「おはようございます。」
あれから僕は、何故か他の隊士さんと一緒ではなく幹部の皆さんと一緒に行動している。
お部屋も一さんとの相室。
ちょっとまだ怖いけれど、何かと気にかけてくれているから…きっと根は優しいんだろうな、とは思う。
「ああ、おはようございます。」
今日は僕と月色さんが朝餉の当番。
月色さんは僕の声に味噌汁の鍋を掻き回しながら振り返った。
「僕は何をすれば良いですか?」
「じゃあ、お浸しをお願いできますか?」
「はい!」
返事をするとニコッと笑ってくれて、なんだか嬉しい。
………それにしても、新選組って美人さんばっかりだなぁ…………。
あれ、そういえば…。
「……月色さんって、どうして新選組に居るんですか?」
僕の疑問に、月色さんは固まった。
「あ、えっと……い、言いづらかったら良いんですが………」
「いや、平気です。
……あまりまだハッキリ言えないんですが、簡単に言えば拾われたんです。千鶴ちゃんも一緒に……浪士に襲われたところを助けてもらって。(まあ私が殺ったんですが)」
「そうなんですか……」
また何か聞こえた気がするけど、怖いからやめておく。
気を取り直して茹でたほうれん草を切っていると、月色さんは急に僕に向き直った。
「急なんですが……月色さんって、やめません?
私は真雪ちゃんって呼んでいるんですから……歌恋で良いですよ。」
「え、でも………」
年上、だよね。顔は若いけれど、落ち着いているし……いや、でも同い年…いやそれは…やっぱり年上……?
だったら流石に下の名前は………………。
「……私は18歳ですが?」
「……………ぇえっ!?」
じ、じじじじじじ18!?
……ぼ、僕16なんだけど……………。
二つしか変わらなかったんだ。
20はいっていると思ってた……ごめんなさい。
「…………………………じゃあ、歌恋…………」
「それで良いです。」
「…………………さん……………」
「………………」
あれ?
流石に呼び捨てはどうかと思ってさん付けにしたんだけどな………。
…まずかった?
「…えっと…駄目でした?」
「……………いや、まあ良いです。じゃ、続きやりますか。」
「あ、はい…」
……まあ、良いか。
僕は朝餉の続きを、とお皿を並べた。
「あ、そうだ真雪ちゃん。」
「はい?」
「その名前呼び、大抵の人は悪く思いませんからやったほうが良いですよ。一君も、あんな鉄面皮ですが内心は喜んでくれるはずです♪」
「そう、ですか……?」
「はい!手始めに今日の朝餉で…そうですね、千鶴ちゃんを♪」
「え……………………………?」
しし、初っ端から難易度が高すぎませんか歌恋さん…!?
「……っし……」
僕は、ある人のお部屋の前で気合をいれる。
今日は当番ではない…ち、千鶴さんは今隊服のほつれを直しているらしい。
だから朝餉の支度が出来たことを伝えてこいって言われたんだけど…………。
…………………………ふぅ…。
「……………ち、千鶴さ…ん……朝餉の支度が出来ましたよ…」
…少し、声が上ずってしまった。
恥ずかしい…!
「…っはい!今行きますね。」
バタバタと、扉の向こうで物音がする。
急がなくても良いのにな。
しばらくすれば、扉は開いてしっかりと支度をした千鶴さんが出てきた。
「……………私も…………」
……?
何を言ったのか、わからない。
でも、顔がほんのりと赤くなった様に見える。
「…………………ましろ、君。」
「……………っ!!」
ぼぼぼっと、音がした様な気がした。
みるみるうちに顔は真っ赤になっていく。
「……い、いい行きましょう!」
「……そ、そうですね。」
「「あ、敬語じゃなくても……」」
見事にかぶって、更に僕たちの顔は真っ赤になった。
耳まで熱い……!
「……じゃあ、お互いに敬語はやめますか?」
「……そうですね。」
小さな声でお互いに言い合うと、恥ずかしさを押し隠して僕は無理に笑った。
「…改めて、よろしく………千鶴、さん…」
「……よろしくね、真雪君…」
…………体まで真っ赤になれそう……。
