ーピピピピッ ピピピピッ
アラームが鳴って慣れた手つきで
それを止める。
そして、いつも通りの朝が始まる。
布団から重い体を起こし
たたんで押し入れにしまう。
階段で1階まで降りてキッチンに向かい、
エプロンを着て冷蔵庫の中を
見て材料を取り出して
6人分の朝食と弁当を作る。
時間が経つにつれて
静まり返っていたリビングは
少しずつ明るくなってくる。
「おねーちゃん!おはよっ!」
「おはよ。葵海(まりん)。」
「……はよ。」
「おはよう、塔夜(とうや。)」
「ねーちゃん!!南桜(なお)が泣いてる!」
「海真(かいま)うるさい…もう少し静かにして。
塔夜、南桜のおむつ変えてあげて。」
「はいはい。」
一気に賑やかになる。
うるさいけど、これが一番安心する。
8時になると家はまた静かになる。
私もみんなも学校や保育所に行く。
家には誰もいなくなる。
この生活が当たり前。
小さい時から、物心ついた時から、
そう、ずっと。
私は佐藤家の長女として生まれて、今は中3。
弟と妹はそれぞれ2人ずついて、
長男の塔夜は私と年子で中2。
次女の葵海は小1で海真の双子の姉で、
次男の海真も小1で葵海の双子の弟。
そして、南桜は1歳で三女。
お父さんとお母さんもいるけど、
お父さんは単身赴任で遠くにいて、
お母さんはお医者さん(産婦人科医)で
ほとんど家に帰ってこないから
家事は私がしていて、
今のところは5人ぐらしです。
家を出て、南桜を保育所に
預けてから学校に向かう。
おかげでいつも遅刻ギリギリ。
教室に着くとみんなはワイワイ騒いでいて、
その中を私は風のように
存在感を無くして自分の席に着く。
そして、昨日の授業の復習をする。
「なーのーんー!おはよっ!」
「おはよう。虹架ちゃん。」
小森虹架ちゃんは今年のクラス替え(始業式)で
出席番号が前後になって話しかけてくれた。
正直、目立ったりするのは嫌だけど
一人ぼっちになるのも嫌だ。
私はワガママだなぁ。
バドミントン部に入っている虹架ちゃんは
いつも高めの位置でポニーテールをしていて
名前の通り明るくて、
優しくて可愛くて、私は何一つ叶わない。
私なんかが虹架ちゃんといていいのかな?って
たまに思っちゃうんだ。
でも、虹架ちゃんは凪音といるのが好きっ!
って言ってくれる。
「…ん!凪音!」
「ふぇぁ?」
虹架ちゃんに呼ばれてハッとすると
後ろから肩をつつかれた。
恐る恐る振り返ってみると
「す、ずき?」
「話してたのに途中で邪魔してごめん。」
「いや、大丈夫デス…」
「あのさ、佐藤に話したいことがあるんだけど。」
「私ですか?」
「うん。今日の放課後空けといて!」
そう言って鈴木は男子の輪の中に混じって行った。
何?話って?
もしかしてとんでもない罵声を
浴びせられるのかな?怖いよ…
その時あることに気がついた。
まって、みんなに見られてる…よね?
[佐藤さんって静かなキャラして男好き?]
[あの子って虹架以外と話すんだー笑]
女子がコソコソ話してるのが聞こえる。
やっぱり、鈴木と話したからだ…
どうしよう…目立ちたくないのに、、、
「凪音。」
「虹架ちゃん?」
「気にしちゃ駄目だからね!」
「え?」
「あれだよ?鈴木が凪音に話しかけたから
嫉妬してやがんの!
凪音は何もしてないからね!」
「ありがとう。虹架ちゃん。」
本当にありがとう。でもね、私が気にしてるのは
女子の嫉妬とかじゃなくて、
クラスで目立っちゃったことなんだ。
私は極度の人見知り&恥ずかしがり(?)で
昔から人と話すのが苦手なんだ。
今日、鈴木と話せるかな?
あ、罵声がぁぁぁぁぁぁ。
怖いぃぃぃぃぃぃ…
気が付けば空がオレンジに染まる時間。
教室には私と
ユニフォームを着た鈴木のふたりきり。
部活抜けてきたのかな?
沈黙が流れる空気って苦しいよね?
今、とっても気まずいです…
早く帰りたい。
「あ、あのさ!」
「はい?」
「俺さ、佐藤に話があって、」
「うん。」
「俺、佐藤が」
「?」
「…す、きです。」
え?すき?suki?好き?頭が真っ白になる。
聞き間違い?でも、今言ったよね?
どうしたらいいの?
なにかの間違いだよね?
うん!断ろう!それしかない!
「あの…ごめんなさ「ストップッ!」
「え?」
「分かってる!何とも思ってないの分かってる!
佐藤の視界に入ってないのも知ってる!
けど…俺、諦め悪いから。」
「どういうことですか?」
「俺さ、見た目とかで人を好きになったりしない 」
鈴木の真っ直ぐな瞳が眩しいほど
真剣さが伝わってくる。
恥ずかしい。今すぐ穴に入りたい。
けど、聞かなきゃ。真剣に答えなきゃ。
「俺、佐藤の優しいとこに惚れた。
でも、それだけじゃないし!
天然で鈍感で恥ずかしがりで
目立つの苦手なところとか
朝は存在感消してるとことか、
英語が壊滅的に苦手なところとか
全部含めてお前が好き!
だから、今更諦められない。
簡単には諦めない。
いつかまた告白するから。
だから、それまでにお前を落とすから!
じゃ、じゃーな!凪音!」
そう言って鈴木は部活に戻って行った。
これは事件です。
アラームが鳴って慣れた手つきで
それを止める。
そして、いつも通りの朝が始まる。
布団から重い体を起こし
たたんで押し入れにしまう。
階段で1階まで降りてキッチンに向かい、
エプロンを着て冷蔵庫の中を
見て材料を取り出して
6人分の朝食と弁当を作る。
時間が経つにつれて
静まり返っていたリビングは
少しずつ明るくなってくる。
「おねーちゃん!おはよっ!」
「おはよ。葵海(まりん)。」
「……はよ。」
「おはよう、塔夜(とうや。)」
「ねーちゃん!!南桜(なお)が泣いてる!」
「海真(かいま)うるさい…もう少し静かにして。
塔夜、南桜のおむつ変えてあげて。」
「はいはい。」
一気に賑やかになる。
うるさいけど、これが一番安心する。
8時になると家はまた静かになる。
私もみんなも学校や保育所に行く。
家には誰もいなくなる。
この生活が当たり前。
小さい時から、物心ついた時から、
そう、ずっと。
私は佐藤家の長女として生まれて、今は中3。
弟と妹はそれぞれ2人ずついて、
長男の塔夜は私と年子で中2。
次女の葵海は小1で海真の双子の姉で、
次男の海真も小1で葵海の双子の弟。
そして、南桜は1歳で三女。
お父さんとお母さんもいるけど、
お父さんは単身赴任で遠くにいて、
お母さんはお医者さん(産婦人科医)で
ほとんど家に帰ってこないから
家事は私がしていて、
今のところは5人ぐらしです。
家を出て、南桜を保育所に
預けてから学校に向かう。
おかげでいつも遅刻ギリギリ。
教室に着くとみんなはワイワイ騒いでいて、
その中を私は風のように
存在感を無くして自分の席に着く。
そして、昨日の授業の復習をする。
「なーのーんー!おはよっ!」
「おはよう。虹架ちゃん。」
小森虹架ちゃんは今年のクラス替え(始業式)で
出席番号が前後になって話しかけてくれた。
正直、目立ったりするのは嫌だけど
一人ぼっちになるのも嫌だ。
私はワガママだなぁ。
バドミントン部に入っている虹架ちゃんは
いつも高めの位置でポニーテールをしていて
名前の通り明るくて、
優しくて可愛くて、私は何一つ叶わない。
私なんかが虹架ちゃんといていいのかな?って
たまに思っちゃうんだ。
でも、虹架ちゃんは凪音といるのが好きっ!
って言ってくれる。
「…ん!凪音!」
「ふぇぁ?」
虹架ちゃんに呼ばれてハッとすると
後ろから肩をつつかれた。
恐る恐る振り返ってみると
「す、ずき?」
「話してたのに途中で邪魔してごめん。」
「いや、大丈夫デス…」
「あのさ、佐藤に話したいことがあるんだけど。」
「私ですか?」
「うん。今日の放課後空けといて!」
そう言って鈴木は男子の輪の中に混じって行った。
何?話って?
もしかしてとんでもない罵声を
浴びせられるのかな?怖いよ…
その時あることに気がついた。
まって、みんなに見られてる…よね?
[佐藤さんって静かなキャラして男好き?]
[あの子って虹架以外と話すんだー笑]
女子がコソコソ話してるのが聞こえる。
やっぱり、鈴木と話したからだ…
どうしよう…目立ちたくないのに、、、
「凪音。」
「虹架ちゃん?」
「気にしちゃ駄目だからね!」
「え?」
「あれだよ?鈴木が凪音に話しかけたから
嫉妬してやがんの!
凪音は何もしてないからね!」
「ありがとう。虹架ちゃん。」
本当にありがとう。でもね、私が気にしてるのは
女子の嫉妬とかじゃなくて、
クラスで目立っちゃったことなんだ。
私は極度の人見知り&恥ずかしがり(?)で
昔から人と話すのが苦手なんだ。
今日、鈴木と話せるかな?
あ、罵声がぁぁぁぁぁぁ。
怖いぃぃぃぃぃぃ…
気が付けば空がオレンジに染まる時間。
教室には私と
ユニフォームを着た鈴木のふたりきり。
部活抜けてきたのかな?
沈黙が流れる空気って苦しいよね?
今、とっても気まずいです…
早く帰りたい。
「あ、あのさ!」
「はい?」
「俺さ、佐藤に話があって、」
「うん。」
「俺、佐藤が」
「?」
「…す、きです。」
え?すき?suki?好き?頭が真っ白になる。
聞き間違い?でも、今言ったよね?
どうしたらいいの?
なにかの間違いだよね?
うん!断ろう!それしかない!
「あの…ごめんなさ「ストップッ!」
「え?」
「分かってる!何とも思ってないの分かってる!
佐藤の視界に入ってないのも知ってる!
けど…俺、諦め悪いから。」
「どういうことですか?」
「俺さ、見た目とかで人を好きになったりしない 」
鈴木の真っ直ぐな瞳が眩しいほど
真剣さが伝わってくる。
恥ずかしい。今すぐ穴に入りたい。
けど、聞かなきゃ。真剣に答えなきゃ。
「俺、佐藤の優しいとこに惚れた。
でも、それだけじゃないし!
天然で鈍感で恥ずかしがりで
目立つの苦手なところとか
朝は存在感消してるとことか、
英語が壊滅的に苦手なところとか
全部含めてお前が好き!
だから、今更諦められない。
簡単には諦めない。
いつかまた告白するから。
だから、それまでにお前を落とすから!
じゃ、じゃーな!凪音!」
そう言って鈴木は部活に戻って行った。
これは事件です。
