期末試験が終われば、また祭日などの予定によって1週間ぐらいの休みがあった。
僕にとっては、それは便利以外の何物でもなかった。
教室内にできた仲良しグループの中では大体同じような会話が聞こえてくる。
期末試験以降、アルス君はクラスで一目置かれる存在になった。
僕以外にも彼と話している人は多い。
でもその関係はすべて浅く、顔は広かった。
いつも目立つ事を望まずに裏から静かに見ている。
それが僕の彼のクラスでの印象だった。
それに比べたら、僕との関係は随分深いと思う。
でもこの僅かな時間で立って話すまでの間柄じゃない。
教官が入ってくると同時に、人の塊は自然と分裂して定位置につく。
教官の話もこれもまた毎日同じような話。
長い長い話が終わればようやく一日が終わる。
「…アルス君」
「何?」
彼はもう荷物の整理をし終えていた。
「今日は真っ直ぐ帰る?」
「…寄る場所も無いけど」
「そう、わかった」
「何を調べてるんだよ」
くすり、と笑いながら答えてきた。
僕が彼にそう聞いたのは訳がある。
少し図書館に行きたかったからだ。
そのために、帰りが遅くなりそうかどうかを聞いておきたかった。
「どこかに行くつもり?」
帰り際、歩きながら聞いてきた。
少年には全てお見通しだったようだ。
「図書館だよ」
「…あそこ広いよな……」
独り言のように言われる。
「探したいものがあるから」
「あの中で行方不明にだけはならないでくれよ。」
この図書館はこの国で一番大きなものだ。
この中で三日間ぐらい行方不明になった人もいるほどだった。
迷わないように設計図を片手に持ちながら歩く。
次第に僕の行く方向の人の数が少なくなってきた。
やがて一人になる。
このあたりのはず。
事件に関わっている本の場所は。
友達が言っていたように、【迷いの森】関連の本は一つも無かった。
過去100年間に行方不明になった人々のリストにも、衛士のものの名前は一つも無い。
確かここは、国が管理していた。
だったらあの忌まわしい森については国民が知りすぎないよう、不幸にならないように、置いていないのかもしれない。
本をしまう。
その時、何かの気配が僕の後ろを霞めた。
振り返っても何もいない。
………誰?
上手く声に出せない。
何もいない。
……何だったんだろう。
でも異変はまたすぐにきた。
一番上の棚にあった本が光り輝いている。
立てかけてある梯子を登ってその本を手に取った。
分厚く、背表紙にはなにも書かれていなかった。
本を開く。
――君がこの本を読んでいるということは、君が普通の人間ではないということだ。
起きてはいけない事態が起きてしまった。
このままではこの世界にも大きな影響が及ぶ。
君が食い止めてくれ。助けはすぐそこにある。
生唾を飲み込んだ。
次のページにも文章は書かれている。
薄く黄色がかかり、古びたページを開く。
僕にとっては、それは便利以外の何物でもなかった。
教室内にできた仲良しグループの中では大体同じような会話が聞こえてくる。
期末試験以降、アルス君はクラスで一目置かれる存在になった。
僕以外にも彼と話している人は多い。
でもその関係はすべて浅く、顔は広かった。
いつも目立つ事を望まずに裏から静かに見ている。
それが僕の彼のクラスでの印象だった。
それに比べたら、僕との関係は随分深いと思う。
でもこの僅かな時間で立って話すまでの間柄じゃない。
教官が入ってくると同時に、人の塊は自然と分裂して定位置につく。
教官の話もこれもまた毎日同じような話。
長い長い話が終わればようやく一日が終わる。
「…アルス君」
「何?」
彼はもう荷物の整理をし終えていた。
「今日は真っ直ぐ帰る?」
「…寄る場所も無いけど」
「そう、わかった」
「何を調べてるんだよ」
くすり、と笑いながら答えてきた。
僕が彼にそう聞いたのは訳がある。
少し図書館に行きたかったからだ。
そのために、帰りが遅くなりそうかどうかを聞いておきたかった。
「どこかに行くつもり?」
帰り際、歩きながら聞いてきた。
少年には全てお見通しだったようだ。
「図書館だよ」
「…あそこ広いよな……」
独り言のように言われる。
「探したいものがあるから」
「あの中で行方不明にだけはならないでくれよ。」
この図書館はこの国で一番大きなものだ。
この中で三日間ぐらい行方不明になった人もいるほどだった。
迷わないように設計図を片手に持ちながら歩く。
次第に僕の行く方向の人の数が少なくなってきた。
やがて一人になる。
このあたりのはず。
事件に関わっている本の場所は。
友達が言っていたように、【迷いの森】関連の本は一つも無かった。
過去100年間に行方不明になった人々のリストにも、衛士のものの名前は一つも無い。
確かここは、国が管理していた。
だったらあの忌まわしい森については国民が知りすぎないよう、不幸にならないように、置いていないのかもしれない。
本をしまう。
その時、何かの気配が僕の後ろを霞めた。
振り返っても何もいない。
………誰?
上手く声に出せない。
何もいない。
……何だったんだろう。
でも異変はまたすぐにきた。
一番上の棚にあった本が光り輝いている。
立てかけてある梯子を登ってその本を手に取った。
分厚く、背表紙にはなにも書かれていなかった。
本を開く。
――君がこの本を読んでいるということは、君が普通の人間ではないということだ。
起きてはいけない事態が起きてしまった。
このままではこの世界にも大きな影響が及ぶ。
君が食い止めてくれ。助けはすぐそこにある。
生唾を飲み込んだ。
次のページにも文章は書かれている。
薄く黄色がかかり、古びたページを開く。
