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掌編小説「文学という名の星空の下で」
- 曇天 -


とある日、曇天は厚く灰の色で下手して見上げてしまえば気分も暗く染まって行く、そんな空の下を一人の男が駆けておりました。


男は、虎に追われていたのです。
虎は茂みに隠れ、男からは見えていなかったのです。

曇天は男の気分を落とす事もせず、虎の欲求さえも疎かにさせず、上の方で滑稽な男を眺めて嘲笑しているのです。




「ここまで来ればいいだろう」 男は考え、三日三晩動かし続けた足を止め空を仰いだところ、曇天はやっと男に向けた嘲笑を止め、男の気分を落とすべく、灰の色を濃くして行くのです。


「きゃあぁぁ! 虎よ!! 虎が出たわ!!!」

女の声に男は驚き、振り向きましたが其処は無。何もかもが無いのです。

虎め、俺を喰うため道化までするか! 男の考えはあながち外れてはいないのです。



男は走ります。三日の苦しみも忘れて、曇天が降らせる哀れみの涙にさえも気付かずに。





「何だ……これは」















男は、曇天の降らせる涙の池に映った虎をしげしげと、そしていぶかしげに、眺めていたのです。

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<2016/12/03 22:39 霜月鈴妖>消しゴム
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