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僕というものの名は怪物


その日の授業が全て終わったあと、僕は彼に声をかけた。

「研究科はどうするの?」
「入る気は全くないんだ。」
「なら即帰宅?」
「そういう事になる」
「…僕と同じだね」
「そうだな」

ずっと笑って、静かに聞いてくれていた。

彼の話を聞いているといろんな彼の一面がわかった。
家族がいないこと、今は一人暮らしなこと……その半分が僕に当てはまる内容だった。
 
「そういえば、期末試験が近いね」
「…期末試験か…入ってきてすぐは辛いなー…」
「アルス君は大丈夫じゃない?あれだけ頭も良いんだから…」
空を仰ぐ。
教官が最初の日に言っていた通り、アルス君はもの凄く頭が良かった。
ある日いきなり大学教授になったって何も問題はないと思う。
「自信が無いってことだよ」
「まだ余裕があるだけ、自信があるってことだと思うよ」
少年は礼でも言うかのように笑った。



家に帰ってから彼の言っていたことを思い出した。
「家族は?」
「いないんだよ。どうしていないのかももう覚えてない」

僕は6歳の時にある家の前に置かれていたそうだ。
その時気を失っていて、とても危険な状態だったらしい。
命はとりとめたものの、それまでの6年間の記憶が気を失った時の衝撃からか、すっかり抜け落ちている。
もうそれから10年経った今でも、何も思い出してはいない。
彼もまた同じ状態だったという。

彼を初めて見たとき、感じた【違和感】は何だったのか。
なぜだかわからないけど、それが僕の消えた記憶に繋がっている気がする。
もっと知りたい。自分のことを。
でも今はまだ早すぎる。それを今日、感じた。

寒くても満天の星空は、すべてを忘れて引き込まれそうなほど綺麗だった。

<2016/12/04 06:38 仮面ライダー08号>消しゴム
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