが少し嬉しかった。
もう仲間に入れてもらえたみたいで………。
帰り道、僕はいつもより足取り軽く月色さんについて行った。





京ことばって難しくないですか……?
サブタイトルは本当に考えるのが難しいです。
<2016/12/03 21:55 水瀬 玲>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.